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2013/03/07(木曜) 00:32

賢い若者

賢い若者

昔々のこと、父親が将校であった一人の賢い若者がいました。彼は芸術的な才能と豊かな教養を持ち合わせていました。彼の賢さを認めていた王は、彼に重要なポストを任せていました。善良なこの将校は、その賢さゆえに、何をやっても成功し、王とその側近たちは、彼の未来は明るいものだと見ていました。この若い男は、誰に対しても敬意と善良さを持って接していたため、誰からも愛され、尊敬されていました。しかし一方で、それを妬み、彼を嫌う人々もいました。この妬み深い人々は、彼の進歩を阻もうと、常に隙を狙っていました。

 

妬み深い同僚たちは、王の前で彼に恥をかかせ、ついでに皆の前でも屈辱を味あわせてやろうと考えをめぐらせていました。この妬み深い人々は、心の中で彼の死を望み、とうとうその方法を見出し、彼に重罪の疑いをかけ、裏切り行為で非難しました。彼らは、こうした中傷が成果をあげることはなく、反対に彼ら自身の不名誉になることに気づいていませんでした。その賢いわ若者は、王から全幅の信頼を受けており、彼に関するいかなる中傷も受け入れられることはなかったからです。妬み深い人々は、何度も王の許に赴いては、彼に対する悪口を並べ立てましたが、王には全く気にかけてもらえませんでした。こうしてしばらく経ちました。彼に対する苦情はずっと続くと悟った王は、賢い若者を呼び出し、妬み深い人々が彼を悪く言う理由を知り、彼らが主張する彼の裏切り行為について、本人の意見を聞いてみることにしました。

 

こうしてある日、王はその若者を呼び出し、彼に、同僚たちの一部がこれほど彼に対する苦情を並べ立てる理由として、何か思い当たるふしはあるかと尋ねました。賢い若者は少し考えてから、不快そうに切り出しました。「私は周囲の人々、全ての同僚たちと温和に接し、誰もが私に満足してくれるよう努力している。少しでも公平に物事を見る人なら、こうした中傷が私には当てはまらないことが分かるはずである。私は理性的になることで、誰とでも仲良くすることができている。ただし、私に妬みを抱く人たちは別である。彼らは私の滅亡のみを望んでおり、私が日々、階段を駆け上がるように、より高い地位に達するのを見て、それを阻止しようとしている。妬みを抱く人の中には、私が地位や恩恵を失うのを望んでいるだけの人もいるが、それが極度に達し、私に敵対する人たちもいる。彼らは私の死や滅亡を望んでおり、私は彼らにどのように対処したらよいのか分からない。私は、大抵のことならやってのけることができる賢さを持っていると自負しているが、妬んでいる人をどうやって指導してよいのか、どうしたら彼らの心から、嫉妬という穢れた感情を取り除くことができるのか、分からずにいる」

王はこの賢い若者の言葉を聞き、こう言いました。「そう、妬み深い人のために、できることは何もない。偉大な人たちのこんな言葉を聞いたことはないか。嫉妬は、他人を苦しめる以上に、自分自身を苦しめる これは、イランの大詩人サアディーの作品にも詠まれている」

 

それでは、諺にまつわる物語をお送りいたしましょう。今回のことわざです。

「猫とネズミが手を組んで、さあ、店の主人は大変だ!」

 

あるところに商店があり、そこには悪賢いネズミたちが巣を作っていました。夜、商店の主人が家に帰ってしまうと、ネズミたちは店で歓喜の祝祭を始めました。チーズの袋をあさる者もいれば、油の入れ物を襲う者もいました。米や豆の入った袋に穴を開け、それを巣に持ち帰るネズミもいれば、満腹になるまでクルミやアーモンドを食べるネズミもいました。こうしてそれぞれが食料を漁っていました。哀れな商店の主人は、ネズミ捕りを置いたり、毒をまいたりと手を尽くしましたが、全く効果はなく、2匹が死んでも、すぐに4匹が生まれる、といった具合でした。

 

経験のある友人たちの勧めで、店の主人はあちこち探し回った挙句、ようやく太った猫を探し出し、店に連れてきました。毎日猫は、肉やチーズ、脂を塗ったパンを食べ、店の前でうたた寝をし、夜になると、鋭い目を光らせてネズミに襲い掛かりました。猫の存在により、ネズミはそれまでのように、店の中に近づけなくなりました。

 

状況の改善を見た主人は、たいそう喜びました。猫は毎日、十分な食事を与えられ、ゆっくりと休むこともできるので、主人に満足していましたし、主人もまた、夜、ネズミの略奪行為を防いでくれるので、猫に満足していました。しかし、少しずつ、猫の眠りを悪用し、袋の端をかじっては、食料を大量に盗んでいく悪賢いネズミが現れるようになりました。猫の働きに満足していた主人は、ネズミの盗みを一つか二つ防げばよいと考えました。そこで、日中、猫に与えるえさを減らし、夜までに腹を空かせて、もっとたくさんのネズミを食べるように仕向けました。

