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2015/05/12(火曜) 20:21

3人の兄弟 (5)

3人の兄弟 (5)

この番組では、ペルシャ語の民俗文学の様々なジャンルについてお話しています。物語を口で語ったり、音楽やリズムに合わせて語ったりする方法は、世界の様々な民族の間で最も古い時代から広まってきたものです。世界の古い宗教的、民族的な英雄伝の多くは、筆記されたり文学として体系だてられる前には、詩人や語り手によって、人々が集まった際に語られていました。ギリシャの「イリアス」と「オデュッセイア」、インドの「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」、ヨーロッパ中世のシャンソンと呼ばれる歌曲、そしてイランのフェルドウスィーのシャーナーメなどの英雄叙事詩、これらは皆、歴史によれば、筆録されるよりも先に、人々に直接、語り伝えられていた作品です。

様々な出来事が起こる恋愛の物語は、現在、世界の様々な民族の文学の一部を占めていますが、それらも、筆録されるよりも先に語り継がれたものです。これらの物語は、最初、宮廷や家庭、その他、町や村の人々が集まる特別な場所で、人々のために語られていました。

フランスの研究者ジュリウス・モール氏によれば、昔から人々が口から口へと伝えてきた物語や言い伝えは、様々な民族の歴史の根幹を成すということです。歴史はそこから始まります。なぜなら、人間は書き記す前に物語を語り、詩を歌っていたからです。これらの物語の語り手はナッガールと呼ばれ、その語りは、一つの技術と見なされています。イランの民族文学の優れた研究者、ジャアファル・マフジューブ博士によれば、語り手たちは表現力があり、物語や伝説を語ることに長けていました。彼らは様々な場所で人々を夢中にさせ、それによって生計を立てていたのです。

物語を語る儀式は、古くから、イランでも、また様々な民族のイスラム教との間でも広まっており、様々な書物の中で、イランやアラブの語り手たちの名前が出てきます。イスラム初期にメッカに住んでいたアラブ部族のひとつ、クライシュ族の貴族の一人は、イスラムが生まれた当初にイランにやってきて、ロスタムとエスファンディヤール、ロスタムとソフラーブの物語を、イランの語り手たちから学び、それをアラビア半島で人々のために語ったと言われています。また、アブー・マンスーリーのシャーナーメの序文にも、イランの物語の語り手の名前が挙げられています。フェルドウスィーの貴重な作品、シャーナーメの多くの物語も、もともとは伝承でした。

ここからは、前回に引き続き、ジョウザルと兄弟たちの物語をご紹介しましょう。

ジョウザルはアブドルサマドと一緒に旅に出ました。アブドルサマドは魔法の袋を持っていて、その中から、自分が食べたいと思うどんな食べ物でも出すことができました。彼らは、普通なら4ヶ月もかかる4日間の旅を終えた後、シャマルダルの宝箱がある町にたどり着きました。そこで、2人はアブドルサマドが持つ豪華な家に行き、ジョウザルは20日間、様々な食事や服によって豪華なもてなしを受けました。21日目、2人は宝箱のある場所に向かい、アブドルサマドは、宝箱に達するための様々な段階をジョウザルに説明し、危険にどのように対処するかを教えてから言いました。「その後、宝箱のふたが開けられる。そうしたら、そこに入るんだ。天井からつるされた大きな幕を横にひくと、そこに、王座に座ったシャマルダルがいるだろう。シャマルダルの頭の上には、丸く輝く水晶玉がある。また腰には魔法の剣をつけており、指には印章のついた指輪をはめている。首には鎖があって、そこにまゆずみ入れが吊るされている。これら4つを持ってきて、宝箱から取り出すのだ。私は宝箱の外で待っている」

ジョウザルは立ち上がって言いました。「分かった。神を頼りにして行くことにしよう」 アブドルサマドは祈りを始めました。すると突然、ジョウザルの目の前で小川が完全に乾き、そこに大きな金の扉が現れました。ジョウザルはその扉に近づきました。扉についた宝石の輪を手に取り、3回叩きました。誰かが扉の向こうから叫びました。「扉を叩くのは誰か?」 ジョウザルは言いました。「私は魚釣りのジョウザルです」 すると扉が開きました。ジョウザルは、アブドルサマドが説明してくれた全ての段階を踏み、作業を続けると、6つの扉が次々に開いていきました。ジョウザルは7つめの扉につき、それを叩きました。扉が開くと、ジョウザルは母親の優しい顔を見つけました。母親は両腕を広げ、ジョウザルを胸に抱こうとしました。ジョウザルはアブドルサマドの言葉を思い出し、大きな声で言いました。「私から遠ざかりなさい。正体を見せなさい」 母親は言いました。「何ということを言うのです?私はあなたの母親ですよ」

