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2013/01/17(木曜) 21:35

ハトたちと判断

ハトたちと判断

昔々、2羽のハトが、畑の傍らで幸せに暮らしていました。春、雨がたくさん降ったとき、メスのハトが夫に言いました。「この巣も随分湿ってしまって、住みにくくなってしまったわ」。夫は答えました。「もうすぐ夏が来て、暑くなるだろう。大きくて倉庫もある、このような巣を作るのは大変な作業だ」。そこで2匹のハトは、それまで住んでいた巣に留まることにしました。こうして夏がやって来ました。彼らの巣は湿り気も取れ、畑での幸せな生活が過ぎていきました。彼らは米も小麦も、好きなだけ食べることができ、一部を冬のために蓄えていました。ある日、倉庫が小麦や米で一杯になったことに気づくと、互いに喜んで言いました。「食料で一杯の倉庫もあることだし、この冬も生きて越せることだろう」

彼らは倉庫の扉を閉じ、そのまま夏が終わり、畑に何の作物も見られなくなるまで、一切、倉庫には手をつけませんでした。遠くまで飛ぶことの出来なかったメスのハトは、いつも家で休んでいて、オスのハトが食べ物を手に入れていました。秋になり、雨が降り始めると、ハトたちは、食料を探しに畑に行くことができなくなりました。そこで、食べ物の蓄えてある倉庫を思い出しました。ところが、蓄えておいた食料は、夏の暑さのためにしおれて、少なくなったように見えました。オスのハトは怒りだし、妻に向かって大声を上げました。「なんて愚かで食いしん坊なんだ! 私たちは冬のために、この食料をためておいたというのに、お前ときたら、家にいた数日のうちに、半分もの食料を食べてしまったのか? 冬の凍てつくような寒さを忘れたわけではなかろうに?」 それを聞き、メスのハトは腹を立てて言い返しました。「私が食べたのではありません。でも、どうして食料が半分になってしまったのでしょう」

倉庫の食料が減っているのを見て驚いたメスのハトは、それでもなお言い張りました。「誓って言うけど、ここに食料を隠したときから、私は一目も目にしていません。それなのに、どうして食べることなどできたでしょう? それにしても、なぜこんなに食料が減ってしまったのかしら?そんなに怒らないで。私を責めないでください。ここは我慢して、残っている食料を食べたらいいじゃありませんか。もしかしたら倉庫の床が抜けたのかもしれないし、ネズミに見つかって、食べられたのかもしれない。それとも、別の人が私たちの食料を盗んだのかもしれない。いずれにしても、性急に判断を下すべきではないわ。落ち着いて構えていれば、そのうち真実が明らかになるわ」

オスのハトは怒って言いました。「もうたくさんだ!君の話など聞きたくない。忠告など無用だ。君以外、誰もここにやって来ていないことは確かなんだ。もし誰かが来たとしても、君は誰が来たのかよく知っているはずだ。もし君が食べたのではないのなら、本当のことを言ってくれ。私もいつまでも待っているわけにはいかない。君にしたい放題させるわけにはいかないんだ。とにかく、何か知っているのだったら、後にしないで、今すぐ、言ったほうがいい」

なぜ食料が減ってしまったのか、全く分からなかったメスのハトは、泣き出してしまいました。「私は食料には手をつけていません。何が起こったのかもわかりません。理由が分かるまで、もう少し様子を見てみましょう」。しかし、オスのハトは聞く耳を持たず、さらに激しく怒り出し、とうとう妻を家から追い出してしまいました。

メスのハトは言いました。「そんなに簡単に決め付けて、私にありもしない罪をなすりつけるなんて。もうすぐ自分のしたことに後悔するでしょう。でも、そのときはもう遅いんだわ」。メスのハトはすぐに荒野に向かって飛び立ち、その後まもなく、猟師のわなにかかってしまいました。

オスのハトは、巣の中で一人きりの生活を始めました。彼は妻に騙されなかったことを心から喜んでいました。数日後、再び、湿気の多い雨の日がやって来ました。倉庫にあった食料は、再びかさをまし、再び倉庫は、食料で一杯になりました。軽率なハトは、それを目にし、妻に対する判断が誤っていたことを知りました。自分の行いを深く悔やみましたが、もはや後悔するには遅すぎました。彼は誤った判断を下したために、生涯、後悔の念を抱いて生きていかなければなりませんでした。