 

この主人の思いつきは、1、2週間のうちはうまくいっていました。太った猫は、見る見るやせていき、夜になると多くのネズミを捕りました。そのため、ネズミが店の商品に手を出すことはなくなりました。主人は素晴らしい思いつきにより、ネズミの盗みを防ぐことができて、心から喜びました。しかし猫は、昔のように喜んでも、満足してもいませんでした。猫はネズミも食べたかったけれども、同時にチーズや油、肉も口にしたかったのです。猫は自分が日々、やせ細っていくのに、主人が自分のことをまったく気にかけてくれないと思うようになりました。

 

主人と猫の様子をつぶさに観察していたネズミたちは、集まって考えを出し合い、計画を立てました。夜になると、計画を実行するために、ずるがしこいネズミを選び出しました。夜、このネズミは、猫の姿を見つけ米や豆、チーズが入った袋の間から顔をのぞかせ、猫に言いました。「僕を襲う前に、1分だけ、僕の話を聞いてくれないか。まず、僕は逃げ道を探してあるから、僕を捕まえることは不可能だよ。でも、もし僕の話を聞いてくれたら、君のためにもなるかもしれない」

 

猫は最初、ネズミを襲い、捕まえようとしましたが、考え直しました。「まず、ネズミの話を聞いてみよう」。そこでネズミに言いました。「よし、話を聞こうじゃないか」。ネズミは言いました。「君がこの店に来てから、僕たちの状況は最悪だ。みんな、飢え死にしてしまう」。猫はそこでネズミの言葉をさえぎり、言いました。「それ以外のことを望んでいたとでも言うのかい?僕は猫で君たちはネズミ。僕たちの運命は実にはっきりしている」。ネズミは言いました。「その通り。でもちょっと頭を使ってみるのも悪くないと思うよ。店の主人は人間で、僕たちは動物。ひょっとしたら、動物同士、お互いにうまくやることもできると思うけど」

 

猫はネズミが自分を侮辱していると感じ、不快になって、ネズミを懲らしめてやろうと立ち上がりました。ネズミはすぐに袋の陰に隠れ、言いました。「君は猫だ。僕の話を聞いてくれ。この2、3週間、主人はほんの少ししか君に食料を与えてくれなかっただろう。あと数日もしたら、ネズミを捕まえる力すら、失ってしまうかもしれないよ」

 

猫はネズミの言い分にも一理あると考え、少し態度を軟らげて言いました。「何が言いたいんだ?」。ネズミは再び、少し前に出て言いました。「君もきっと、店の品物をくすねたいと考えているだろう。例えば、君はチーズや油をしばらく口にしていないよね。もし僕たちネズミが別の住みかに行ってしまったら、君は飢え死にしてしまうよ。そこで提案なんだけど、毎晩、僕たちが作業を終え、必要な物を店からとって巣に持っていくまで、30分だけ寝たふりをしてくれないか。そうしたら、君の好きなものを何でも、どこかその辺の片隅に置いていくよ。君のその大きな爪じゃ、僕たちみたいに、チーズの袋や油の壺から食料を取り出すことができないだろう」

 

ネズミ以外の食べ物を心から望んでいた猫は、考えました。「今夜一晩だけ、どうなるか一度、試してみよう」。そしてネズミに言いました。「君が望もうと望むまいと、僕は今夜は疲れていて、眠りたかったところだ。君たちもしたいようにするがいい」。猫が自分の提案に賛同したのを知ると、ネズミは巣に帰り、そのことを仲間に伝えました。その夜、ネズミたちは用心しながら、好きな商品すべてに襲い掛かり、食べたいだけたべ、好きなだけ巣に持ち帰り、猫のために置くことも忘れませんでした。ネズミが巣に帰ると、猫はネズミが用意してくれた食料の方に向かいました。猫はすっかりそれを食べてしまうと、腕に頭を乗せて眠りに落ちました。その後も、夜になると猫とネズミたちの計画は注意深く実行されました。彼らはどちらも、すっかり満足していました。しかし哀れな店の主人は・・・。彼は自分の仕組んだ計画の代償を支払っていることを知りませんでした。

 

猫とネズミたちの計画は、次第に周囲に知られるところとなりました。こうして、2つの敵が互いの利益のために手を組み、またその共謀によって別の人が損害を蒙るようなとき、こんな風に言うようになりました。「猫とネズミが手を組んで、さあ、店の主人は大変だ!」

 

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