このサイトは更新されていません。新サイトはこちらです。 Parstoday Japanese
2015/12/26(土曜) 21:47

バヤーテ・エスファハーン旋法

バヤーテ・エスファハーン旋法

バヤーテ・エスファハーン旋法は、イランでも最もよく親しまれている旋法体系のひとつです。まずはこの旋法体系について、日本人パーカッション奏者、シューヘイさんにお話しを伺ってみることにしましょう。

 

旋法体系的には、バヤーテ・エスファハーン旋法は次回お話しするホマーユーン旋法の派生系の旋法であり、イラン古典音楽の最も標準的な規範、ミールザー・アブドッラーのラディーフでも、バヤーテ・エスファハーン旋法の曲やフレーズは基本的に7つのみで、ほかの旋法体系に比べて大変少なく、主要な旋法体系とはみなされていない印象を受けます。しかし、バヤーテ・エスファハーン旋法で作曲された作品は非常に多く、その数は本筋であるはずの旋法体系、ホマーユーン旋法で作曲された作品の数をはしのぐほどです。

それでは、なぜ、バヤーテ・エスファハーン旋法の作品は多いのでしょうか。これに関して、イランの歌謡曲に詳しいナーデル・サッファーリー氏は次のように見解を語っています。

「それは、ホマーユーン旋法とバヤーテ・エスファハーン旋法が表現するものの違いにある。ホマーユーン旋法が神秘主義的で荘厳な雰囲気を持っているのに対して、バヤーテ・エスファハーン旋法は庶民的だ。また、バヤーテ・エスファハーン旋法は、世界的に親しまれているマイナー調に非常に近いのも、その理由のひとつだ」

バヤーテ・エスファハーン旋法の音階の構成は、一例をあげると、レ、4分の1低いミの微分音、ファのシャープ、ソ、ラ、シのフラット、ドです。各音階は、レからソまでの、4分の3音、1と4分の1音、半音のひとまとまりと、ソからドまでの全音、半音、全音のひとまとまりで構成されています。構成の点で、バヤーテ・エスファハーンはホマーユーン旋法と同じですが、バヤーテ・エスファハーン旋法では、微分音が入る部分よりも、全音と半音で構成されている部分が重視されます。

まずは序曲のダルアーマドを聴いてみましょう。その次には前回のナヴァー旋法で紹介した曲と同じ名前のバヤーテ・ラージェが展開されます。ここでフレーズの中心となり、強調される音は、ダルアーマドからひとつ上がります。

また、ジャーメダラーンという曲も挿入されます。ジャーメダラーンというのは、「服を引き裂くもの」という意味があります。昔の時代、強い悲しみの感情を表すとき、服を引き裂くという行動をとるという慣習が存在したか、あるいはそういった文学上の表現があったようです。この曲はホマーユーン、バヤーテトルク、アフシャーリーの各旋法に存在しますが、いずれもそのはじめのフレーズがジャーメダラーンとしてのアイデンティティを示しているといえます。

その次の、オッシャーグ、またはオウジと呼ばれている曲では、バヤーテ・エスファハーン旋法の音階より、シュール旋法の音階に近くなり、ミが微分音でなく半音になり、そしてファがシャープでなくナチュラルに戻ります。ここでバヤーテ・エスファハーン旋法から、シュール旋法に移行することができるのです。なお、オッシャーグという名前は、アラブ諸国やトルコの古典音楽の中にも見られ、これらの古典音楽の中で重要な体系とされています。

そして最後の、スーゾゴダーズでは、もとのバヤーテ・エスファハーン旋法に戻るという仕組みになっています。

バヤーテ・エスファハーン旋法は、体系という点では、比較的わかりやすく、明快な旋法体系です。さらに、そのキャラクターも明確であることも、よく演奏されたり、作曲される要因になっていると思われます。

メディア

Add comment


Security code
Refresh