ここからは、今回のことわざにまつわるお話をしましょう。今回のことわざです。

「賢さから、キツネの尻尾が罠にかかった」

昔々のこと。あるところに、ブドウ畑を持った農民が暮らしていました。農民は、ブドウ畑にたくさんの実がなるよう、手塩にかけてそれを育てていました。時折、畑に水がいきわたるよう、夜通し起きたまま、作業を続けることもありました。作業は順調に進んでいましたが、ひとつ、大きな問題を抱えていました。その問題とは、狡猾なキツネが、夜中に畑を襲い、ブドウを食べるだけでなく、ブドウの木をめちゃくちゃにして引っこ抜いて行ってしまうことでした。農民は一生懸命、キツネを罠にかけようとしましたが、駄目でした。キツネは罠にかかるほど愚かではなかったのです。

農民は、幾日も眠らず、畑の傍らで見張りを続け、キツネを罠にかけようとしました。しかし、うまくいきませんでした。そうしているうちに、ある考えが浮かびました。「キツネの通り道に穴を掘り、穴の上を甘いブドウで覆ってしまおう」。農民は、キツネが熟したブドウを追って穴に落ちてしまうのを期待していました。しかし、この農民の計画も意味がありませんでした。なぜならキツネは危険を察知し、別の道から畑に入り、ブドウの木を荒らしてしまったからです。農民は途方に暮れ、キツネをどう扱ったらよいか分からなかったところに、一人の老人が知恵を貸してくれました。老人は農民に言いました。「キツネの通り道に罠を仕掛け、そこに肉を置いておけばいい。キツネは肉を食べようとやって来て、罠にかかるに違いない」

農民はそれを実行しました。彼はキツネが肉を食べた後、死んでしまうよう、肉に毒を塗り、安心して家へと向かいました。翌日、農民が畑に行くと、その日もやはり、畑が荒らされており、罠にあった肉にも、手がつけられていませんでした。農民は老人の所へ行き、事の次第を話しました。老人は農民に言いました。「随分賢いキツネが相手のようだ。肉に毒を塗ったのがまずかった。キツネはきっと、肉の匂いをかいで、罠に近づいたが、毒の匂いに感づいて、それを食べなかったに違いない。今度は肉に毒を塗ったりしちゃだめだ」

農民は老人の言うことを聞き、キツネが通る、ブドウの木の間に罠を仕掛けました。そして罠の中にも、柔らかくて新鮮な肉の塊をおきました。しかし、もはやキツネが罠にかかると期待することができませんでした。夜になりました。キツネはいつも通り、畑にやって来ました。まだブドウに手をつけないうちに、新鮮な肉の匂いをかぎました。そこで匂いを追い、罠に達しました。そこでキツネは考えました。「畑の持ち主はきっと、この肉に毒を塗り、私を殺そうとしたに違いない」

キツネは警戒しながら肉に近づきました。肉の匂いをかいでみましたが、毒の匂いはしません。キツネはなおも、それに近づくのをやめ、肉を食べようと欲張らずに、ブドウで我慢しようとしました。しかし、新鮮な肉の匂いに誘惑され、こう考えました。「新鮮な肉は、ブドウなどよりも断然、おいしい物だ。こんなところに肉が落ちているのはなぜか、分かったらよかったのに」。こうしてゆっくり肉に近づき、さらに注意深く肉のにおいをかぐと、毒が塗られていないことを確信しました。それでもこう考えました。「罠が仕掛けられているかもしれない。でも私の方が農民よりも賢いのだ。肉に口を近づけるより、手や尻尾を使って、肉を向こう側に投げてみよう。そうすれば、罠が仕掛けられていても、何も起こらない。農民が翌日、目にするのは、キツネも罠にはかかっておらず、新鮮な肉もなくなっている、という光景だ。

この計画により、キツネはゆっくりとエサに近づいていきました。罠に近づくと、肉に背を向け、尻尾を使って肉を遠くに投げようとしました。最初に力をいれただけで、罠のスプリングがはずれ、尻尾が罠に挟まってしまいました。キツネは必死で逃れようとしましたが、できませんでした。翌日の朝、農民がキツネが罠にかかっていることを期待して畑にやって来ると、驚いたことに、本当にキツネが罠にかかっているではありませんか。農民はたいそう喜びました。ゆっくりとキツネに近づき、村につれて行くために手足を縛りました。縛りながら、農民は考えました。「どうしてキツネの口や頭ではなく、尻尾が罠にかかっているのだろう?」

のちに、そのわけが分かったとき、農民はキツネに言いました。「君は本当に賢いキツネだ。頭ではなくて、尻尾を、罠に近づけたんだね。でも、キツネの尻尾が賢さから罠にかかるとは知らなかったわけだ」

その後、すべてのことを計算に入れた上で、それでも問題に巻き込まれてしまう人のことを、こう言うようになりました。「賢さから、キツネの尻尾が罠にかかった」

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