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2015/12/14(月曜) 23:25

ナッガーリー(8)

ナッガーリー(8)

今回も、ペルシャ語の民俗物語のジャンルの一つ、ナッガーリーについてお話しましょう。

 

物語の語り手であるナッガールたちは、非常に優れた心理学者であり、観客の精神状態を考えながらプログラムを進めます。彼らは、優れた役者であり、観客の興味をひきつけ、興奮の渦に巻き込みます。また、ナッガーリーでは、物語を終わらせ、別の物語を始める必要はありません。時には2つ、あるいはそれ以上の物語を融合させ、一つの物語として終わらせることもあります。一部の研究者は、新たな文学的な活動の基盤は、過去、特にアジアの儀式に見出すべきだと考えています。彼らは、「このナッガーリーの特長、つまり2つ以上の物語が組み合わされていることは、現代の物語のルーツとして捉えることができる」としています。

ナッガールたちが読み上げる物語の典拠は、それぞれの分野で異なっています。英雄物語は、イランの民族的な文化の重要な部分を占めており、3つのスタイルがあります。それらは、記述されたもの、ナッガールたちによって語られるもの、口承から書物になったものです。記述されたものは、ナッガールたちをはじめとする全ての人が手にすることのできる書物です。二つ目のナッガールたちによって語られるものとは、どこかに記録されているわけではなく、口から口へと伝えられたもので、それに関する重要な研究は行われていません。三つ目は、口承で伝えられてきたものを集め、書物の形にしたものです。

記述されたものは、ナッガールたちが使う資料の大部分を占め、フェルドウスィーのシャーナーメの他、ギャルシャーセブナーメ、バフマンナーメ、ハフトペイキャル、サームナーメの他、歴史的な英雄物語が数多く存在し、それらの多くは、ペルシャ語の重要な詩と見なされています。この他にも、ハムゼの秘密、サマクアイヤールなどの民俗物語があります。こうした物語の一部は、サマクアイヤールのように、著名なナッガールの語りによって収集されています。サマクアイヤールの中では、観客に金を求めることなど、一部のナッガーリーの風俗習慣についても触れられています。物語の主人公であるサマクアイヤールは、セルジューク朝末期に生きた人物です。この本は12世紀ごろに編集された見られ、ペルシャ語の最も標準的な英雄伝の一つと見なされています。

ここからは、イランに伝わる物語をご紹介しましょう。今回も前回に引き続き、3人の息子がいる商人のお話です。

昔々のこと。3人の息子がいる商人は、年老いて体も弱くなったため、自分の商売を息子に譲り、残りの人生を神への礼拝に勤しみながら過ごすことに決めました。そこで、まず、3人の息子それぞれに100トマンを与えて彼らを試すことにしました。長男と次男は、宝石や商売のための品を買う代わりに、金を浪費してしまいました。しかし、三男は、金を返さずに死んでしまった男の代わりに、その100トマンで借金を返しました。父親は、この息子の行いを称賛し、さらに100トマンを渡して、宝石や商品を買いにいかせました。三男もそれを実行し、こうして父親は自分の商売を三男に譲りました。三男は、召使いのファラーマルズと一緒に旅に出ました。彼らは道の途中で、隊商宿で休憩することにし、ファラーマルズは、彼らを襲おうとしていた40人の盗賊を倒してしまいました。また、貯水槽で休もうとしていたときにも、ファラーマルズはオオカミとキツネの会話を聞きつけ、街の王様の娘が気が狂ってしまったこと、それを治す薬は犬の脳みそであることを知りました。ここまでが前回のお話しです。

