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2013/05/07(火曜) 17:50

怠け者の男ととげだらけの低木

怠け者の男ととげだらけの低木

昔々のこと。あるところに怠け者の男が住んでいました。この男は、今日の仕事は明日、明日の仕事はあさってという具合に、いつもやるべきことを先送りにしていました。男の怠け癖は並大抵のものではなく、簡単に済ませられる些細な仕事も先送りにし、いつも自分にこう言い訳していました。「今はやめておこう。時間はたっぷりある。後でやればいいさ!」 そして些細な仕事が積もりに積もり、大きな問題を起こしていました。

 

ところで、この男の家の傍らには、とげだらけの低木が生えていました。この低木は匂いもなければ、実もつけず、特徴といえば、たくさんのとげがあって近づく人を傷つけることだけでした。この低木は、人々が往来する場所に生えていたため、毎日、横を通る多くの人が、この低木に悩まされていました。着ている服をひっかけて破いてしまうこともありました。通行人は毎日、怠け者の男に、この役に立たない低木を抜き捨ててしまうよう忠告していましたが、男はそのたびに、こう答えていました。「わかりました。明日には必ず、根元から引っこ抜いて、捨てるようにします」。しかし次の日がやってきても、低木はそこに生えたままでした。人々も絶えず、男への忠告を繰り返し、男もまた、いつも、「明日には引っこ抜きます」と約束していました。

こうして何日、何週間、何ヶ月と過ぎていき、この低木は枝や葉を増やし、しっかりと根付き、より固いとげが増えていきました。怠け者の男も、ますます怠け者になっていました。低木は、もはや切り倒すにも、根元から引き抜くにも、相当の力がいるほどに大きくなり、この男の力の及ばぬところとなりました。とうとう人々は彼に言いました。「とげのある木を早く始末しなければ、君を訴えるぞ」。

そして実際、人々は町の為政者に彼のことを訴えました。為政者は男を呼び出し、言いました。「お前の怠けぶりは町中に知れ渡っている。なぜ人々に迷惑をかけるようなことをするのか?毎日、服が破けたり、手足に傷を作ったりする人々が後を絶たないのをお前も見ただろう?なぜ、人々の抗議に耳を傾けずに、これまであの木を放っておいたのか?」 怠け者の男は答えました。「私は抗議をしてきた人々みんなに言いました。出来るだけ早く、木をどかすことにしますと」。為政者は言いました。「しかし人々は、ずいぶん前からお前に頼んでいるのに、お前はいつも、今日、明日と先送りにしていたと主張している。そんな状態があまりに長いこと続いたために、弱々しく小さな低木が、力強く背の高い木に変わってしまったと言っている」。怠け者の男は言いました。「わかりました。もう同じことは繰り返しません。明日には、あの木を切ってしまいましょう」

それを聞いた為政者は笑って言いました。「もういい加減に、怠け癖を直したらどうだ? なぜ明日なのか?今日のうちに、それを実行し、人々を安心させたらどうだ。お前にひとつ、忠告するが、生活の全てにおいて、今日の仕事を明日に先送りにするのはもう止めたほうがいい。いいか?どんなに些細なことでも、またどんなに大きな問題でも、決して、やるべきことを後回しにしてはいけない。さあ、今すぐ行って、とげのある木を切り倒してこい」

怠け者の男を訴えるために為政者の許にやってきていた数名は、後回しにするこの男の怠け癖に笑いをこらえられず、彼を馬鹿にしていました。そのうちのひとりが言いました。「私の知る限り、この男の怠け癖は絶対に直らない。彼が一人で、あの木を切り倒せるわけがない。みんなで協力したらどうだろう。そしてあの木の根元を燃やしてしまえば、もう安心だ」。怠け者の男はこの言葉を聞いて不快になり、こう言いました。「私のことをそんな風に考えるんだったら、今すぐ行って、自分ひとりで木を切り倒してやる」

怠け者の男はそういうと、家に帰りました。斧を持ち出し、とげのある木に向かって振りおろしました。何度か木に斧を振りおろしてみたとき、ようやく、その木を切り倒すことが、どれほど難しいことかを悟りました。木の幹は鉄のように固く、歯が立ちません。怠け者の男の額からは汗が吹き出てきましたが、男はさらに木の幹に何度か斧を打ちつけてみました。こうしてようやく、その木を切り倒すことができました。しかし、それよりさらに難しい、根元を引き抜く作業が残っています。怠け者の男が必死になっていると、近所の人々がシャベルや鍬を手に、手伝いにやって来てくれました。彼らは言いました。「あなたは木を切って、相当疲れているだろう。根の方は私たちに任せてくれ」。こうして近所の人々が助け合い、木の根元を引き抜き、燃やすことができました。その後、この地区の人々は、安心してこの場所を通り過ぎることができたということです。

