このサイトは更新されていません。新サイトはこちらです。 Parstoday Japanese
2012/12/02(日曜) 19:43

「カラスとシャコ」

「カラスとシャコ」

昔々のこと。ある山の裾野に、野生の鳥たちが暮らしていました。カラスは、別の鳥たちの近くの木の上に、巣を作っていました。シャコの巣もそこにありました。この近所同士の2羽の鳥は、とても仲が良く、多くの時間を共に過ごしていました。ある日のこと。シャコはたった一人で荒野へと出かけ、それっきり帰ってきませんでした。シャコがいなくなってから数日がたつと、カラスはシャコに何かが起こったんだろうと思いました。

1週間か、それ以上が経った頃、同じシャコの仲間で、ちょっと体の小さい黄土色のシャコが、カラスのすんでいた場所にやって来ました。この黄土色のシャコは、昔、シャコが住んでいた巣が空っぽであるのを見て、そこを自分のために掃除し、住み着いてしまいました。一人ぼっちになって退屈していたカラスは、新しい隣人ができて喜びました。翌日、カラスは新しい友人を歓迎しようと黄土色のシャコの家に行き、言いました。「昔ここに住んでいたシャコが出て行ってしまってから、一人ぼっちだったんだ。君がこの巣での生活を気に入るといいんだけど」。黄土色のシャコは、礼儀正しくカラスの挨拶に応じ、翌日はカラスの巣に遊びに行きました。こうして時がたち、カラスと黄土色のシャコはすっかり仲良しになりました。

そうしたある日のこと、例のシャコが戻ってきたのです。そして、黄土色のシャコが自分の巣に居座っているのを目にし、すぐさま抗議しました。「誰の許可を得て、私の巣で生活しているんだい?」。黄土色のシャコはいいました。「君には全く関係がない。僕は自分の巣で暮らしているまでだ。誰の許可を得て、僕の邪魔をしたり、そんなに大きな声を出したりするんだい?」

シャコは怒りに震えて言いました。「この家は僕のものだ。君は今すぐ、ここから出て行ってくれないか?」。黄土色のシャコはいいました。「でも今は僕がこの家に住んでいて、この家の持ち主になっている」。こうして、2羽のシャコは、激しい言い争いになりました。そこへ、カラスと別の鳥たちも集まってきました。しかし、誰も、一体どちらが正しいのか判断することができません。カラスは彼らを仲直りさせようと必死になりましたが、納得させることはできませんでした。別の鳥も、解決策を提案しましたが、どちらのシャコも受け入れようとしません。

そうこうするうちに、どちらが正しいか、中立な第三者に判断を仰いだらどうかという提案が持ち上がりました。「カラスはどうか?」となりましたが、どちらもそれを受け入れませんでした。結局、ある鳥が、「猫なら巣を必要としていないから、猫に頼んだらどうか」と提案しました。この鳥は言いました。「猫なら人間と暮らしているし、どうやって判断すべきかも知っているだろう。猫なら誰かを苦しめたりもしないし、公正に判断することができる」。この提案にはシャコたちも賛成し、早速、猫のもとに行きました。どうなるか行方を見守ろうと、カラスも彼らに着いていきました。

猫は家に座って、どうしたらえさを見つけられるかと考えていました。そこにシャコたちがやって来ました。猫はシャコの足音を聞くやいなや、寝たふりをしました。心ではこう思っていました。「ああいい匂いだ、鳥のにおいがする!」。シャコたちは猫が家にいたことを喜び、猫が起きるのを待っていました。猫が目を開けると、シャコたちは猫に挨拶をし、彼らの問題を公正に判断してほしいと頼みました。猫はそれを受け入れ、何が起こったのかを尋ねました。

鳥たちがことの成り行きを説明すると、猫は叫び声を上げました。「思ったとおりだ。あなたたちの喧嘩は、この世のものを巡ってのものだ。この世のものにはいつも、争いがつきまとう」。それからこう付け加えました。「私は年を取ってしまったもので、耳がよく聞こえないんだ。残念だけど、あなたたちが言うことも良く分からない。もう少し近くに来て、もう一度、大きな声で、説明してくれないだろうか?もう少しよく聞こえるように。そうすれば、公正な判断ができると思うよ」。シャコたちは、そういわれて、猫にさらに近づきました。シャコたちはそれぞれ、何があったのかを説明し、公正な判断を求めました。猫は尋ねました。「それで、どちらがこの家の本当の持ち主なのか教えてくれないか? もう少し大きな声で話してくれると、もっとよく聞こえるんだけど」

