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2015/11/10(火曜) 20:02

ヤズド州(3)

ヤズド州(3)

前回の番組では、イランの砂漠の傍らにあるヤズド州を旅し、この州の風採り塔・バードギールをご紹介しました。今回のこの時間は、経済、社会、文化、建築の点で大きな重要性を持つ、ヤズドのバザールとアミール・チャフマーグの建築群をご紹介しましょう。

 

アミール・ジャラーロッディーン・チャフマーグは、15世紀半ばのテイムール朝の王、シャーロフの軍司令官の一人です。彼がヤズドの統治者となったとき、妻の協力を得て、町の繁栄のために幾つかの建物を建設しました。アミール・チャフマーグの建物群は、ヤズドの町を代表する歴史的な場所で、旧市街のほぼ中央に位置し、ヤズドの重要な地域の一つと見なされています。この建物群には、モスク、テキイェと呼ばれる宗教施設、小規模なバザール、貯水層があり、15世紀から残るもので、イランの歴史遺産に登録されています。

アミール・チャフマーグ広場は、サファヴィー朝時代にも、同じ名前で知られ、アッバース1世の時代に一部が再建されました。アミール・チャフマーグ広場の東側には、ハージー・ガンバルという名のバザールがあります。後に、バザールの入り口の上部に、ヤズドのテキーエで見られるような美しく背の高い建物が造られました。アミール・チャフマーグ・モスクが完成したのは、1438年のことで、ヤズドのジャーメモスクに次ぐ美しさを有しています。アミール・チャフマーグ・モスクは、ムカルナスと呼ばれる鍾乳石状の装飾の施されたアーチとモザイクタイルが使われており、壮麗さの点で、ジャーメモスクに次ぐ重要性を有し、新しいジャーメモスクとして知られています。この建物には、2つの貯水層があります。アミール・チャフマーグのテキーエの貯水層は、現在、水の博物館として開放されています。

ここからは、水の博物館についてお話しましょう。アミール・チャフマーグ広場の北側には、ヤズドで最も貴重な建築があります。この建物は、1887年に建設され、現在は、世界でも類を見ない水の博物館になっています。この歴史的な建物の特徴は、5階構造であることと、その中を、数百年前のカナート・地下水路が通っていることです。この建物の3階までは地下にあり、4階の部分が地上1階になっています。この建物の屋上には、井戸から水をくみ上げる場所があり、滑車を使って水をくみ上げ、地上1階にある家の貯水層に水を貯めていました。現在、この博物館には、カナートを掘るための道具や、ヤズドの重要なカナートに関する資料や文献など、200点を超える文化財が展示されています。また、水かさを量る道具、カナートの照明、水に関する取り引きの資料、水を保管したり運んだりするための容器、その他の貴重な道具が保管されています。

ヤズドの町には、12箇所の歴史的なバザールがありますが、その中でも代表的なのが、ハーン・バザールとパンジェアリー・バザールです。これらのバザールは、ヤズドの伝統工芸の品々を売っていることで知られています。ハーン・バザールは、ヤズドの人々の取り引きの中心地で、一目見ただけで、かつての繁栄を伺うことができます。このバザールがいつ建設されたのか、その正確な歴史は分かっていません。このバザールは、規模の点で、イスファハーンやシーラーズ、ケルマーンといった大都市のバザールにも決して引けをとりません。

ヤズドのバザールは様々な空間で構成されており、その用途に応じて、独特の建築が見られます。例えば、庭へと続く、傾斜のついた入り口を持つ箇所があります。この部分の入り口は非常に重要であり、建物やその入り口を高くすることで、非常に広々とした空間が作り出され、訪れたものを、バザールの内部へといざなっています。また一部の箇所では、光を取り入れるための美しい明り取りの窓が設けられ、入り口の廊下と広い庭は、荷物の積み下ろしのための場所となっています。

ヤズドのバザールには、イランの他のバザールでも見られる様々な種類の職人が存在します。ヤズドのバザールで最も重要な職業は、金細工です。この職業に携わる人々は、金や銀の装飾品を製造、販売しています。銅でできた皿や器などを作る銅細工も、ヤズドのバザールでよく見られます。この他、このバザールには、布、じゅうたん、お菓子、靴、ヤズド周辺の村人や遊牧民が使う特別な箱などの店が並んでいます。

ヤズドでは、お菓子作りが盛んで、この分野もまた、一種の芸術、産業と見なされています。現在、ヤズドのお菓子は、イラン各地で消費されてている他、海外にいる知人や友人へのお土産としても好まれています。

今夜は最後に、ヤズドの織物や伝統工芸についてお話しましょう。ヤズド州では、手織はもちろん、機械織りの製品でも、非常に質のよいものが生産されています。ヤズドの手織物は、デザインの美しさや耐久性の点で名声を博しています。機械織り産業でも、ヤズドの工場では、質の高い毛布やじゅうたん、絹やウールの布が生産されており、この州の需要をまかなうだけでなく、イラン国内の各地にも輸出されています。

現在、ヤズドでは、手織りの製品よりも、機械織りの製品の方が好まれていますが、この地域の手織り物は、イランで最も価値のある伝統工芸品となっています。ヤズドを代表する伝統工芸品には、じゅうたん、ゲリームと呼ばれる敷物、ズィールーと呼ばれる綿製の敷物、テルメと呼ばれる絹織物がありますが、中でもズィールーとテルメは、ヤズドに特有のものとなっています。

テルメ織りは、ヤズドの人々の最も重要な伝統工芸で、200年以上前から、この州で行われて来ました。テルメの原料は絹で、高価なテルメを織るために、天然の絹が使われ、多くが装飾のために利用されています。ヤズドのテルメは、非常に美しい色使いとデザインを有するため、世界的に知られています。

ズィールーは、分厚い羊毛でできた敷物で、最も良質のものは、ヤズド州の都市、メイボドで作られています。この敷物に使われる糸には、工場で作られたものと、地元の人々の手で作られたものが使われています。ヤズドのモスクや巡礼地には、大抵、このズィールーが敷かれています。ヤズド州のズィールーは、耐久性がよく、非常に美しいデザインを有しています。ズィールー織りは何百年もの歴史があり、最古のズィールーは、メイボドのジャーメモスクにあるもので、600年以上前の作品とされています。

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