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2013/05/13(月曜) 21:41

ラクダと牛とヒツジ

ラクダと牛とヒツジ

昔々のこと。広大な砂漠を、ラクダと牛とヒツジが一緒に歩いていました。彼らは、自分たちの若かりし頃について話し、互いに楽しかった思い出を語り合っていました。それは春のある穏やかな一日でした。この3匹の古い友人たちが歩いていると、突然、非常においしく、その砂漠では滅多に見ることのできない草を見つけました。この3匹は、その草を見て大変喜びました。ラクダは言いました。「この草を平等に3つに分けて食べることにしよう」

 

ヒツジはその珍しい草を見て、手で触ってその草を調べた後、言いました。「これをみんなで分けるとしたら、それぞれの分け前は非常に少なくなる。誰も腹を満たすことはできない」。牛は言いました。「そうだね。でも、じゃあ、どうしたらいいだろう?この草がもう少しあったらよかったんだけど。でもないのだから、みんなで分けるしかないと思うけど」。するとヒツジが言いました。「いや、他にも方法はある。僕はある方法を思いついた」。ラクダと牛は驚いて、それはどんな方法かと尋ねました。ヒツジはまず草を、それから友人たちを見て言いました。「それはね。この草を1人だけが食べるんだ。昔から言うじゃないか。年長の人には敬意を払えって。年少の者は、年長の者に敬意を払って、譲らなければいけないよ」

ラクダは言いました。「そうだね、悪い考えじゃない。でも、僕たちのうち、誰が一番年上かなんて、どうしたら分かるだろう?」。ヒツジは答えました。「この方法に賛成なら、それぞれが年齢を明らかにするんだ。それで、年上だった者が、草を食べることにしよう」。ラクダと牛はこれに賛成し、言いました。「いい考えだ。早速、それぞれ、自分の年齢について話すことにしよう」。こうして、彼らはまず、ヒツジから話すよう求めました。ヒツジは咳払いをして、誇らしげに言いました。「私の誕生は、預言者イブラヒームが息子のイスマイールを生贄に捧げようととしたときに遡る」

ラクダと牛は、驚いて羊を見つめました。牛が言いました。「つまり、君はそんなに昔から生きているのかい?」。ヒツジはまた、得意になって言いました。「そうだよ。他のヒツジにも聞いてみるといい、みんな知っているから。子供の頃によく草を食んでいた場所に、イスマイールの代わりに生贄に捧げられたヒツジがいたんだ。僕はそのヒツジと仲良しだったよ。彼は僕たちの一族だったんだ」

ラクダと牛は、驚きのあまり、つばを飲み込みました。牛は心の中でこう思いました。「それなら、僕の方が長く生きているのを見せてやる」。そのとき、ヒツジは牛に向かって聞きました。「結構だ。それでは、今度は君の番だ。君はいくつだい?どれくらい生きているんだ?」。牛は言いました。「僕はヒツジよりもずっと年を取っている。人間の祖先であるアーダムは、地面を耕すために2頭の牛を飼っていたが、そのうちの1頭は、ほかならぬ、この僕だったのさ」。

ヒツジは騙されたことを悟り、心の中で言いました。「ああ、最初に話すのを引き受けるんじゃなかった。完全に騙された。もう文句を言うこともできないし。もし彼にお前はうそつきだと言えば、僕自身の嘘もばれてしまう」。牛は、ラクダと羊が驚いて彼を見つめるのを見て、咳払いをし、言いました。「そう、僕はとても長いこと生きていて、年齢を数えることなんてできないほどだ」。そのときラクダは心の中でこう思いました。「何て悪賢い牛だ。羊も卑劣なやつだ。自分の寿命をそんな風に自慢するのか。よし、誰が一番年長か、思い知らせてやる」。

ラクダは嘲笑を浮かべると、突然、かがみこみ、草を口にくわえて噛み始めました。その珍しい草をすっかり食べてしまうと、ヒツジと牛に向かって言いました。「僕は君たちに、自分が何歳か、君たちよりどれくらい年上なのか、決して言うつもりはない。僕のこの姿と首の太さを見れば、その歴史について語る必要はないだろう。誰でも僕を見れば、君たちより年上であることがすぐ分かるだろう」。それを聞き、牛とヒツジは驚いてラクダを見つめ、自分たちのついた嘘に深く恥じ入りました。