鳥たちは猫の言葉を聞き、彼の判断に希望を抱き、さらに猫に近づきました。彼らが猫の質問に答えていたときです。突然、猫が飛び掛り、シャコたちに爪を立てました。そしてあっという間に、2羽を食べてしまったのです。猫は口の周りを舌で嘗め回し、ゆっくりとこういいました。「弱いものが2羽もそろって、自分たちの権利を譲らず、さらに強い他人のところに抗議にやって来て、その強い者の外面にだまされ、公正な判断を期待する。それは何も驚くことではない。その場合、正義が出す結論はこうだ。私自身が、まず、自分の腹をいっぱいにすること」

それでは今回のことわざと、それにまつわるお話をご紹介しましょう。

「ハーンでも分かるほど塩辛い」

それほど遠くない昔、それぞれの村には村長がいて、その人はハーンと呼ばれていました。村の人々は、毎年、苦労して取れた小麦や大麦、果物の一部をハーンに差し出さなければなりませんでした。ハーンは村の絶対的な権力者で、好きなように振舞うことができました。彼の周りには数名の召使のような人たちがいて、ハーンの指示に従い、村の人々に対して横暴に振舞っていました。こうした村のうちの一つにもハーンがおり、彼はゴリーハーンという名前でした。ゴリーハーンは、大きな家で生活していました。仕事もなく、苦労することもありませんでした。ただ食べては眠ることを繰り返していました。

ゴリーハーンには専属の料理人がいて、昼夜、彼のために食事を作っていました。ゴリーハーンの料理人は、腕は確かでしたが、ハーンの行動や彼の圧制には不満を抱いていたので、料理にも力が入りませんでした。料理人が作っていた食事は、味もにおいもひどいもので、栄養価もありませんでした。ある日は塩からく、ある日は水っぽく、ある日はかたく、といった調子でした。ハーンの側近たちも、そのような食事を口に入れることを好みませんでしたが、仕方がありません。なぜならゴリーハーンは、料理人に抗議することがなかったからです。

ゴリーハーンは、怠け者で、圧制者だったうえに、趣味も悪い人間でした。彼にとって、どんな食事が出されるかは重要ではなく、何でもあったものを食べ、おいしいと言い、指までなめている始末でした。ハーンの側近たちは、料理人に何度か注意しましたが、料理人は彼らの言うことに耳を傾けませんでした。幾度かは、その食事のまずさについてハーンと話をしようとしましたが、誰もその勇気を持ちませんでした。なぜならハーンに追い出され、収入のよい仕事を失うのが怖かったからです。

そんなある日のこと。料理人は、突然、塩の塊が手から滑り落ち、鍋の中に入ってしまいました。料理人は最初、その塩の塊を鍋から取り出そうとしました。でもふと思い直しました。「何で私が、あんな怠け者で残虐なゴリーハーンとその側近たちのために、そんなことまでしなきゃならないんだ」

食事ができあがりました。ゴリーハーンとその側近たちが大きな食布の周りに座り、料理人もいつものように、作った料理を大きな皿に盛って食卓へと 持って行きました。一同はあまり気が進まない様子で、大皿から自分の皿へと料理を取り分けました。ゴリーハーンも、自分の取り皿にたくさん料理を盛りまし た。最初の一口を入れた瞬間、皆の口からワッという声が上がりました。料理はあまりにも塩辛く、とても食べられたものではありません。ゴリーハーンの側近 たちはしかめ面をしながら目配せをし、こんな塩辛い食事を作った料理人に仕返しをしようと目論見ました。

ゴリーハーンは、二口、見口食べても、何も言いませんでした。でもどうやら彼も何かを感じたようで、食べるのをやめ、料理人の方に向き直ってこう言 いました。「この料理は少し塩気が多すぎないだろうか?」 料理人は答えました。「いいえ、そんなことはないと思います」 ゴリーハーンが初めて料理人の 料理に抗議するのを目にした側近たちは、その答えに腹を立てました。側近たちの一人が大声を上げました。「恥を知れ。この料理はしょっぱすぎて、ハーンで もそれが分かったほどだ」

それを聞いたゴリーハーンが言いました。「それはつまり、いつも料理がまずかったが、私が今まで気づかなかったということか?」 それに対して側近 の一人が答えました。「その通りです」 他人からの侮辱に全く耐えられなかったゴリーハーンは、木の棒を取り上げ、側近たちを家から追い出してしまいまし た。それから料理人に向かって言いました。「もう彼らに料理など与えなくても良い」 それだけ言うと、ハーンは座って、残りの塩辛い料理を食べてしまいま した。

このときから、誰かが誤った行いをしたり、立場を悪用したりしたとき、それがあまりに限度を超えていて、普段は何も言わない人までが抗議したとき、こんなふうに言われるようになりました。
「ハーンでも分かるほど塩辛い」

 

Add comment


Security code
Refresh