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2015/12/30(水曜) 23:21

ナーセル・ホスロー(8)

ナーセル・ホスロー(8)

ナーセル・ホスローは、シーア派の一派、イスマーイール派への傾向を持っていたことから、宮廷生活を辞去し、イスマーイール派の信仰の普及のために人生の時間を費やしました。ナーセル・ホスローは死ぬまでの15年間を、貴重な作品の著述に使いました。これらの作品の多くは、現在にまで残されており、前回までの番組でお話して来ました。彼の散文形式、韻文形式の作品は、思想の点からも、文学的な形式の点からも、他には見られない特性を有しています。

ナーセル・ホスローは優れたペルシャ語の作家であり、批評家や専門家、ペルシャ語詩の愛好家を魅了しています。かれは当時、大変冷遇されていましたが、現在、世界の思想家の中でも特別な地位を獲得しています。ロシアの研究者は、彼の詩について次のように語っています。

「彼の倫理的で忠告を含む詩は、イランやタジキスタンの教育プログラムにも選ばれており、イランの出版物は彼の作品に大変興味を示している。彼の詩や作品は次第に東洋や西洋で大きな注目を集めるようになり、彼の作品を研究する必要性がより明確になってきた」

イギリスのオリエント学者アルベリーはナーセル・ホスローの自由な精神について、次のように語っています。「ナーセル・ホスロー以前の詩人は、王や王子を賞賛する中で詩を読んでいたが、ナーセル・ホスローの詩の内容は、神の唯一性、神の偉大さと宗教の重要さ、慎み深さや敬虔さ、清らかな心、学問による知性などの美徳となっている」

イランの偉大な文学者アッラーメ・ガズヴィーニーも、ナーセル・ホスローを高い地位にある道徳的な詩人だとしており、彼の全ての作品は価値があり、精神性と学識にあふれているとしています。

イラン現代の文学研究者、ザビーオッラー・サファー博士はナーセル・ホスローの詩の特徴に関して、次のように語っています。「ナーセル・ホスローは間違いなく、大変才能のある雄弁なペルシャ語詩人だ。かれはほかの詩人を魅了したもの、つまり美しい表現や、個人的、環境的に心を惑わすような側面に注目せず、彼の思考は真実や宗教信仰に向いていた。このため、自然描写を宗教的な問題への導入部として利用している。ナーセル・ホスローの豊かな表現力、特に自然描写を無視すべきではない。彼の星星や空、夜、季節の描写は、ペルシャ語詩人の中でも類まれなものだ」

イラン現代の歴史研究者、ザッリーンクーブ博士は、当時の圧制者に対する批判におけるナーセル・ホスローの言葉の力強さとその勇気を、次のように語っています。「彼の言葉の力強さと偉大さは、ほかに比べられるものがない。それは大量の洪水のように上から下へと流れ、広がっていた。彼は力強く言葉を発し、読者は彼の作品を目の前にしているとき、彼の詩に対して自分が小さな存在であることを悟る。また、彼の詩の意味は単純な考え方を持つ一般の人々を、腐敗した支配者の圧制に気づかせるのである」

ゴラームホセイン・ユーソフィー博士も、ナーセル・ホスローと彼の詩について、次のように記しています。「ナーセル・ホスローの詩は内容の点から、単語、響き、クライマックスや結末は、すべて彼の思考によるものだ。彼の詩は、常に真剣で、一切の冗談や笑いを誘う言葉はなく、また原理や根拠が非常にしっかりしており、加筆や変更を全く許さない。また、言葉、響きの点でもそれは力強い鍛冶屋がかなづちでたたく際に飛び跳ねる赤い鉄のかけらに似ている。それは火花であり、それはナーセル・ホスローの精神から生まれたものである」

