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2015/04/28(火曜) 17:08

3人の兄弟(3)

3人の兄弟(3)

前回までのこの番組では、ペルシャ語の民俗文学のジャンルの一つである民謡や詩、子守唄について、その由来や特徴、内容についてお話してきました。この他、ペルシャ語の詩や民謡には、物語に関するものがあります。この種の交互による詩では、誰もがわかりやすい独立した形で物語が述べられたり、あるいは初めと終わりに詩が出てきたり、また時には物語の中で、詩が歌われたりしています。このような詩の行数は数多く存在します。通常、物語を始めるため、また聞き手に物語の始まりを知らせるために、語り手は、「昔々」という言葉を使います。

 

昔々、青いドームの下に 老婆が一人座っていた
馬は油を搾り取り、ロバはろくろを回し
犬は肉を売り、猫は店番をした
ラクダはフェルトを作り
蚊は踊り、クモは綱渡りをした・・・・

ペルシャ語のこの物語の出だしの言葉は、それ自体が短い物語であり、物語の聞き手の興味を惹きつけるためのものです。また、普通の物語の終わりにも、様々な形の決まり文句や詩が見られます。

民俗文学の民謡や詩の研究者によれば、この民謡の最後の部分は、それが持つロマンチックな様式のために加えられたものであり、恐らく、語り手が、自分の空想が延々と続いていくのを望んでいないことの表れだろうということです。このような物語は、詩的なメロディに溢れており、そのメロディは、人間の願望や苦悩、運命の転機を語ったものであり、詩のそれぞれの半句の並べ方、詩の内容の展開により、民謡が伝説的なものになっています。

ここからは、前回に引き続き、千夜一夜物語から、ジョウザルの物語をご紹介しましょう。

あるところに3人の息子を持つ商人がいました。この3人の息子はそれぞれ、サリーム、サーレム、ジョウザルという名前でした。商人の死後、サリームとサーレムは全財産を失い、ジョウザルと母親の許に帰ってきました。ジョウザルは魚を釣って家族を養っていました。しかし、数日間、魚が獲れなかったため、ジョウザルはガールーンの池に行きました。そこでジョウザルは、一人の男に会いました。彼はこの男から、彼の手足を縛って池に投げ込み、しばらくしてから手が水面に浮かんだら、彼を助け、もしも足が浮かんだら、彼が死んだものと考えてほしいと言われました。そして、男が死んだ場合には、ロバを連れて町に行き、シャミーエという名前のユダヤ人の商人から金貨100枚を受け取るようにと言われました。

ジョウザルは2日間、2人の男に対して同じことをし、100枚ずつ、金貨を受け取りました。3日目にも、ジョウザルがガールーンの池に行くと、同じことが起こりました。しかし今度は、男は生きていました。そして、2匹の金魚を手にしていました。男はその2匹の金魚を、用意してあった2つの器に入れました。ジョウザルは、この3日間の出来事により、頭が混乱していたため、男に対し、本当の要求を言ってほしいと頼みました。男は言いました。「実は、池で溺れて死んでしまった2人の男は、私の兄弟でした。また、あなたがシャミーエという名前で知っている人物も、私のもう一人の兄弟です。彼はユダヤ教徒ではなく、イスラム教徒で、本当の名前は、アブドルラヒームと言います。私の名前は、アブドルサマドです。私たちは4人兄弟で、私たちの父親は、予言を当てたり、宝箱を開けたりする術に長けた人物でした。父はそれを私たちにも教えてました。父が亡くなって、4人でその遺産を分けました。父はたくさんの本を持っていました。それでその本も4人で分けました。しかし、たった1冊の本について、私たち4人は奪い合いをしたのです」

男はさらにこう続けました。「その本はとても貴重なもので、この世にたった一つしかありませんでした。そこには、全ての宝の名前と、予言や魔術の方法が記されていたからです。父には年老いた師匠がいました。私たちはその師匠の許に行き、私たち4人のうちの誰が、その本の持ち主としてふさわしいかを教えてほしいと頼みました。師匠は言いました。"この本の持ち主になりたければ、シャマルダルという宝箱を開き、そこにある4つの貴重なものを持ってくることだ" 私たちは、その4つの貴重なものとは何かと尋ねました。師匠は言いました。「それは印章つきの指輪、剣、水晶玉、まゆずみ入れの4つである。これらはそれぞれ、不思議な特徴を持っている。印章つきの指輪には、ラアドという名前の使いがいて、ラアドは地上全体を支配下に置くことができるほどの強力な悪魔である。剣は、誰かがそれを鞘から引き抜いて敵に向けて動かしただけで、たとえ何人いようとも、全ての敵軍を打ち負かしてしまう。もし剣の持ち主が、剣よ、全ての敵を殺せと命じれば、剣から火が出て敵軍を襲い、全員を滅ぼしてしまうだろう。そして水晶玉は、それで全ての町と人々を見ることができる。もし、どこかの町を滅ぼしたければ、それを太陽に向けてかざせばいい。その町は瞬く間に燃えてしまうだろう。そして最後のまゆずみ入れは、それで目元に線を引けば、誰でも、地中にある全ての宝を見ることができるようになる」

私たちは師匠に、そのシャマルダルという宝箱を手に入れるには、どうすればいいのかと尋ねました。師匠はシャマルダルについて私たちに説明してから、言いました。「シャマルダルの宝箱は、今、アフマル王の息子たちが持っていて、魚を獲るためにカールーンの池に行くことになっているジョウザルという名前の若者だけが、それを開けることができる。もしその宝箱を見つけたいのなら、その池に行き、ジョウザルに会い、彼に自分の手を縛って水の中に投げ入れるよう頼むのだ。水の中に落ちたら、アフマル王の息子たちと戦いなさい。もし彼らに殺されてしまったら、それでおしまいだ。だが、もし彼らを打ち負かし、捕虜にすることができたら、自分の両手を水の外に出し、ジョウザルに助けを求めるのだ」

こうして、私と兄弟は、それを実行することに決めました。しかし、アブドルラヒームだけは、本もいらないし、池にも行かないといいました。そこで私たちはこの町にやって来て、アブドルラヒームは、商人のふりをしたのです。あとのことは、あなた自身がよくご存知でしょう。

ジョウザルは尋ねました。「それで今、アフマル王の息子たちはどこにいるのですか?」 アブドルサマドは言いました。「彼らはまさに、その器に閉じ込めた2匹の金魚だ。だが、ジョウザルよ、シャマルダルの宝箱を開けることができるのは、あなただけだ。宝のある町に私と一緒に行ってくれるだろうか?」 ジョウザルは少し考えてから言いました。「いえ、私にはできません。母と兄弟が私を待っています。もし私があなたと行けば、彼らの生活を支える人間がいなくなります」 アブドルサマドは言いました。「旅は4ヶ月以上はかかりません。私が金貨1000枚をあなたにあげますから、それを家族に渡し、4ヶ月間の生活費にしてもらうのはどうでしょうか?」 ジョウザルはこの提案を受け入れました。1000枚の金貨をアブドルサマドから受け取り、家に帰りました。そして、母親にそれまでのいきさつを話しました。ジョウザルは母親に金貨を渡して言いました。「この金貨は、あなたと兄弟たちの生活のためのお金です。そして私のために祈ってください」 それから母親に別れを告げ、ジョウザルはアブドルサマドと共に旅に出たのでした。

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