ジョウザルは壁にかかっていた剣を取り、それを母親に向けて言いました。「あなたは私の母親ではありません。すぐに招待を見せてもらいましょう。さもなければ、私はあなたを殺します」 母親は泣きながら言いました。「私はあなたを苦労して育てたというのに。それが私の愛情に報いる態度ですか?」 ジョウザルはその言葉を聞き、心が揺らぎました。そこで、剣を地面に捨てて言いました。「私を許してください」 しかし、自分の言葉を言い終えないうちに、母親ではなく、恐ろしく醜い老婆が現れました。魔法使いの老婆は叫びました。「ジョウザルが間違いを犯した。彼を叩きなさい」 すると突然、宝の番人たちがあちこちからジョウザルに向かってきて彼を叩き始めました。彼は余りに叩かれすぎて気絶し、宝箱から外に追い出されました。宝箱のふたが閉じられ、最初と同じように小川が流れました。ジョウザルが意識を取り戻すと、そこにアブドルサマドが立っていました。ジョウザルは泣きながら、それまでに起こったことを話して聞かせました。

アブドルサマドはため息をついて言いました。「私はあなたに言ったはずだ。彼女はあなたの母親じゃない。彼女に騙されてはならないと。もし彼女の魔術を退けていたら、私たちは宝物に到達していたはずだ。私たちは引き返してあと1年、待たなければならない。その日まで、あなたは私のそばにいてください」
ジョウザルとアブドルサマドは町に戻りました。ジョウザルは1年間、アブドルサマドの許に留まりました。こうして約束の日がきました。彼らは小川の傍らに行き、ジョウザルは6つの関門を乗り越えました。そして7つめの扉に到達したとき、再び母親が現れました。ジョウザルは剣を壁から取りました。母はジョウザルに、自分を殺さないよう嘆願しましたが、ジョウザルは、今度は騙されることなく、彼女に招待を見せるよう迫りました。魔術師の老婆は倒れ、その醜い姿が現れ、魔法が解けました。ジョウザルはさらに進み、宝箱のふたを開け、中に入りました。

彼は剣と指輪、まゆずみ入れと水晶玉を取り、急いで宝箱の扉に向かって走りました。するとそのとき、あちこちから太鼓の音が聞こえました。宝箱の番人たちは太鼓を叩き、こう叫んでいました。「ジョウザルよ、この宝箱はお前のものだ」 ジョウザルは宝箱から外に出ました。アブドルサマドはジョウザルに近づき、ジョウザルと抱きあいました。ジョウザルは宝箱から持ってきた4つのものを彼に渡して共に町に戻りました。彼らは家に帰り、食事をとって、旅の疲れを癒しました。それから、アブドルサマドはジョウザルに向かって言いました。「ジョウザルよ、あなたは私のために本当に努力してくれた。何でも欲しいものをお礼に差し上げたい」 ジョウザルは言いました。「私は神以外の誰かに何かを望むつもりはありません。でも、あの魔法の袋がもらえればありがたいです」 アブドルサマドは魔法の袋をジョウザルに渡して言いました。「もっと価値のあるものを望んでくれたらよかったのに。この袋は食べ物を出すだけだ。だがよく聞いてくれ。この袋から食べ物を出す方法を教えよう。手を袋の中に入れて、こう言うのだ。袋の召使よ。この袋の中に記された偉大な名前に誓って、これこれの料理を私のために用意してくれと。そうすれば、袋の召使は、あなたが望む料理を出してくれるだろう。でも、私はこれ以外に、金や宝石で詰まった袋もあなたにあげよう」

それからアブドルサマドは召使いの一人を呼び、言いました。「ジョウザルのために、金や宝石のたくさん入った袋を持ってきて、彼をラバに乗せ、彼の家まで送ってやりなさい。それからラバを連れて帰ってきなさい」 ジョウザルは、アブドルサマドにもらった2つの袋を持ってラバに乗り、召使いと一緒に家に向かいました。翌朝、自分の町につき、家路に向かう途中で、物乞いをする自分の母の姿を見かけました。ジョウザルは驚きの声を上げました。そしてラバを止め、母親の近くに駆け寄りました。ジョウザルは母を抱きしめて泣き始めました。それからジョウザルは母をラバに乗せ、家に帰りました。母親は、ジョウザルがくれた金貨を、彼の兄弟たちに騙されて奪われてしまったのだと話しました。ジョウザルは母親を慰めてから言いました。「もう悲しむことはありません。私がそばにいますから」 ジョウザルはそれから母親のために、食布の上に、色々な料理を並べました。

 

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