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2015/11/01(日曜) 21:00

ラスール・サドルアーメリー

ラスール・サドルアーメリー

イランの映画作家の一人に、ラスール・サドルアーメリーという監督がおり、彼は長年、文化の様々な分野で活動し、最も優れた社会派映画作家の一人と言われています。今夜はこの監督についてお話しすることにいたしましょう。

 

ラスール・サドルアーメリーは、現在58歳で、イラン中部の歴史的・文化的都市、イスファハーンで生まれ育ちました。彼は新聞記者という職業に興味を持ち、これにより17歳のときから雑誌記者として活動し、リポーター、物語作家、編集者として、報道各社と協力を行いました。この間、サドルアーメリーは常に複雑な問題を追いかけ、家庭裁判所に関する彼の報告は多くの人に読まれました。

1978年にイランイスラム革命が最高潮に達し、サドルアーメリーは、ホメイニー師が亡命していたフランスの村、ノーフル・ル・シャトーを訪問し、彼と共にイランに帰国しました。彼は20年後、この経験を一人の記者の記憶を語るシリーズの形で再現しました。このシリーズは、一人の新聞記者が革命から20年たってパリを訪問し、当時を知るエールフランスのパイロットや乗務員らを探し出す、という物語で構成されています。

ラスール・サドルアーメリーは、革命後、映画の世界に入ります。1980年の『流血』は、彼が初めて制作に関わった映画です。彼はこの他たくさんの作品を監督し、また幾つかの映画の脚本も執筆しており、戦争や社会問題に関する数十本のドキュメンタリー作品を制作しています。

社会の秩序と混乱を映画の中で描くサドルアーメリーは、社会派映画ついて次のように語っています。
「社会派映画は、警告の映画であり、一部の人々はそれを好ましく思わない可能性がある。社会派映画に関わる映画作家は、すべての人の注目を引き付けるような黒いしみを描き出し、それによって、そのしみが広がり、悲劇に変わる前に、家族から体制関係者までの社会の管理者にその解決策を模索させようとしている」
おそらく、サドルアーメリーの最大の特徴とは、こうした不安定さと社会状況の改善に向けた努力であり、これは出版や映画において最初から追求されていたことでした。

サドルアーメリーの初めての監督作品は、『解放』と言う映画です。これは、イランとイラクの兵士の物語で、この中では様々なテーマが追求されています。この二人の兵士はすでに前線にはなく、兄弟のように互いに抱き合おうとします。この結末は、それが戦争が激しく続いていた1984年に制作されたことから、物議を醸しましたが、制作者が人間関係を深く見つめていたことを表すものです。

サドルアーメリーは、刑務所から出所する前に殺されてしまった父を持つ盲目の青年が主人公の『菊の花』という映画で、その当時の様々なテーマを提示しました。革命後の数年間、イラン映画のテーマは、王政、村の地主の圧制、あるいは麻薬密輸との闘いなど、いくつの内容に限られていました。社会もまた、イランイラク戦争に巻き込まれていました。こうした状況の中、『菊の花』は、当時、商業的に成功し、イラン映画の基盤を強化した最初のメロドラマに含まれていました。これを受け、出来事への彼独自の視点は、実際の物語に基づいた『犠牲』という作品の制作や、『生きたい』という映画の脚本執筆の基盤になり、どちらも社会問題を家族の中の個人的な問題に結びつけています。

『ズック靴の少女』という作品は、この映画制作者のスタイルを新たな段階に投入させただけでなく、社会派映画、若者の世界に注目を寄せる作品を制作するきっかけになりました。これは長年、イラン映画において見られなかったものです。この作品は、家族や社会から正当な評価を受けずにいる多感な青少年の世界を描こうとしています。この映画の警告は実際、家族から教育関係者、学校の責任者まで、社会の管理者すべての注目を集め、彼らに若者への対応方法を見直すよう呼びかけています。この映画の成功により、サドルアーメリーの次の作品でも、少女を主人公した作品が制作されました。

『私はタラーネ、15歳』は、2001年に制作された映画で、多くの人が今も彼の最高傑作だと考えています。新たな理念の実現におけるサドルアーメリーの能力は、その作品を一般の人々にとって見ごたえのあるものにし、批評家や専門家の注目を集めるものとなっています。彼は後に、少女の社会問題に関する三部作の最後の作品として、『アイダ、私は昨晩あなたの父に会った』を制作し、再び、親が子供の人生を左右する影響力に注目させています。サドルアーメリーは、この作品により、実際、健全で前向きな家族の人生は社会の未来、若者世代を保証するものであり、社会的な混乱の発生を防ぐという基本的かつ重要な点に言及したのでした。

興味深いのは、ラスール・サドルアーメリーの映画制作の流れを見ていくと、路線変更とも言える地点にたどり着く、ということです。過去10年、イラン映画には様々な傾向が見られ、そのうちの一つが、「実質主義」と呼ばれるもので、精神的な傾向を強調する一部の作品がこうした映画に当てはまります。サドルアーメリーは、『夜』と『毎夜一人で』という2本の映画の政策により、この領域に足を踏み入れましたが、それらの中では社会的な批判や新しい傾向の兆しを目にすることができます。

『毎夜一人で』は、人間の宗教や精神性、安定に対する見方により、様々な宗教の信者から歓迎され、他の国でも多くの観客を獲得しました。この映画は、若い夫婦の聖地マシュハドへの旅の物語です。妻は精神的にも肉体的にも病んでいて、夫は彼女に安らぎを得るために旅に出ることを提案します。マシュハドには、シーア派8代目イマーム、レザーの聖廟があり、妻は何とかしてこの聖地に行こうとします。ついに彼女は、様々なしがらみから解放され、巡礼の準備を整え、聖地の中に入ります。映画ではためらい、熱情、悲しみ、喜びといった感情の美の瞬間が描かれ、サドルアーメリーは、イマームレザー廟の数百万人の巡礼者がこの映画の観客になりうるとしています。

この映画作家の作品は、イランの国内外で、多くのファンを持ち、評論家や専門家、映画祭からも高く評価されています。ファジル映画祭や児童・青少年映画祭などで数十の賞を受賞し、さらには映画評論家からも賞賛の声が上がっており、これらはイラン映画におけるサドルアーメリーの成功に含まれるものです。

世界的にも、サドルアーメリーは多くの成功を手にしています。第50回ベルリン映画祭での審査委員特別賞をはじめ、インド、ポーランド、エジプト、ギリシャ、中国、スウェーデン、日本、カナダ、ベルギーの各映画祭で賞を受賞しています。また、ロカルノ映画祭で審査員特別賞、シカゴ映画祭での最優秀作品賞などの受賞もまた、彼の成功の経歴に含まれるものです。

サドルアーメリーは、このように述べています。
「自分が製作した映画の中でどれが一番すきか、とよく聞かれるが、そのたびに、今作ろうとしている映画だと答える。今、"老いることは美しい"という内容の映画を制作しようと考えている。白髪や皺の刻まれた顔は人間をある種の理解へと導く。しばらく前から、私の頭にはこのテーマが浮かんでいる」

 

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