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2015/12/23(水曜) 17:38

欧米諸国の一般の若者たちに向けて(6)

欧米諸国の一般の若者たちに向けて(6)

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、欧米諸国の若者たちに宛てた2通目の書簡において、注目すべき重要な点を指摘しました。彼は、フランス・パリでテロ事件が発生し、罪のない人々が殺害されたことに遺憾の意を示し、西側諸国における暴力行為の根源について考えるよう、西側諸国の若者たちに呼びかけています。

 

今回の書簡においてハーメネイー師が指摘した重要な点の1つは、ISISを初めとするテロ組織に欧米諸国の若者たちが惹きつけられる理由に注目していることです。今回は、西側諸国において暴力を生み出す背景について考えてみることにしましょう。

ハーメネイー師は、書簡という枠組みを越えて、欧米諸国の若者たちに、次のような真剣な疑問を投げかけています。

「その一方で、なぜヨーロッパで生まれ、その環境の中で思想や精神を養った人々が、このようなグループにひきつけられるのかと問うべきだろう。戦場に1,2度行った人々が突然過激になり、同胞に銃弾を浴びせるということが信じられるだろうか?暴力にまみれた環境の中で、長い間不健全な文化の養分を吸ってきた影響を絶対に忘れるべきではない。これに関して包括的な分析を行うべきだ。その分析は、社会の明らかになっている、また隠れた汚れを見出すものだ。おそらく産業的、経済的発展の中で、不平等や、時に法的、構造的な差別を受けて西側社会の一部の人々の中に植えつけられた深い憎悪は、精神的な問題を作り出し、それらは時に病的な形で現れる」

今日、西洋社会が直面している暴力行為の基本的な下地背景は、これらの社会に根付いている差別や不平等に起因しています。こうした事柄は、社会の構造や母体から発生する要素です。ノルウェー出身の政治・社会学者、スタイン・ロッカンは、こうした社会格差の拡大の原因がこの500年において西ヨーロッパで起きた出来事、即ち15世紀から16世紀の市民革命、さらには18世紀の産業革命を初めとする重要な歴史的事件にあると見ています。ロッカンによれば、市民革命から発生する格差、さらには産業革命から生じる格差、そして文化やアイデンティティの面での格差には、原則的に経済的、社会的な本質が存在するということです。

18世紀には、西洋における産業革命の開始により、人間の生活が事実上新しい段階に入りました。産業革命により、生産方式が拡大、多様化するとともに、工業技術を駆使する工場で生産された新しい製品が社会に流入しました。このため、産業革命により西洋社会には新たな社会的、政治的な関係が生まれました。実際、産業革命は経済分野でのものとされるものの、その影響は政治や文化、社会といった人類の生活の他の領域でも注目されうるものです。

19世紀初頭には、イギリスの植民地の拡大により、カナダやオーストラリア、南アフリカ、ニュージーランドに新たな植民地が建設されました。19世紀末には産業と資本主義の拡大により、植民地をめぐる国際的な競争が再び最高潮に達しています。その結果、フランスの勢力範囲は北アフリカにまで拡大し、フランスは北アフリカの広範囲にわたる地域を自らの支配下に治めました。また、フランスに続いてスペインやイタリアも、フランスと同様に勢力範囲を広げています。

19世紀末には、植民地闘争にドイツが加わりました。太平洋上の小島をめぐる争いや、中国での商館の設置においては、アメリカが新たな植民地国家としてこの争いの舞台に登場しています。これについて、最高指導者のハーメネイー師は次のように述べています。

「人類に対してなされた最大の犯罪の1つは、この2,300年間に世界で発生した産業革命において、学術が理不尽な要求を押し付ける手段となったことである。産業革命に従った国民の1つであるイギリス人は、自らのこの可能性を利用して、世界各地に進出し、各国の国民を束縛した。インド亜大陸がイギリスに統治されていた時代に、この豊かな大陸に何が残されたかは、あなた方も知っての通りである。しかも、インド亜大陸のみならず、100年以上にわたって極東アジアはイギリスの支配下に置かれ、イギリス人が持っていた学術という手段により、現地の人々を支配した。その結果、多くの人々が命を失った。このとき、どのような人々が命を落とし、どのような希望が失われ、どの国の国民が発展から取り残され、どの国が破壊されただろうか?イギリス人は、学術という手段をこのように利用したのである。これこそは、学術に対する最大の裏切りであり、また人類に対する最大の背信行為でもある。イギリス人は、この独占状態を維持しようとしている。彼らの認可やゴーサイン、権限や鉄拳に甘んじることなく、自らの独立を維持できる国の国民はいずれも、この独占状態に打撃を与えることに成功した。そして、このことは今日、幸いなことにイランで定着している」

