このサイトは更新されていません。新サイトはこちらです。 Parstoday Japanese
2015/11/18(水曜) 19:31

ナッガーリー(7)

ナッガーリー(7)

これまで数回に渡り、ペルシャ語の民俗文学のジャンルの一つ、ナッガーリーについてお話してきました。今回も引き続き、ナッガーリーについてご紹介します。

 

物語の語り手であるナッガールたちは、ガフヴェハーネと呼ばれる喫茶店や町の広場、その他の公共の場所で、独自の形式により、民族物語や英雄物語を語ります。ナッガーリーの主な聞き手は、普通の人々です。ナッガーリーには舞台装置はなく、ナッガールが衣装を着替えることもありません。ただ特別な木の棒を手にし、興奮や感情を示す特別な動きにより、その木の棒を動かします。ここで、ナッガーリーの一部をお聞きいただきましょう。

ナッガーリーの物語を聞こうとする人々は、自由に食べたり飲んだり、出たり入ったりすることができます。しかし、どのような状態にあっても、意識はナッガールの物語に集中しています。ナッガールの語り方が臨場感に溢れているため、例えばロスタムとソフラーブの物語で、ソフラーブが死に至る場面になると、観客たちの間から泣き声が聞こえてきます。中には、ソフラーブの死の場面を聞きたくがないために、その場を離れ、出て行く人もいます。また、ナッガールに金を払い、ロスタムによってソフラーブが殺される場面を省略してほしいと頼む人々さえいるのです。

ナッガールたちは、時に、重要な上演の場では鎖帷子を身にまといます。このような集まりでは、特にソフラーブが殺される場面で長老たちが招かれます。ナッガーリーの宴は、主に金曜の午後に開かれます。ナッガールたちは、多くが、物語から道徳的な結論を導き出します。ナッガーリーは通常、詩と会話を伴っていて、およそ200人の観客の前で行われ、およそ1時間から2時間かかります。ナッガールの主人公の語り方はすばらしく、観客は誰もが、物語の主人公を愛するようになります。時には、好きなようにテーマを変えたり、観客が退屈そうにしている場合には、再び物語に惹きつけるような工夫を凝らします。

それぞれのナッガールは、自分の得意なジャンルを持っています。そのうちの一つは、シャーナーメの語り手で、これは最も重要なジャンルです。もう一つは、詩を伴った恋愛物語の語り手です。ナッガールの声は、聴衆を惹きつける上で重要な役割を果たし、その人の表現力は経験によって培われます。一部のナッガールは、子供の頃から他のナッガールたちの語りを聞き、少しずつ興味を持つようになって、自分自身が物語の語り手になることもあります。ナッガールは世襲的な職業ではなく、親がナッガールで、その子もナッガールになるというケースは非常にまれです。

ここからは、イランに伝わる物語をご紹介しましょう。

昔々のこと。あるところに、3人の息子がいる商人が暮らしていました。商人は年老いて体が弱ってきたため、長男を呼んで言いました。「私はもう、体の自由がきかなくなっている。そこで、商売をお前に譲ろうと思う。だがまず、お前にこの仕事ができるかどうかを確かめておきたい」 商人は息子を試すために、彼に100トマンを渡し、それによって、宝石や何でも好きなものを買い、商売をするよう言いました。息子も父親の言葉を受け入れ、100トマンを受け取って市場に出かけていきました。道の途中で、長男は遊び人の友人たちに出会い、彼らに加わり、父親から受け取った金を全て使ってしまい、朝まで遊び歩きました。

朝になりました。長男は金も失い、手ぶら状態で父親の家に帰りました。父親は息子の様子を確かめてから、彼が娯楽にふけり、金を使い果たしてしまったことに気づきました。父親は息子に、それまで何をしていたのかと尋ねました。息子は、自分がそれまでしていたことを父親に話しました。父親はうなずいて言いました。「お前に商売は向いていないようだ」 それから召使いを呼び、2番目の息子を連れてくるよう命じました。2番目の息子がくると、父親は言いました。「昨日もお前の兄さんに話したのだが、私はもうすでに老いぼれて体が言うことをきかなくなっている。そこでお前の兄さんに、私の代わりに商売を始めるよう言ったのだが、彼はその金を娯楽に使い果たしてしまった。彼はどうやら、商売には向いていないようだ。そこで、今度はお前に100トマンを渡そう。お前も兄さんのように遊び歩くのか、それとも商売に向いているのかを確かめてみよう。もしお前が立派に成果を出すことができたら、店をお前に任せ、私は引退することにしよう」

