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2015/05/06(水曜) 20:31

3人の兄弟 (4)

3人の兄弟 (4)

前回の番組では、ペルシャ語の民俗文学の詩の内容についていていく中で、物語に関してお話ししました。大衆向けの詩は、独立した形で物語を語るものもあれば、最初と最後、あるいは途中に物語がくるものもあります。鈴をつけたヤギの物語も、こうした物語の一つです。この物語は、イラン各地でそれぞれ異なった形で伝えられています。鈴をつけたヤギには3匹の子ヤギがいて、それぞれ、シャングール、マングール、ハッベアングールという名前です。子ヤギたちは、「オオカミが来たら気をつけなさい、決して扉を開けてはいけません」と母から教えられていたにも拘わらず、ある日、母ヤギが餌を探しに荒野に出かけている間に、オオカミの嘘に騙され、扉を開けてしまい、オオカミに食べられてしまいます。

鈴をつけたヤギは、オオカミの家の屋根裏に行き、そこでオオカミとの戦いに挑みます。

オオカミが言った、「そこで騒ぐのは誰だ?
私のスープに埃をたくさん入れるのは誰だ?」
ヤギが言った、「私だ、鈴をつけたヤギ
二本の足で飛び
4つのひづめと2本の角を持つ
私のシャングールをさらったのは誰だ?
私のマングールを食べたのは誰だ?
私と戦う覚悟があるのは誰だ?」

物語の合間に出てくる詩は、実際、物語の語りの一部を担っています。一部のこうした詩には、物語の中で決して欠かせない存在となっているものもあります。こうした詩が省略されたことによって生じる空白、物足りなさは、普通の人々から文学者に至るまで、全ての人に感じられるほど大きなものになります。実際、物語の中では、こうした詩が、中心的な要素を占めています。イラン人の子供なら誰もが知っている「ハーレ・スースケ」と呼ばれる物語で、主人公のハーレ・スースケが自分を紹介する際に歌う詩も、こうした特徴を有しています。

ここからは、ペルシャ語の物語をご紹介しましょう。今回も引き続き、千夜一夜物語から、ジョウザルとシャマルダルの宝箱のお話しをご紹介しましょう。ジョウザルは魚を釣るために訪れたガールーンの池で、ある兄弟と知り合いになりました。彼らは、父親から受け継ぎ、全ての宝や予言、魔術の方法が書いてある本を手にいれようとしていました。年老いた師匠は彼らに、その本の持ち主になれるのは、シャマルダルの宝箱のふたを開き、その中にある貴重な4つのものを持ってきた者だと言いました。また、その老人は彼ら兄弟に対し、この宝箱はアフマル王の息子たちの許にあり、ジョウザルという人物だけがそれを開けることができると言いました。兄弟たちは、ジョウザルの助けを借りてアフマル王の息子たちと戦い、彼らを捕らえなければなりませんでした。しかし、アフマル王の息子たちと戦った2人の兄弟は死んでしまいました。そして初めから本を手に入れることをあきらめていた兄弟の一人、アブドルサマドが、ジョウザルの助けを借りることに成功し、シャマルダルの宝箱の場所まで行くことになりました。

アブドルサマドとジョウザルは旅に出ました。ずいぶんと時間が経っていたため、腹がすいていたジョウザルは、アブドルサマドに、「食べるものを持ってくればよかった」と言いました。アブドルサマドはラバを止め、言いました。「どんな食事がいいのか言ってくれれば用意しよう。鶏の丸焼きかい? それとも牛肉のキャバブがいいかな。甘い味をつけた炊き立てのご飯はどうだい?」 ジョウザルは言いました。「君が今挙げたごはんが全部、ここにあったらよかったのに。でも、それがない今は、一口のパンとチーズでも満足だ」 アブドルサマドは笑って言いました。「私が今、挙げた食事をここに用意しよう」 それから、ラバの背の袋に手を入れ、ジョウザルが驚いている前で、料理がたくさん載った皿を取り出しました。それからまもなく、24種類もの料理がジョウザルの前に並べられました。ジョウザルは驚いて言いました。「こんなにたくさんの食事ができるなんて、あのラバの袋には台所があるのかい?」 アブドルサマドは言いました。「この袋は魔法の袋なのさ」

ジョウザルはそれ以上何も言わず、料理を食べ始めました。二人は満腹になるまで食べました。それからアブドルサマドが水の入った器を袋から取り出し、2人は体を清め、礼拝を行い、再びラバの背中に乗って旅を続けました。アブドルサマドはジョウザルに尋ねました。「ここまでどれくらいの時間で来たか分かるかい?」 ジョウザルは言いました。「半日くらいだろう」 するとアブドルサマドは言いました。「いや。僕たちはすでに、1か月分の道を進んでいる」 ジョウザルは驚き、信じられない様子でアブドルサマドを見つめました。アブドルサマドは言いました。「驚くことはない。私のラバは毎日、1年分の道を進む。でも僕は君のために、ゆっくりと進ませているからね」
彼らの旅は4日間かかり、5日目には目的地に着きました。町の門をくぐり、前に進みました。アブドルサマドは、ある大きな家の前でラバを止め、ラバから降りると、扉を叩きました。すると、幼い少女が扉を開けました。アブドルサマドは、魔法の袋をラバの上から取りはずし、ラバに「戻れ」と言いました。すると突然、ラバの足元で地面が割れました。ラバがその割れ目に落ちていくと、再び割れた地面が元通りに閉じられたのです。