それでは、ことわざにまつわる物語をご紹介しましょう。今回のことわざです。

「師匠、飾り!」

昔々、あるところに仕立て屋がいました。この仕立て屋は、腕前は確かでしたが、1つだけ非常に悪い癖がありました。人々が持ってきた布の一部を盗んでいたのです。この師匠である仕立て屋は、盗んだ布を縫い合わせて、自分のためにシーツを縫ったり、子供たちのために色とりどりの洋服を縫ったりしていました。時には、この布を市場に持っていって売ってしまうこともありました。過去には一回、布はしで宗教の追悼儀式のための飾りを作り、人々に感謝され、神を信じる人物だと賞賛されたこともありました。

ある夜のこと。仕立て屋は、疲れ果ててその日の仕事から帰宅すると、夕食を食べて寝床につきました。そして、夢を見ました。最後の審判の日がやってきて、天使たちが、人々の良い行いと悪い行いについて調べているのです。彼の番がきたとき、ある天使が言いました。「客の布を盗む仕立て屋など、調べる必要はない。彼は地獄行きだ!」。仕立て屋の師匠は、小さな盗みが重なり、やがて取り返しのつかないことになっていることに気づきました。そこで必死に懇願しましたが、それも無駄なことでした。二人の天使が仕立て屋の手をつかみ、彼を地獄へと連れて行きました。

地獄の門に着いたとき、仕立て屋の師匠は、奇妙なものを目にしました。業火の真ん中で、色とりどりの追悼儀式の飾りが燃えているのです。その飾りは、色とりどりの布を縫い合わせて作られていました。仕立て屋は、地獄の真ん中にある飾りは、自分がその飾りを作るためにとっておいた布でできていることに気づきました。そして、この飾りは、自分の誤った行いの結果であることを悟ったのです。仕立て屋は、天使たちに地獄につれられていくところで、突然、目を覚ましました。全身が汗でびしょぬれになっていましたが、燃えていた飾りの熱の感触がまだ残っていました。寝床に座り、気分を直そうと水をいっぱい飲みました。そして、それまでの誤った行いについて考えてみました。仕立て屋は、もう客の布を盗むことをやめようと決意しました。しかし、「習慣を止めると病気になる」という言葉にあるとおり、長年、慣れてしまっていた悪い行いを止めるのは、非常に難しいことでした。

仕立て屋は、過去の誤った習慣に走らないためにはどうすればいいのか、考えました。翌日の朝、店に行くと、弟子を呼び、言いました。「昨夜、あることが起こって、自分の行いがどれほど醜いかに気づいた。罪を悔い改めようと思っている。今後、私が客の布を盗もうとしたら、私に、『師匠、飾り!』といってくれないか」。弟子は言いました。「分かりました。しかし飾りが、あなたの罪を悔いる気持ちとどんな関係があるのですか?」。仕立て屋は言いました。「余計なことは詮索しなくていい。お前はただ、飾りを私に思い出させてくれるだけでいい。他のことは気にするな」

それからというもの、仕立て屋がはさみを取り上げ、客の布の一部を切って盗もうとするたびに、弟子はこう言いました。「師匠、飾り!」。そして仕立て屋も、すぐに神に罪の許しを求め、醜い行いから手を引きました。そんな状態が続いたある日のこと。客の一人が、非常に美しい貴重な布を持ってやってきました。仕立て屋は、客が去ってしまうと、その錦織の布を幾度も触りながら、その美しさに感動していました。彼ははさみを取り上げ、布を切り、その一部を自分のためにとっておこうとしました。仕立て屋がはさみを取り上げた瞬間、弟子が言いました。「師匠、飾り!、師匠、飾り!」。しかし仕立て屋は、罪を悔い改める気持ちを捨て、一生懸命に布を切りながら、怒鳴り声を上げました。「やかましい。私の言った飾りに錦は入っていなかった」

弟子は、もはや何を言っても無駄であることを悟り、黙ってしまいました。このときから、かつての醜い行為を改めようとしている人に、行いに気をつけなければならないと注意を促すときに、このように言うようになりました。「師匠、飾り!」

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