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2015/10/28(水曜) 18:00

ヤズド州(2)

ヤズド州(2)

前回は、イランの砂漠の傍らにあるヤズド州を旅し、この州の州都ヤズドの地理や歴史と共に、イスラム建築の傑作のひとつであるヤズドのジャーメモスクをご紹介しました。今会のこの時間も、引き続き、ヤズド州についてお話してまいりましょう。

 

ヤズド州はイラン中央高原に位置し、水資源が非常に限られているため、主に地下水から水を確保しています。この州では、地下水を利用するために、数千本の古いカナート・地下水路が掘られています。これらのカナートは、砂漠に住む人々が水を求めて多大な努力を重ねたことを物語っており、先人たちが残した最も貴重な遺産となっています。ヤズド州では、3131本存在するカナートのうち、2615本が現在も使用されています。

カナートは、イラン人の最も重要な発明品のひとつです。実際、カナートは、人類の歴史の中で、最も複雑で驚異的な創造性を持つ発明であると言え、人間が生きるために欠かせない水を手にし、それを水資源の乏しい地域に届ける必要性から編み出されたものです。それはは、数千年以上もの間、イラン高原の農業や灌漑、そして社会の繁栄に大きな役割を果たし、イランの砂漠地帯の重要な生命の源となっています。カナートは、概して、非常にシンプルな構造となっており、数十個の竪穴が延びた、傾斜のある地下トンネルの形をとっています。母体となる井戸から無数のたて穴が延びて、村や畑へと水を導きます。カナートの穴は、沈殿物を取り除いたり、空気を入れ替えたりするために利用されています。

カナートの重要な特徴の一つは、乾燥・半乾燥地帯にあって、日光による水の蒸発を防ぐことです。注目すべきなのは、このようなシンプルな水路が、数千年前から変わることなく使われ、そのままの構造が残っていることです。ヤズド州には、数多くのカナートがあり、特にイランで最も長い、「ザールチ」カナートがあることから、特別な重要性を有しています。このカナートは、イランで最も古いカナートの一つで、3000年以上前のものです。ザールチカナートの長さは、およそ100キロメートルに及び、竪穴の数は2115個となっています。

ヤズド州の州都ヤズドは、日干し煉瓦で作られた最初の都市であり、それがほとんど手付かずのまま残っている点で、イタリアのベネチアに次ぐ、世界で二番目に古い都市です。ヤズドには、数多くの観光地や文化・歴史遺産があり、それぞれ、他では見られない魅力的なものとなっています。ヤズドの町は、風採り塔・バードギール、巡礼地、お菓子、カナート、火と太陽の町として知られています。およそ800ヘクタールのヤズドの歴史地区は、イランで最も広く、原型をとどめている歴史地区として知られています。この地区は、2005年、イランの国家遺産に登録されています。

ここからは、ヤズドの伝統建築を紹介するために、ヤズドの古い民家を訪れてみましょう。ヤズドの伝統的な家は、背の高い壁、四方を部屋に囲まれた中庭、庭の中央の大きな池、夏の暑い日に休むための広い地下室などの特徴を有しています。格子窓や扉、壁に模様や鏡細工が施された部屋、漆喰細工で装飾された天井や壁も、ヤズドの古い家の特徴です。中には、19世紀から残る非常に美しい家屋も存在します。

ヤズドの民家は、持ち主の職業や財力の点から2つに分類され、それぞれが独自の機能を持っています。これらの家は、奥の間は家族がくつろぐための場所、外側に近い部分は、客人をもてなすための場所となっています。通常、建物の主要な部分は、家族がくつろぐための場所になります。中央には庭があり、客間が、庭の周りを囲んでいます。北側にある部屋は冬用に、南側の部屋は夏用に使われていました。夏用の部屋には、ホールと風採り塔があります。鏡細工の部屋、台所、地下室、その他の空間を持つ東側は、秋用に、西側はテラスとして使われていました。

財力を持つ人々の家には、通常、漆喰細工や鏡細工が施された芸術的な空間がありました。鏡細工の部屋は、およそ50年から60年前に建設されたものです。ヤズドの代表的な民家のひとつ、ラーリー族の邸宅は、ヤズドのファハーダーン地区にあり、ガージャール朝時代の建物です。この邸宅の広さは、およそ1700平方メートル、建物の床面積は、およそ1200平方メートルです。この邸宅は現在、ヤズド文化遺産局の建物として使用されています。

ヤズドの古い家には、バードギール・風採り塔があるのが特徴です。バードギールは、この地域の乾燥した砂漠性の気候にあわせた、非常に興味深い特徴を有し、ヤズドの古い家に美しさを添えると共に、建物の内部に涼しい空気を送り込む役割を果たしています。風採り塔のしくみは、建物の上部に細長い塔が建てられ、その上の部分は四方に穴が開いていて、熱風が塔の内部を通り、温度を下げながら、建物の内部へと送り込まれます。風の一部は、家の床に取り付けられた木のネットを通って地下へと送られます。地下室は、池の水に近いため、湿気を含み、熱い空気が緩和され、地下から涼しい風が家の内部に送られるようになっています。

ヤズドでは、世界で最も背の高い風採り塔を見ることができます。ヤズドのドウラトアーバード庭園の風採り塔は、ザンド朝からガージャール朝時代にかけての最も美しい風採り塔で、世界で最も高いものであり、270年の歴史を有しています。この塔は、ザンド朝の建築を代表するもので、1747年に建てられました。高さはおよそ34メートルで、最大の特徴は、塔が八角形になっていることです。これにより、あらゆる方向からスムーズに風を取り入れることができ、塔の下にある池の水面に触れることで、涼風を生じさせています。塔のそばには、3つの八角形の建物、門、鏡のホールを持つ庭があり、それは鏡の楽園と呼ばれ、唐草模様が施されています。この庭園は、しばらくの間、ザンド朝の創始者、キャリームハーン・ザンドのヤズドの滞在地となっていました。そして、ザンド朝とガージャール朝時代の最も美しい庭園との評価を得ています

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