ナーセル・ホスローの詩集を校正したモハッゲグ博士は、ナーセル・ホスローの倫理的特性について、次のように語っています。「彼を他の詩人より優れた存在にした、彼の優れた性質は、自分の持つモラルや知識を現世の物質的な楽しみの手段にせず、自分の作品において、金銭や権力を決して賞賛していない。また、彼の詩集は忠告や提案、叡智、真の人間性や人権に関するたとえ話などの集合体である。彼は社会における醜い行為をよく理解できており、抗議の意を示すために言葉を話している。ナーセル・ホスローは、現代でいうところのソフトウォーを進めていたのであり、説教や忠告、為政者やその関係者を中傷し、彼らとイスラム法学者の醜い行いを暴露することで、こういった人物の精神的な宮殿が根拠がないことを示していた。彼は賞賛する詩をささげていた詩人や、権力あるものの醜い行いを是認することで利益を得ていた法学者を糾弾していた」

イスラミー博士も、ナーセル・ホスローの詩における政治や倫理との関係性について、次のように語っています。「どのようなペルシャ語詩人も、ナーセル・ホスローがセルジューク朝に対して呈して苦言を述べたほどに、苦言を呈したことはない。一方、ガズナ朝も受け入れていなかった。彼は文化やイラン性を主張したサーマーン朝への懐かしさを記していた。彼はあらゆる意味で政治的な詩人であり、彼の発する言葉では全て、裏には社会的な内容が含まれていた」

ナーセル・ホスローは、自分の作品によって、イラン(人にであることや、イラン的であることに)保険をかけ、恒久的な地位を獲得しました。彼はフェルドゥースィーの『王書』に影響を受け、興味を持っていました。この2人の詩人はイラン性という点で、誰よりも、どの作品よりも共通性を持っていました。ペルシャ語には抒情詩や頌詩といったものがありますが、ナーセル・ホスローの詩にはその2つがありません。彼は良心ある目覚めた批判者であり、特定の場所で、気ままに表現することはありませんでした。このため、ナーセル・ホスローの文学活動のきっかけとなったのは、彼の不穏な心だったと解釈することができます。

ナーセル・ホスローは、嘘で満ちていた時代に、学術やエジプトのファーティマ朝に対する傾向を見せていました。この傾向は、当時イランに存在していた圧政や争乱が原因でした。おそらく、このことはファーティマ朝やエジプトのイスマーイール派に傾倒していたナーセル・ホスローの単純さを示しています。ここで、自由で清らかな人間が、なぜエジプトのファーティマ朝に傾倒するようになったのか、という疑問が提示されます。確かにファーティマ朝は問題があったものの、アッバース朝のカリフ制よりはよい体制だったのでしょう。

ナーセル・ホスローの旅行記の序文を記したダビール・スィヤーギー博士は、彼の能力について、次のように記しています。「旅行者であるナーセル・ホスローは、当時一般的だった学問を深く学び、宮廷の一族の中で、運営の方法や書簡の記し方を学び、その礼儀と長所により名声を得ており、社会の人々との関係において様々なものを見聞していた。この見聞をすばらしい形で再び語った」

ナーセル・ホスローの旅行記の序文のもう一人の著者、ナーデル・ヴァズィーンプール博士は、ナーセル・ホスローの報告の正確さを指摘し、次のように記しています。「事実を語る中での誇張、不適切な言葉はこの本のどこに見当たらず、迷信や作り話を根拠としていない。現実的なナーセル・ホスローは決して、一般に広まっていた根拠のない迷信や伝説の影響を受けていない」

イランの研究者、ラヴァーギー博士は、ナーセル・ホスローの詩に関して、次のように考えています。「ナーセル・ホスローの詩の基本は、崇高で高潔な精神、彼の高潔な思想や感覚、宗教、道徳である。彼の多くの詩を見ると、我々は、彼の詩は宗教的なこだわりを持っていたと感じる。しかし、実際はそうではない。ナーセル・ホスローの詩は、繊細さや緻密さを備えており、これにより、かれが日々起こる大きな出来事や小さな出来事ををよく見ており、結果として、彼が社会の悪や虚偽と戦い、自分の言葉を武器として、腐敗した法学者、為政者、時には単純な考えしか持たない一般の人々や貴族と闘争していたことがわかる」

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