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2015/05/05(火曜) 20:23

サムエルとタールート

サムエルとタールート

若者は、父と共に、畑仕事にいそしんでいました。屈強な体格と、清らかな心を持つ彼は、畑仕事に夢中になっていたため、家畜たちが畑から離れて行ったことに気づきませんでした。しばらくしてから、若者は立ち止まり、額の汗をぬぐってから、辺りを見回しました。そのとき初めて、家畜がいなくなっていることに気づきました。そこで、畑の労働者と共に、家畜を探しに行きましたが、いくら探しても見つかりません。仕方なく家に戻ろうとしたとき、労働者が言いました。「ここは神の預言者、サムエルの生まれ故郷です。せっかくここまで来たのですから、彼の許に行き、指導を仰ぎましょう」

 

タールートはその申し出を受け入れ、労働者と共にサムエルの家へと向かいました。彼らが疲れ果て、空腹を感じながら高い山のふもとに着いた時、人々の話し声が聞こえてきました。「サムエルよ、私たちのために王様を選んでください。私たちがその王様の助けによって、神の道において戦うことができるように」 そのとき、その魅力的で光り輝く表情から、高貴な人物であることが伺える一人の人物が答えました。「あなた方、イスラエルの民は、非常に臆病です。もし戦いを任じられても、すべきことを互いに押し付け合うことになるでしょう。その上で、私はあなた方の問題について、神から命を受けましょう」

タールートと労働者は彼らに近づいていきました。サムエルは、彼らを認めると、突然、話をやめました。人々は後ろを振り返りました。サムエルは言いました。「ああ、やってきた。あなた方が待ち望んでいた人物だ。あなたたちの状況を整え、率いてくれる人物だ。彼の名は、タールート」
若いタールートは、驚いて言いました。「あなたは私のことを知っているのですか?私は貧しい農民に過ぎません。家畜を探して、ここに来たのです。あなたの知恵をお借りしようと思ったものですから」

サムエルは言いました。「心配することはありません。あなたの家畜たちは、今頃、あなたの父の畑へと向かっている頃でしょう。あなたは、神がお望みになった偉業を理解すべきです。世界の創造主である神は、あなたをイスラエルの民の王に選ばれました」
イスラエルの民は、この出来事に非常に驚き、互いを見つめあいながら、眉をひそめて言いました。「どうしたら彼が、私たちの王になどなれるのだろうか?彼よりも私たちの方が、ずっと王にふさわしいというのに。彼にはほとんど財産というものがない」

サムエルは答えました。「神は彼をあなた方のために選ばれ、彼の知識と能力を増やされた。神は、ご自分がお望みになる人物に王権を与えられる。神は全知全能であられる」
イスラエルの民は言いました。「もし神が命じられたというのなら、私たちもそれを受け入れます。ただし、なにか明らかなしるしを示してください」
サムエルは言いました。「神はあなた方のかたくなな心を知っておられます。そのために、示された印を見るべきです。ムーサーとハールーンの一族の遺産であり、あなた方が失ったために不幸と弱さに陥った、あの約束の箱が、今、あなた方のもとにもたらされます。天使たちが運んでくるその箱は、あなた方のための教訓となるでしょう。もしあなた方が信仰を持っていれば」

人々は興味を示しながら立ち上がり、辺りを見回しました。約束の箱は、彼らへの神の大きな恩恵であり、彼らにとって祝福に満ちたしるしがありました。イスラエルの民が、自分たちの宗教法から逸脱し、道徳や行動において腐敗や堕落に陥ったとき、約束の箱は姿を消し、イスラエルの民の結束も崩れてしまいました。人々は、約束の箱を見ると、タールートと契約を結び、彼が王座につくことを受け入れたのです。

タールートは、王座に着いた当初から、自分の政策を始め、イスラエルの民に向かって言いました。「希望者は、私の軍隊に登録してほしい。ただし、悩み事を抱えていない人に限る。建物を建てようとしている人。結婚を考えている人、取引を行っている人は、私の軍隊には入らないように」
軍隊が出揃い、タールートの前に整列しました。タールートは、深く考える表情で、兵士たちの表情を見つめました。彼らの一部の瞳には、(怯えや)疑いが波打っていました。彼らを試すため、タールートは大きな声で言いました。「私たちは道の途中で、小川にたどり着く。誰でも忍耐強く、私の命に従う人は、その水を飲んではならない。あるいは、手のひらに一杯、すくった分だけを飲むように」

しかし、軍勢は、その小川にたどり着いたとき、のどの渇きに苦しんでいたため、わずかな数の兵士たちを除いて、残りの人々は、その水を大量に飲んでしまいました。タールートは言いました。「今、私の真の軍隊は、敬虔で忍耐強い兵士たちである」
それから、兵士たちを2つのグループに分け、戦場に向かわせました。敵は、多くの武器を持っていました。ジャールートは、その中の英雄で、司令官でした。タールートの軍隊の中の臆病な兵士たちは、ジャールートを見ただけで青ざめ、言いました。「今日、私たちは、ジャールートと彼の軍隊に立ち向かう力がありません」 すると、わずかな数のタールートの兵士たちの中から、勇敢な少年が前に進み出て、タールートに言いました。「私は父から任務を受け、戦場にいる2人の兄弟の消息を、父の許に届けなければなりません。しかし私は今、ジャールートと戦いたいと思います」

タールートは最初、その申し出を聞き入れませんでした。ダーヴードという名のこの若者は、先ほどよりも強い決意を表しながら言いました。「私の幼さや弱さが、あなたを過ちに陥らせないように祈ります。私はつい昨日も、大きな熊を打ち倒しました。また少し前には、ライオンと闘ったこともあります」 タールートは彼の意思を賞賛し、戦うことを許可しました。しかし、ジャールートは、この少年を見るや否や、笑い出して言いました。「お前はもう、人生に満足したというのか?ひょっとすると、その手にある杖が、お前の武器だと言うのか?」
アナ2
まだジャールートの言葉が終わらないうちに、ダーヴードは弓に石をかけ、それをジャールートに向かって思い切り強く放ちました。すると突然、ジャールートの頭がかち割れました。(それは彼の頭に命中し、彼の頭からは血が流れてきました。)ジャールートがまだ、われに返らず、何が起こったかわかっていないうちに、ダーヴードはさらに次々にジャールートに向かって石を放ち、ジャールートはとうとう、地面に倒れてしまいました。

神はダーヴードに統治権と王座を与え、何でも望むことを彼に教えると共に、彼を神の預言者に選びました。
この物語は、コーラン第2章アル・バガラ章雌牛、第246節から251節までにあります。神はこの節の終わりに、次のように語っています。エ「もし神が、一部の人を、別の人々によって退けていなかったら、地上は腐敗していことだろう。だが神は、世界の人々に恩恵を与えてくださった」

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