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2015/04/21(火曜) 22:09

家庭における高齢者の位置づけ

家庭における高齢者の位置づけ

これまでにお話しましたように、老年期は幼少期や若年期と同様に、人間として完成するための、段階の1つです。もっとも、エネルギーに溢れた青少年期とは違って、老年期には力が弱くなり、身体的な活動量が低下します。人間は、幼年期、青少年期、中年期を経て様々な経験を積み、老年期はこうした経験が蓄積された時期なのです。この段階は非常に重要であり、高齢者とその周りの人々は特にこれに注目する必要があります。


老年期とは、両親が子どもたちによる支援をより多く必要とする時期です。多くの親は、老年期をはじめとした自分が生きている間は、子どもに対して物質的なものを必要としているのではなく、子どもたちからのいたわりを必要としています。老年期は普通、病気などの問題を伴うことが多いため、当然ながらそうした状態では、両親は子どもたちの助けを必要とすることになります。

実際に、人間は老年期には色々な面で消耗し、身体能力や精神力、思考力の一部を失います。この時期には、それまで知っていたことを忘れたりすることもあるため、高齢者とその家族に多くの問題をもたらしします。このため、老年期を正しく認識し、高齢者が本当に必要としているものを知ることは、子どもたちが年老いた両親に対して適切に対応する助けとなります。
時には、若くて経験の浅い子どもは、忍耐力のなさや傲慢さ、仕事上の理由から、親に対し然るべき恩を返せないことがあります。彼らは自分の両親に対し、自分が完全に物事を知っていると主張することもあります。しかし、ここで忘れてならないのは、両親に対する傲慢さは、神の大きな恩恵に感謝しないことに等しいということです。イスラムの聖典コーランは人々に、両親に対して粗暴に振舞うことを禁じ、適切な善い言葉を用いて彼らに対し謙虚に振舞うよう奨励しています。これについて、コーラン第17章、アル・イスラー章「夜の旅」、第23節と24節には、次のように述べられています。
"あなたの主は、次のように命じられた。神以外に何者をも崇拝してはならない。また、両親に親切に振舞うがよい。もし両親、或いはそのいずれかが、老齢に達した時には、たとえ僅かであっても彼らに侮辱的な言葉を使ったり、声を荒げてはならず、穏やかで慎重な言葉で話しなさい。そして敬愛を込め、両親に対し謙虚に優しく接し、「神よ、彼らが幼い頃にわたしを育ててくれたように、2人に恩恵を与えよ」と祈るがよい"
イスラムの伝承では、両親に対する礼儀や敬意とは、彼らを名前で読んだりせず、彼らがその場に入ってきたときには立ち上がり、また彼らより先にたって歩かないこと、汚い言葉を使わないこと、彼らのニーズを満たし、年老いたときには面倒を見ることなどとされています。

イスラムの慣習や文化では、高齢者は非常に価値ある存在として位置づけられています。親族の中でも、高齢者は尊敬の対象として扱われ、様々な問題に関して彼らに相談し、対立の中では彼らの判断が重視されます。時には、一族の中の年長者や高齢者の一言で揉め事が解決したり、対立や仲たがいが円満に解消することもあります。高齢者は、生きている間はその存在の恩恵が理解されないことが多く、一族の年長者が亡くなったと同時に、家庭内の不和が生じるケースは大変多く存在します。このため、イスラムの預言者ムハンマドは、次のように述べています。「生きながらえることの良さと恩恵は、あなた方より年長である人々とともにある。家族のうちでも、男性の年長者は共同体の中の預言者のような存在である」
預言者ムハンマドは、高齢者の中に中心的な役割を果たすことや癒し、導きなどが存在することを指摘しています。もし、高齢者が家庭の中の導きの光として家族のまとまりの中心隣、家族の交流や親密さを深める役割を果たすのであれば、彼らのこうした地位は守られ高められるべきなのです。子どもやその他の親族が、高齢者に注目することは、彼らの精神面での健康にも効果的です。このため、イスラムはこの問題に特に注目しています。

高齢者は、周りから注目されることで孤独感を感じなくなり、また一方で若者は高齢者の有益な経験や貴重な知識を活用できます。高齢者や年長者が家庭における明かりのような存在であり、共感やまとまりを生み出す中心となるため、彼らの存在は尊ばれるべきです。高齢者に対する礼儀や、生涯における誠実な努力と献身に対する感謝、同情心といったものは、家庭内で大切なものとして尊ばれなければなりません。また、高齢者は不親切な扱いを受けたり、精神的に圧迫されてはならず、彼らの豊かな経験に基づく忠告や教えが無視されてはならないのです。
イスラムの倫理では、年長者に敬意を払い、また年少者に対し寛大に優しく接するよう教示しており、これは家庭をぬくもりのある心地よいものにします。これについて、シーア派6代目イマームサーデグは、次のように述べています。
「年長者に敬意を払わず、また年少者に優しく接しない人は、我々の仲間ではない」
また、これと似た内容は、シーア派初代イマーム・アリーも、「学者に対しては、彼らが持つ学識のために、そして高齢者に対しては、その年齢のために敬意を払うべきである」という言葉にも見られます。若者が高齢者の価値を知らず、彼らに敬意を払わなければ、人間の愛情ある絆が途切れ、さらには高齢者の持つ経験や慈しみの恩恵を受けられなくなるのです。
高齢者を尊重することにおけるもう1つの重要な点は、彼らの文化が次の世代に継承されるとうことです。1つの文化が未来の世代に継承される最も重要な方法とは、親や教師の行動の中にあります。子どもは、大人の行動を模範とします。年長者に敬意を払い、彼らへの礼儀を守ることが、私たちの行動に現れていれば、子どもたちもこの文化を学び取ります。子どもに礼儀や賢明さ、感謝を期待するなら、まず私たちが親や年長者にこの行動をとるべきなのです。
イマーム・アリーは、次のように述べています。
「年長者に敬意を払いなさい。そうすれば、今度は年少者があなたに敬意を払うだろう」 また、シーア派6代目イマーム・サーデグも、「自分の父親に善い行いをしなさい。そうすれば、あなたの子どももあなたによい行いをする」と述べています。これは、人間が子どもの心に行動で示した成果を得るということを指します。しつけにおける最も重要なのは、行動で示すことです。子どもは、最も才能のある生徒であり、私たちの行動から注意深く学び取ります。私たちが高齢者を尊敬しなければ、年少者や青少年が高齢者や私たちに敬意を以って接することは期待できません。行動の影響力におけるこうした相互関係は、決して無視できないのです。

さらに、もう1つの点として、高齢者の精神衛生が非常に大切であることから、この問題に対し高齢者の視点から注目する必要があります。それでは最後に、この問題に関するプロジェクトに携わるイランの心理学者の言葉をご紹介することにいたしましょう。
「高齢者は、自分の生活に肯定的な意味を与えるよう努力すべきである。そのためには、時間を正しく活用し、社会活動やボランティア活動などに積極的に参加することである。他人との関係を築き、社会的な団体に加入することは、高齢者への助けとなりうる。具体的には、NGOや学術団体、宗教組織、慈善団体の活動に参加することなどである。楽しみとなるものを選んだり、何かの役職を引き受けることは、彼らの精神的な能力を支援する。また、芸術活動や文章を書くこと、家族や友人との旅行も、高齢者にとって有益である」

 

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