さて、ファラーマルズは、犬の脳みそを手に入れ、それをハンカチに包んで王様の宮殿に行きました。ファラーマルズは自分は医者だと言いました。すると、宮殿の役人たちに、王様の前に連れて行かれました。ファラーマルズは挨拶をし、王様の娘を治しにやって来たと言いました。王様は言いました。「もし娘を治すことができなかったら、他の者と同じように、お前の命はないと思いなさい」 それから王様は、何が必要かと尋ねました。ファラーマルズは言いました。「火ばちと酢が入った器を用意してください」 王様は、すぐにそれらを用意するよう命じました。そして王様の娘がやってきました。王様の娘は気が狂っていたので、ファラーマルズにつかみかかりました。ファラーマルズは、水に溶かした犬の脳みそを娘の鼻にかけ、酢を半分、娘の頭にかけました。王様の娘は少し動いてから言いました。「この知らない人は誰ですか?」 ファラーマルズは言いました。「おとなしくしていてください。私は医者です。あなたを治しにきたのです」 それから、娘が治ったことを王様に伝えて欲しいと言いました。

王様が王妃と一緒にやって来ました。そして、娘が正気に戻った状態で座っているのを目にしました。王様は街中を明るく飾りつけるよう命じ、ファラーマルズは華々しく、王様の宮殿に連れて行かれました。きらびやかな衣装も与えられましたが、ファラーマルズはそれを断りました。王様は言いました。「ファラーマルズは娘を治してくれたのだから、2人は結婚すべきだ」 しかしファラーマルズは、私に妻は必要ない、自分には主人がいて、もし主人が望めば、彼を王様の娘と結婚させたらよいと言いました。それから、ファラーマルズは自分の主人のもとに帰り、全てのことを話し、それから一緒に王様の宮殿へと向かいました。王様は、金の椅子を持ってきてファラーマルズの主人である、商人の三男に勧めました。王様は彼に、娘と結婚するよう言いました。三男は最初は嫌そうな様子を装っていましたが、最後には、それを受け入れました。

こうして、三男と王様の娘は婚約し、7日間、祝いの宴が催されました。それからしばらくして、2人は50個の袋に入った宝石、10人の召使いを連れて別の場所へと移動しました。ファラーマルズは言いました。「これでよかった。召使いの数が増えたのだから」 彼らはそこに住むことになりました。ファラーマルズはいつものように荷物の上に横になりました。

すると突然、ある人物が人間の首をつかみながら、自分の方に近づいてくるのを見ました。そして、ファラーマルズの荷物の上に、その首を置きました。ファラーマルズは剣を抜き、その男の首をたとうとしました。しかし、、剣はその鼻に触れ、切り離された鼻が地面に落ちました。ファラーマルズはすぐに、その鼻のかけらを持ち上げてポケットに入れました。朝になりました。彼らは朝食を食べ、荷物をまとめて街の門のところに行きました。

街の門番は、門を開けた瞬間に、王様の婿の首が荷物の中にあるのを目にしました。そこでファラーマルズを捕らえ、手を縛って宮殿に連れて行きました。「この男は王様の婿を殺しました」 王様はファラーマルズを殺すよう命じました。ファラーマルズは言いました。「私は誰も殺してなどいません。でも、王様の婿を殺した人物が誰かを教えることができます。全ての人をここに連れてきてください」 こうして、全ての人が連れてこられました。ファラーマルズは言いました。「いえ、ここにいる人たちではありません。まだ一人残っています」 王様は、一人、ここに来ていない人物が誰か、よく調べるように言いました。すると、病気になって寝ている大臣の息子がいるという知らせが届きました。ファラーマルズは言いました。「その人をここに連れてきてください」 王様も、大臣の息子を連れてくるように命じました。大臣の息子は、顔に包帯を巻いていました。ファラーマルズは、彼を見るや否や、ポケットから鼻を取り出して言いました。「彼が王様の婿を殺した犯人です」 それから、それまでのいきさつを王様に説明しました。

こうして王様は、大臣の息子の処刑を命じ、ファラーマルズに向かって言いました。「私の婿を殺した犯人を見つけてくれたのだから、私の娘と結婚してくれないか」 ファラーマルズは言いました。「私は妻はいりません。でも、私には主人がいます。もし王様が望むのなら、その人と結婚させることができます」

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