次男も父親の言葉を受け入れ、金をもらって市場に向かいました。しかし、次男もまた、数人の悪い仲間たちにつかまり、100トマンをたった一晩で、酒やばくちに使い果たしてしまい、翌朝には無一文になって家に帰りました。父親は尋ねました。「お前に渡した金で何をしたのか?」 次男もまた、長男と同じ答えを返しました。父親は次男にもこう言いました。「何でも好きなことをしたらいい。お前も兄さんと同じように、どうやら商売には向いていないらしい。そんなことを続けていたら、困難に陥り、不幸になるだけだ」

父親は、最後の望みを三男にかけ、彼を呼んで言いました。「お前の兄さんたちは、どうやら商売には向いていないようだ。彼らはいつか、困難に陥るだろう。今度はお前に100トマンを預けるから、その金を持って市場に行き、何でも好きなものを買いなさい。それを別の町にもって行って取り引きを始めるのだ」 三男はそれを受け入れ、100トマンを持って市場に向かいました。道の途中で、一人の死んだ人が木に縛られ、鞭で叩かれているのを見ました。三男はそこに近づいていき、なぜ死んだ男を鞭で叩くのかと尋ねました。彼らは答えました。「お前には関係ない。他人のすることに口出しをするな」 三男は言いました。「私は別に、口出しをするつもりはありません。どういういきさつでこうなったのかを教えてください。もしかしたら、私に何かできるかもしれません」 すると、男を叩いていた仲間の一人が言いました。「私たちはこの男に100トマンを貸していたのだが、彼は死んでしまった。だから彼の遺体を叩いて、返してもらおうとしているだけだ」

三男は言いました。「死んでしまった者には何も分からないでしょう。さあ、早くそのひもを解き、遺体を洗って白い布で包むのです。遺体を土に埋めましょう。彼から返してもらうはずだった100トマンは、私があなたたちに返します」 彼らは三男の言うとおりにし、作業が終わった後、100トマンを受け取りました。三男はこうして金を失い、何も買うことなく、家に帰りました。父親は言いました。「渡した金で何をした?」 三男は言いました。「死んだ人を自由にしてあげました」 それから、その日にあった出来事を父親に話しました。父親は言いました。「お前は立派なことをした。さあ、あと100トマンをあげるから、それで商品を買ってきなさい」 三男は金を受け取り、それで宝石や必要なものを買って家に帰りました。父親は、三男が商売に向いていることを悟り、さらに100トマンを彼に渡し、それで数人の召使いを雇うよう言いました。三男は出かけて行きました。しかし、市場を探し回っても、ふさわしい人物が見つかりません。

三男はなおも歩き回り、とうとう町の門のところに着きました。そこで、裸の人間が門から中に入ってくるのを見かけました。彼は、「召使いになります」と言っています。三男は、市場では召使いを探せなかったので、その裸の男を雇うことにし、父の家に連れて帰りました。父親はすぐに言いました。「なぜ裸の人間を連れてかえってきたのだ?」 三男は言いました。「ずいぶん探したのですが、誰も見つかりませんでした。そんなとき、召使いになります、と言っていたこの人を見かけたのです。そこで、連れてきました」

父親は、裸の男に名前を尋ねました。裸の男は、ファラーマルズと答えました。父と息子は、裸の男に着るものを与え、明日の朝から旅に出発するから、支度をするようにと言いました。また、その男に朝食の用意を頼み、日の出と共に出発することを伝えました。さて、この後はどうなるでしょうか。続きは、次回のこの番組でお送りいたします。

Add comment


Security code
Refresh