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2015/09/12(土曜) 18:48

伝統的な演劇、団結と平和の象徴

伝統的な演劇、団結と平和の象徴

今回は、イラン文化における伝統的な演劇の位置づけについて考えるとともに、第17回イラン伝統劇フェスティバルに関する最新レポートをお届けします。

 

イランは、多くの慣習が存在する土地であり、この地の儀礼は、この古い歴史を持つ人々の源やアイデンティティを映し出しています。それらは、時代とともに忘れ去られてはならないものであり、若い世代の人々がこうした慣習に触れる機会が設けられなければなりません。イランの慣習は、神を称え、平和の中で世界との建設的な交流を続け、他者に親切に語りかけてきた人々の理想を現実化しているのです。
慣習やしきたりが演劇としての形式を持つようになったとき、それは伝統劇として認められるようになります。このため、ある国の現実の世界に足を踏み入れると、その土地の劇によって過去の世代との関係を保つことになります。イランの各民族の間には、今尚数百を越える慣習が存在しており、それらはあまり目立たないものであっても、今後も存続する可能性があります。そうした慣習は、イラン人のアイデンティティを強める中心となり、また世界の人々に対して、人間と芸術の結びつきに関する展望を描くことができるものです。

イランにおける伝統劇の歴史は、古代文明を持つこの国の歴史と結びついています。イランの叙事詩人フェルドウスィーの名作『王書』といったイランの古典文学作品や、そしてイランの歴史書の一部で指摘されている事柄によれば、『王書』の登場人物イーラジとスィヤーヴシュの追悼劇が毎年開催され、非常に人々の支持を集めていたということです。イスラム以後、この慣習は次第にイスラム的な配色を帯び、新たな状況の影響を受けて、また違った雰囲気や色合いを持つようになりました。
現在も痕跡を留めているイランの伝統劇としては、ナッガーリーと呼ばれる物語の語り部と、人形劇を挙げることが出来ます。ナッガーリーは、物語の語り部の他、イランの有名な英雄叙事詩『王書』を語り聞かせるシャーナーメ語り、挽歌の朗誦などがあり、それらの一部は人々の間に広まっています。また、人形劇もイランの伝統劇の1つであり、演劇と非常に良く似てはいますが、実際には人形遣いたちが布地や綿、木材などでできた人形を動かすことにより行なわれます。人形遣いたちは、手に糸が結んである人形を舞台の中央に立たせて動かすのです。

数百年前から存続し、現在でも様々な折にイランで実施される最も代表的な伝統劇は、シーア派3代目イマーム・ホサインの殉教を題材とした、タアズィーエと呼ばれる宗教的な受難劇です。この劇では、イラクの町カルバラーでの出来事が、1人一役を演じる役者によって上演されます。これは、イランの宗教的、伝統的な演劇の1つであり、そのストーリーは主にイマーム・ホサインとその教友たちの殉教の様子を描いています。
この宗教的な追悼劇が正式な形で初演されたのは、西暦963年のブワイフ朝時代のことでした。タアズィーエは、長い年月の間に大きく変化しましたが、これは今なおイランの人々による、最も長い歴史を持つ純粋なイラン・イスラム芸術の1つとなっています。現在、イランの各州では、イスラム暦のモハッラム月になると、タアズィーエが上演されます。人々は毎年、この出来事が起きた日に因み、各地にあるモスクや、テキエと呼ばれるこの受難劇専用の上演場所を黒い布地などで装飾し、これらの会場で専門の役者たちがタアズィーエを上演するのです。この受難劇の上演に際しては、事前に入場券を発売することはなく、役者も観客も自発的にこの会場に集まることから、この伝統劇は現在まで残っているのです。

現在、伝統劇は多くの有益な点を有しており、、教育を補助する機会や、子どもを育て導き、また家庭にアドバイスを与えることができます。こうした伝統劇は、イランの人々と歴史あるペルシャ文学、民俗文学を結びつけるもので、これらを保護することはイランの文化や知的文化の維持、そして最終的には世界の文化遺産の保護をも促進することになります。伝統劇は、観客を引き込む娯楽であると同時に、現代人と過去の人々とをつなぐものであり、過去の経験を伝え現在の生活をよりよくすると言う意味で、重要な役割を果たすことができます。
現在、一部の人々の間では、時代は変わり、このような伝統劇の巨匠の多くは亡くなっており、このような伝統劇に代わって別のものを娯楽とすべきであると考えられているかも知れません。しかし、ここで注目すべきことは、このような魅力的な伝統劇のスタイルにより、現代の人々の問題や現代的な内容を伴った新しい演劇が作られれば、それは現代の人々の趣向にかなったものであり、彼ら感動させることができます。
現代のイラン社会は、識字率など、知的水準が高くなったことから、古くからの文明や文化を持つ国の中でも優れています。イラン社会の人々は、特に新しい技術など、近代的な手段を知っているとともに、自分たちの古くからの慣習をも守っています。このため、様々な民族の団結、そして過去の世代の人々とのつながりを維持すると同時に、これらの慣習を外国に紹介し、それらの価値ある内容を国際的なものにすることができるのです。

イランの伝統劇を保護するため、テヘランでは先月26日から30日まで、第17回伝統劇フェスティバルが開催されました。この行事は、1989年から開催されており、17回目となった今年は、イラン全国から多数の劇団が参加して行なわれています。今年は、幕を使用しての幕芝居やナッガーリー、舞台劇や街頭劇といった様々な部門に加えて、専門的なセミナーも実施され、多くの芸術家や演劇の愛好家の歓迎を受けました。。
今回は、様々な部門において、1070人の演劇の専門家が118の演劇を披露しました。このフェスティバルの参加者に関する統計によれば、今回は舞台劇の部門には若手の参加者が多かったということです。興味深いことに、全ての部門において若手の参加者が研究にそってプログラムを実行しています。また、イランの伝統部門はイランの各州や各都市のもので、それぞれの伝統を披露する機会を得ました。
この文化的な行事には、イランの各州から多数の劇団が参加しました。さらに、今回の重要なポイントとしては、大学生部門が設けられたことが挙げられます。この部門は、今後も演劇活動を継続できると思われる若手の芸術家が紹介されました。
このフェスティバルの主催者の発表によりますと、16に上る新作の演劇が年間を通して決められた時期に上演されるということです。今回設けられた部門の1つは、第50回国際伝統劇セミナーであり、インド、ベルギー、ドイツ、タジキスタン、オーストリア、インドネシア、ポーランド、フィンランド、日本、そしてイランの研究者らが、それぞれ自国の伝統や慣習について研究の成果や論文と提示していました。
このフェスティバルの閉会式は今月1日、テヘラン市内の劇場で行なわれ、コンペティション部門の優秀作品が発表されました。また、伝統劇の先駆者となった人々や、様々な種類のイランの伝統劇の最も優れた専門家の表彰も行なわれています。

 

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