では、イランのことわざにまつわる物語をご紹介します。今回のことわざです。

「そんな足で、中国まで行くつもり?」

昔々、この広大な世界の、本当に小さな一角に、亀が住んでいました。亀は随分と長く生きながらえ、人生の酸いも甘いもかみ分けていました。また多くの経験を積んでいたため、色々な生き物たちの相談役でもありました。動物たちは、問題があれば、亀の許にやってきて、何時間も座って、彼に悩みを打ち明けていきました。亀もまた、辛抱強く耳を傾け、自分彼の許を訪れた彼らの問題を解決してやるために、思いつくことを語っていました。誰もが亀の賢さを認め、亀を敬愛していました。でも、カニだけは、亀のことを好きになれませんでした。カニは、亀の寿命の長さや豊かな経験を無視し、いつもこういっていました。「私も亀とおなじだ。彼のように泳ぐし、水の中でも土の中でも生活する。それ以外にも、私ははさみのように鋭い歯を持っている。それは亀にはないものだ。また亀よりもずっと早く歩くことができる。それなのになぜ、動物たちはこれほど彼を慕い、問題を解決したいときに、彼を頼っていくんだろう?だが誰も、私には挨拶すらしないし、私の許を訪れる者もいない」

カニはその鋭い歯やはさみで、亀に襲い掛かり、殺してしまえたら、どんなにいいだろうと思っていました。何回か、実際に亀を攻撃したこともありましたが、亀には固い甲羅があり、危険を察知したときにはその中に隠れてしまい、そうなるともはや、カニの歯もはさみも役に立ちませんでした。この亀の特徴は、カニをさらに苛立たせていました。カニは亀と顔を合わせるたびに、皮肉を言って、彼を苦しめようとしました。しかし亀は、カニの言葉に耳を傾けることなく、彼の横を通り過ぎていきました。

そんなある日のこと。ウサギが大慌てで亀の許へかけつけ、森が火事だと知らせました。森が火事だという知らせは、全ての動物たちに届きました。皆が亀の周りに集まってきて、この知らせについて彼の意見を尋ねました。亀は少し考えてから、生き物たちに言いました。「全員、ここから離れるんだ。風にあおられて火がここまで燃え移るかもしれない」。生き物たちは早速出発し、そこから離れていきました。非常に早く走る者もいれば、飛び跳ねたり、また急いではっていく者もいました。しかし亀は、ゆっくりのんびりと歩んでいきました。

唯一、亀の言うことを聞かなかったのは、カニでした。カニは生き物たちが進んでいく途中で叫びました。「全く、君たちはどうしてそんなに頭が悪いんだ。亀の言うことを聞いて、自分たちの生活の場所を手放すなんて。風なんてないじゃないか。ここまで火が燃え移るだって?」。しかし、カニの言葉に耳を傾ける者は誰もいませんでした。最後にカニの横を通り過ぎたのは、亀でした。カニは亀を見ると笑い声をあげ、言いました。「年老いた亀さんよ、君までどこに行こうというのだね?」

亀は言いました。「中国のあたりまで」。カニは亀にからかわれていることに気づきませんでした。ただ、中国がずっと遠くにあることだけは知っていたので、亀の歩みがあまりに遅いので、その足どりでは10年かかっても中国には到達しないと思いました。そこで、こう言いました。「そんな足で中国まで行くのかい?」それから再び笑い声をあげ、言いました。「この哀れな生き物たちを見てごらん、なんて愚かな生き物に、自分たちの運命を授けたんだ!」

亀の言うことを聞いて去っていった生き物たちは、遠く離れた別の土地で、再び共に穏やかに暮らしはじめました。しかし、カニがその後どうなったのか、誰も知るものはありませんでした。このときから、怠け者で自分では努力もせずに、大きなことを成し遂げようとする人について、こんな風に言うようになりました。「そんな足で、中国まで行くつもり?」

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