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2015/04/21(火曜) 22:43

3人の兄弟(2)

3人の兄弟(2)

前回に引き続き、子守唄の特徴についてお話した後、ジョウザルの物語の続きをお送りします。
今回も前回に引き続き、ペルシャ語の民俗文学のジャンルのひとつ、子守唄についてみていくことにいたしましょう。


子守唄は正式な詩人が作ったものではなく、母親たちが、特別な瞬間に歌うものであるため、文学的な構造はそれほど守られていません。また、子守唄の内容は非常に多岐に渡っており、その多くは、子供の成長、読み書きの学習、コーランの朗誦、巡礼、子供の結婚といった母親の願望や理想を物語ったものです。また、子守唄の中には、母親の悩みや不満を語ったものもあります。母親たちは、子守唄の中で、子供たちが言うことを聞かずに泣き叫ぶことや、眠ってくれないことなどを歌っています。こうした物語は、非難めいた口調や怒りを表すときもあれば、風刺的なものである場合もあります。
子守唄
可愛いわが子よ、私の心を癒しておくれ
私と仲良くしておくれ よく眠っておくれ
あなたの泣き声に疲れてしまった

このような子守唄の中で、時に母親は、空想上の恐ろしいお化けを引き合いに出し、お化けに助けを求めています。このような子守唄を心理学的に読み解くことは非常に興味深いものです。なぜなら母親は、その中で、子供にお化けを怖がらせるのではなく、お化けに子供を怖がらせるからです。それと同時に、子供に言葉上の自信を与えています。例えば、「お化けよ、出て行け。私の子供は寝ているのだから」や、「お化けよ、子供に何をしようとするの。この子にはお父さんがいて、腰に2つの剣を刺している」などと言い、子供に様々な能力があることを示しています。
荒野のお化けよ、立ち去りなさい
去って地獄に行きなさい 私の子供を守ってあげて
壁の向こうに行きなさい、さもないとこの子供が起きてしまう
荒野のお化けよ、あなたはこの子に何をしようとするのか
この子にはお父さんがいて、腰に2つの剣を刺している
お化けよ、地獄に行きなさい、私の子供を守ってあげて

奥深く美しい内容に溢れた子守唄の一部では、母親がゆりかごの中の子供に悩み事を打ち明け、まるで大人を相手にするかのように、自分の心配や悲しみについて語ります。父親が死んでしまい、母は、その父の最後の形見である子供と共に残されてしまいました。母は子守唄の中で、夫を失い、たった一人で子供を育てなければならない悲しみを語ります。このような物語は非常に繊細なものであり、人生が行き詰ってしまったことを物語っています。
いとしい人を失い、無常な運命が残った これからどうしたらいいの
乳飲み子を抱えて 私に残されたのは、あの人の思い出であるこの子だけ

子守唄には、女性の繊細な感覚のみが理解しうる特徴があります。母親は子守唄をひとりでに歌い始め、その瞬間には、子供とゆりかご、そして自分の心の状態以外のことを考えません。母親は自分の心の内を語りますが、それは社会的な物語のこともあれば、そうでない場合もあります。社会的な物語であっても、それを社会に広めるのは母親ではありません。他の人にもあてはまるような子守唄自体が、おのずと広まっていくのです。そのため、多くの男性の詩人たちが、子守唄を歌おうとしてきましたが、成功した例はありません。それは彼らが、子守唄を社会から始めたり、より簡潔な言葉によって、子守唄を、自分が社会に言いたいことを伝える手段としているためですが、それはシンプルな子守唄の特徴からは外れています。

ここからは、イランに伝わる物語をご紹介しましょう。前回に引き続き、千夜一夜物語から、3人の兄弟たちのお話です。

あるところに、商人がいました。彼には息子が3人おり、それぞれサリーム、サーレム、ジョウザルという名前でした。商人は末っ子のジョウザルを深く愛していたため、他の2人の兄弟は彼に嫉妬していました。商人は生きているうちに、自分の財産を4分割し、そのうちの1つを妻に、残りを3人の息子たちに分け与えました。商人が死んだ後、上の2人の息子は、相続した財産を失ってしまい、母親の財産も力ずくで奪いました。末っ子のジョウザルは母親を呼び寄せ、自分が漁をして母親を養っていくことにしました。そんなある日、無一文になった2人の兄弟がジョウザルと母のもとにやってきました。優しい人間であったジョウザルは、彼らに、自分の家で暮らすよう言いました。そうしてしばらくが経ちました。ジョウザルは魚を獲ることができなくなりました。そこで、漁の場所を変えることにしました。そのためにガールーンの池に行き、網をその中に投げ入れようとしました。

