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2013/04/29(月曜) 17:43

庭師と鳥

庭師と鳥

昔々のこと。あるところに、美しく手入れされた庭を持つ、センスのよい庭師がいて、そこで香りのよいきれいな花をたくさん育てていました。彼は年を取っていましたが、毎朝、日が昇る前に庭を歩いては、朝の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んでいました。庭師は、朝早く、緑の芝生や草花を眺めては、その香りを楽しんでいたので、いつも活力に満ちた明るい表情をしていました。そのため、友人たちは彼のことを、元気な老人と呼んでいました。ほかの人々と同じように、この庭師もまた、早起きをして毎朝、草花を眺めながら歩いていれば、決して老いることはなく、ずっと元気でいられると考えていました。

 

庭師は自分の庭で、様々な種類の花を育てていましたが、中でも彼のお気に入りは、赤いバラの花でした。バラは他の花よりも美しく、よい香りを放っていました。庭師は毎日、それを眺めては、ひとつひとつの花の香りをかぎ、こうつぶやいていました。「さよなきどりが、バラの花に魅せられるのも当然だ。バラは人生の楽しみであり、心に活力を与えてくれる」

そんなある日の朝、庭師がいつものように、日の出前の庭の散歩を楽しみ、気に入っているバラのところに行って見ると、枝にさよなきどりがとまり、その花びらをひとつひとつ、ついばむのを目にしました。さよなきどりは花びらの間に顔を寄せてさえずっていました。それはまるで、花の傍らにいるのを喜んでいるようでした。さよなきどりは、さえずりながら、花びらを一枚一枚ちぎっていきました。

年老いた庭師は、しばらくそこにたたずみ、さよなき鳥のさえずりに耳を傾けていました。彼は花の傍らで喜ぶ鳥を見て嬉しくなっていましたが、さよなきどりの周りに散らばった花びらにはがっかりしました。しばらくすると、鳥も庭師に見られていることに気づき、飛び去ってしまいました。その翌日、庭師は再び、同じ光景を目にしました。さよなきどりが、花びらをちぎりながら、さえずっているのです。しかし、庭師を見ると、飛び去ってしまいました。

庭師は散らかった花びらを見て、悲しくなりました。「さよなきどりもバラの花に魅せられる権利はあるが、花は目で見たり、香りを楽しんだりするためのものであって、花びらをちぎってしまったらおしまいだ。これは間違っている。これまで丹精込めて私が育てた花をこんな風にしてしまうなんて。それにしても、どうしてさよなきどりは、花びらをちぎってしまうんだろう?」

3日目、庭師は、鳥がさえずりながら、地面に落ちた花びらと話をしているのを見ました。庭師はそれを見ると、腹を立てて言いました。「自由を悪用する鳥の罰は、鳥かごだ」。そしてバラの木の下に罠を張り、鳥を捕まえると、かごに閉じ込めてしまいました。そして言いました。「自由を正しく享受しなかった罰だ。花びらをちぎったらどうなるか、思い知らせてやる」。鳥は自分がかごに閉じ込められたことに抗議して言いました。「僕もあなたも花を愛する気持ちは変わらない。あなたは花を育て、僕を喜ばせてくれる。その代わりに、僕もさえずってあなたを喜ばせている。僕もあなたのように自由に庭を飛び回りたい。それなのに、どうしてかごに入れられなきゃいけないんだ。もし僕のさえずりを聞きたかったら、僕の巣はあなたの庭にあるから、一日中そこでさえずることにしよう。もし僕をかごに入れた理由が他にあるのなら、どうか説明してほしい」

庭師は答えました。「さえずりは問題ない。しかし、お前は私の愛する花に傷をつけ、私の喜びを壊したんだ。お前は自由にさえずっていると、どうやら自分を制する力を失って、私のバラの花びらをちぎってしまうようだ。この罰も、お前が悪いことをしたからで、他の者が同じ過ちを繰り返さないよう、お前を見せしめとするためのものだ」。鳥は言いました。「なんて意地の悪い人だ。僕はあなたに閉じ込められたことで、心を傷つけられ、苦しめられた。それなのに、さらに罰の話をするなんて。あなたの罪の方が重いとは思いませんか?あなたは私の心を傷つけたんですよ。でも僕は単に花びらをちぎっただけだ」

鳥の言葉に、庭師は深い感銘を受けました。彼は鳥の答えをひどく気に入り、鳥を解放してやりました。鳥は飛び立ち、バラの枝にとまると、老人に向かって言いました。「あなたが私によくしてくれたので、私もそれにお返しをしましょう。金貨のいっぱい入った入れ物が、ちょうどあなたが立っているところの土の中に埋めてあります。それをあなたにあげましょう。どうぞ好きなように使ってください」

庭師は地面を掘りました。すると金貨の入った入れ物が見つかりました。庭師は鳥に言いました。「それにしても、可笑しな話だ。地下にある入れ物が見えるというのに、私が張ってあった罠は見えなかったなんて」。すると鳥は言いました。「それには2つ、理由がある。まず一つは、どんなに賢かったとしても、運命という予測できない状況のために、それに巻き込まれてしまう可能性があるということ。二つ目は、僕にとって金(きん)はどうでもよいもの。だから金を見ても、なんとも思わない。でもバラの花は大好きだから、花に気をとられて罠が張られていることに気づかなかったんだ。何でも限度を超えてしまうと、苦難の原因になる。限度以上に何かを好きになると、こんな結果をもたらすことがあるということだ」

鳥はそういうと、美しい花を愛でるために飛び去っていきました。

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