アブドルサマドとジョウザルは、その少女の家の中に入りました。その家は非常に大きくて美しく、高価なじゅうたんが敷き詰められていました。アブドルサマドは少女を呼び、包みを持ってくるよう言いました。少女が包みを持って戻って来ました。それから包みを開けると、そこにあった美しい服をジョウザルに与えて言いました。「それを着なさい」 ジョウザルがその服を着ると、まるで王子様のような姿になりました。アブドルサマドは魔法の袋に手をふれ、そこから様々な種類の料理を現しました。彼らは一緒に座り、食べ、満腹になって眠りました。

翌日も、その翌日も、それからしばらくずっと、アブドルサマドは新しい服をジョウザルに与え、豪華な食事を用意しました。こうして20日間が過ぎました。21日目の朝、アブドルサマドはジョウザルに言いました。「今日が約束の日だ。シャマルダルの宝箱を手に入れに行こう」 ジョウザルは立ち上がり、アブドルサマドと一緒に家を出ました。するとそこには2頭のラバがいました。2人はラバに乗り、歩き出しました。しばらく進み、昼近くになって小川のほとりにつくと、彼らはラバから降りました。アブドルサマドが指で指した場所に、2人の召使いが現れました。彼らはラバに乗ってそれぞれが別の方向に行きました。そしてまもなく、大きなテントと美しいじゅうたんを持って帰って来ました。彼らは魔法の袋と金魚が入った器も持ってきて、それらをテントの中に置きました。アブドルサマドは食事を取った後、金魚が入った2つの器を手に取り、祈りささげ始めました。すると突然、彼の手の中で器が割れて粉々になりました。すると、割れた器のかけらの間から、手を縛られた2人の男が現れました。彼らは嘆願して言いました。「アブドルサマドよ、どうか私たちを解放してくれないか」

アブドルサマドは言いました。「シャマルダルの宝箱を開けると約束するまで、お前たちを自由にするわけにはいかない」 2人の男は言いました。「魚釣りのジョウザルを連れてきてください。宝箱を開けることができるのは彼だけです」 アブドルサマドは言いました。「ジョウザルはここにいる。私たちの会話も彼に聞こえている」 2人の男はそれを効くと、宝箱の扉を開けると約束しました。アブドルサマドは2人の男を解放しました。それから、大きくて丈夫な木の棒と、数個の赤い宝石を持ってきました。そして、赤い宝石を木の棒に吊るしました。そして線香を持ってきて、それに火をつけ、ジョウザルに言いました。「私は祈りを始めます。私は祈りが終わるまで誰とも口を利きません。でも祈りが終わる前に、あなたに何をすべきかを話します。だからよく聞いてください。目的が果たせるように、私が言うことをしっかりと覚えてください。私が祈りを捧げ、線香に火をつけます。そのとき、この小川の水は完全になくなり、そこに金色の大きな扉が現れます。その扉には、宝石のはまった2つの輪があります。あなたは扉に近づき、その輪を3回、扉に叩きつけてください。そして、『私は魚釣りのジョウザルです』と言ってください。そうしたら扉が開きます。そのとき、剣を持った男が出てきて、『もしあなたが本当にジョウザルなら、下を向きなさい。あなたの首をこの剣で断ち切ってやる』と言います。でもあなたは怖がることはありません。彼の言うことに従って下を向いてください」

アブドルサマドは続けました。「彼は剣を振りかざし、あなたの首をたとうとします。でもそのとき、彼は倒れて死んでしまいます。覚えておいてください。もし自分の首を後ろに引いたりしたら、そこであなたは死んでしまうでしょう。扉から入って、中に進むのです。するとまた、別の扉が現れます。それも叩いてください。すると、扉が開きます。そこには、やりを持った男が現れます。彼はやりをあなたに向けて投げてくるでしょう。でも恐れてはいけません。堂々と胸を張っていてください。槍があなたの胸に当たりますが、怪我をすることはありません。でも、男は倒れて死んでしまいます。そのとき、あなたはさらに進むことができます。そして3つ目の扉に着くでしょう。それも叩いてください。すると、弓と矢を持った男が現れます。彼はあなたに向かって矢を放つでしょう。でもそこで後ずさりしてはなりません。後ずさりすれば、死んでしまいます」

こうして、アブドルサマドは7つ目の扉が開くまでに起こる全ての事柄を、ジョウザルに話し、それらへの対処法を説明しました。そして最後に、こう付け加えました。「そこまできたら、宝箱の扉が開くでしょう」

 

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