そのときです。突然、ラバに乗った男が目の前に現れました。男は高価な服を着ていました。ラバにも、金の鞍がついています。男はラバから降りて、ジョウザルに挨拶をし、言いました。「あなたにお願いがあります。もし私の言うことを実行してくれれば、十分な報奨を与えます」 ジョウザルは言いました。「何をすればいいのでしょう?」 男は、絹の縄を取り出すと、言いました。「私の手をこの縄で縛り、私を池の中に投げ入れて、少し待ってください。もし私の手が水の中から出ているのを見つけたら、ユダヤ教の聖典を池の中に投げ入れて、私を引き出してください。もし、私の足が見えたら、つまり私が死んだことを確認したら、そのまま私を放置し、このラバを連れて行って、商人たちの市場に行ってください。そこでシャミーエという名のユダヤ教徒の商人を探してほしいのです。彼を見つけたら、私のラバを背中の袋と共に彼に与えてください。彼はあなたに金貨100枚をくれるでしょう。金貨を受け取り、それでおしまいです」

ジョウザルはこの仕事を請け負いました。男を池に投げ入れた後、ジョウザルは男の足が池の水面から出ているのを目にしました。つまり、男は死んでしまったのです。そこで、ラバを釣れ、商人の市場に行きました。そこでユダヤ教徒の商人であるシャミーエを見つけ出し、約束どおり、ラバを彼に与えました。シャミーエも金貨100枚をジョウザルに与えて言いました。「このことについて、誰にも話してはならない」 ジョウザルは金貨を受け取り、家に向かいました。

それからジョウザルは、家に向かう途中で、パン屋に着きました。ジョウザルはパン屋の主人のところに行き、これまで借りていた金を返しました。それから、パンと肉を買って家に戻りました。母親は肉を調理し、息子たちと共に夕食を取りました。それから、ジョウザルは残りの金貨を母親に与えて言いました。「この金貨を預かっておいてください。私がいなくなっても、あなたと兄弟が食べていけるように」 翌朝、ジョウザルはまた網を持ってガールーンの池に出かけました。ジョウザルが網を投げようとしたとき、また別のラバに乗った男が現れました。男はジョウザルに挨拶をして言いました。「ところで、昨日も、私のようにラバに乗った男がここに来たのを見なかったか?」 ジョウザルは昨日の男との秘密を守りたかったため、見なかったといいました。男は笑って言いました。「私は全てを知っている」 そして全てのことを話しました。ジョウザルは言いました。「あなたは全てのことを知っているのに、なぜ私に質問するのですか?」 男は言いました。「私にも、その男のためにしたことをしてほしいからだ」 それから絹の縄をジョウザルに与えました。ジョウザルは再び同じことをし、池を見ながら待ちました。すると突然、男の足が水面に出ました。この男も死んでしまいました。

ジョウザルはラバを連れて、再び、ユダヤ商人のシャミーエのところに行きました。そしてラバを渡す代わりに金貨100枚を受け取りました。それから家に帰り、金貨を母親に渡しました。母親は驚いて尋ねました。「ジョウザルよ、本当のことを言いなさい。こんなにたくさんの金貨をどこから持ってきたのですか?」 ジョウザルはそれまでの出来事について母親に話し、その秘密を決して、誰にももらさないように頼みました。

その翌日も、ジョウザルはガールーンの池に行きました。今度も別の男がやって来て、同じことが繰り返されました。ジョウザルは男を池に投げ落としました。しばらくすると、突然、男の両手が水面に見えました。ジョウザルは飛び上がり、網を水に投げ入れ、男を助け出しました。助け出した男の手の中には、2匹の金魚がいました。男はジョウザルに言いました。「ロバに縛った袋の中に、2つの小さな器がある。それらを持ってきて、そのふたを開けてください」 ジョウザルは器を持ってきて男に渡しました。男は金魚を一匹ずつ、その器の中に入れ、そのふたをしっかりと閉めたあと、ジョウザルに言いました。「ありがとう。あなたは私の命の恩人だ。もしあなたが助けてくれなければ、私はこの2匹の魚と共に、溺れ死んでしまっていただろう」 ジョウザルは言いました。「どうか、これらの出来事について説明してください。あなたは誰で、あの2人の男はだれだったのですか? 彼らは何のために溺れ死んでしまったのでしょう? あの市場のシャミーエという人物は誰で、この2匹の魚は一体何なのでしょうか?」 男は言いました。「分かった。それでは説明してあげよう」

さて、この続きは、次回のこの番組でお送りいたします。

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