人類、そして各国の国民の間における差別や不公正は長い歴史を持っていますが、中でも人種差別は西側諸国の植民地主義の産物だといえます。このことにおいて、ルネサンス時代のヨーロッパの典型的なシンボルである富の蓄積は、重要な役割を果たしています。地理上の発見や奴隷貿易は、18世紀に最高潮に達し、ある伝承によれば運び出された奴隷の数は3000万人から5000万人とも言われており、これによりヨーロッパは豊かになりました。あるアフリカ人の作家は、次のように述べています。

「数百年を通して、私たちの歴史における最も重要な出来事は奴隷の売買である。その直接の、悲しむべき結果が人種差別なのだ」

フランスの思想家フランツ・ファノンは、自らのある著作において、次のように述べています。「西洋の植民地主義は、技術的な優越性をより所として世界を支配している。植民地主義の先駆者には、より優れた文明を有していれば、それはより優れた民族であることの理由となる、という思想が絡んでいる。このため、人種差別は様々な形で西洋の文化と文明に入り、少しずつその柱の1つと化していった。劣った人種を蔑むことは、人間を蔑み人格や人間としての威信を否定することと、さほど違っていない。西側諸国は、原住民族からアイデンティティを奪い、彼らの歴史をも横取りし、原住民族には全くアイデンティティがないなどとでっち上げ、歴史を捏造したのである」

しかし、最近の欧米諸国の現状から、これらの国が人権や民主主義を主張しておきながら、実際には歴史を通して女性や黒人、イスラム教徒、移民に対するあらゆる差別や不平等を許してきたことが分かります。こうした差別により、西洋社会では日増しに人種差別が浮き彫りとなり、過激な人種差別主義者のネットワークが組織化され、強化される下地が出来上がってしまっています。

今日、欧米諸国では人種や宗教を理由とした差別や偏見が拡大しており、このことは世界の政治・安全保障体制をも問題に直面させています。極端な外国人嫌いや加速する差別化は、欧米諸国において偏見や嫌悪感という警鐘を鳴らしています。ヨーロッパでは、キリスト教の極右派が蘇りつつあることから、ヨーロッパの社会体制には深刻な問題が生じています。極右政策は、人種差別を支持しており、これには民族主義や人種主義、外国人恐怖症が含まれます。そのイデオロギーは、ファシズムやナチズム、超ナショナリズムに基づいています。

1990年代には、ヨーロッパの複数の国でキリスト教系の極右政党が結成されましたが、彼らの信条はイスラムへの反対、移民に対する差別、経済問題の増加の混合により生じ、現在拡大しています。彼らは、過激派であり、自分たちが他の人々や集団よりも優れているという信条を持ち、社会的な平等に完全に違反しています。

西側諸国で古くから根付いているもう1つの不平等の形態は、性的な差別です。イランの最高指導者ハーメネイー師は、自由という名のついた、西側諸国での女性への圧制や虐待について、次のように述べています。

「ヨーロッパ人が新たな産業を生み出した日、即ち西洋の資本家たちが大きな工場を発明し、安価な人件費でトラブルの少ない労働力をひつようとしていた19世紀の初頭から、女性の解放が声高に叫ばれるようになった。それは、女性たちを家庭内から生産工場へと引きずり出し、彼女たちを低賃金の労働者として使い、自らは私腹を肥やし、女性からその尊厳を奪うためであった」

実際、多くのヨーロッパ諸国では女性の賃金は男性より低くなっています。EUの統計によりますと、今なおヨーロッパ全体での男女の賃金格差は18%もあるということです。さらに、子供のいない女性の就業率は75%であるのに対し、子供のいる女性は54%に留まっています。その一方で、子供のいない男性の就業率は80%であるのに対し、子供のいる男性の就業率は85%となっています。

さらに、統計によりますと、現在重要な決定権のある役職についている女性の数はごくわずかです。たとえば、ヨーロッパ全体では、国会議員全体のうち女性議員はわずか24%に過ぎません。

差別のもう1つの側面は、肌の色によるものです。欧米諸国における黒人への警察の暴力的な政策に対する抗議や騒乱はそもそも、常にこれらの国の様々な場面で黒人に対して行われている差別や不公正に対する抗議の声なのです。特にアメリカを初めとする西側諸国での差別は、人々の肌の色に絡んでいます。白人であること自体、必然的によりよい可能性に恵まれる要素であり、一方で黒人などの有色人種であることは、貧困や恵まれない状態に甘んじる、不当な理由となってしまうのです。西側のメディアが、特に黒人を初めとする有色人種についてマイナスの様相を報じているため、彼らは常に、就職の際に大きな困難に直面しています。黒人は大抵、低収入や貧困、教育を受けられないことや強姦、警察による暴力行為や正当な理由のない身柄の拘束、といった問題に苦しんでいるのです。

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