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2013/06/26(水曜) 20:47

カモたちとカメ

カモたちとカメ

昔々のこと。山の麓に広がる美しい草原に、大きな湖があり、そこに一匹のカメと二羽のカモが住んでいました。カメは全く危害を加えない生き物だったため、カモたちはカメと仲良しになり、湖で泳ぐのに疲れると、岸辺に行って、いろいろなことについてカメと話をしていました。こうした付き合いが続いてからしばらく経った頃、その年は雨が少なく、湖の水が干上がり始めました。カモたちは水が無ければ暮らしていけません。そこで、その湖を離れ、山の向こう側にある別の湖に移り住むことを考えました。彼らは、別の湖に行く決意を固めると、カメのところに行き、そのことを話しました。「ここでの生活にもようやく慣れたのに、今年は湖の水が少なくなってしまった。僕たちは水が無ければ生きていけない。そこで、山の向こうの湖に移り住むことにしたんだ。残念だけど、君とは離れて暮らさなければならない」

 

カメはそれを聞いて悲しみに沈み、涙で潤んだ目で答えました。「君たちがここから去って僕を一人にしたら、僕は本当に悲しくなってどうしたらいいか分からなくなるだろう。何とかして、みんなで一緒に暮らせる方法を考えたらどうだろう?」。カモたちは言いました。「僕たちも君と一緒に暮らしたいと思っている。友との別れは本当に辛い。でも、一体何ができるだろう? もうすぐ湖は干上がって、えさを得るのが難しくなるんだ」。カメはなおも諦めません。「僕だって、君たちと全く同じように、水が無かったら生活に困るんだ。僕たちの友情のためにも、どこかに移り住むんだったら、僕も連れて行ってくれないか」

カモたちは答えました。「僕たちが一番望んでいたのも、君をここに一人残していかないことだ。でも、君には僕たちとの旅は無理だ。ここから山の向こうの湖までは、本当に距離があるし、第一、山を越え、険しい岩を登らなければならない。僕たちの足も、君と歩調をあわせて歩けるほど強くはない。それに、君には僕たちのように飛ぶことができない」

カメはそれでも引き下がりませんでした。「どんなことでも、不可能なことはない。君たちは僕よりも賢いんだ。もしかしたら解決策を見つけられるかもしれない。もし僕をここに一人、残して行ったりしたら、それは僕たちの友情を裏切ったことになる」。するともう一匹のカモが言いました。「実は、もしかしたら解決策になるかもしれないと思っていることがある。でも、それには困難も伴うんだ。僕たちが知る限り、君にそれを実行する力があるどうか・・・」。カメは興奮して尋ねました。「なぜ?僕にどんな問題があると言うんだい?」 カモたちは言いました。「君はおしゃべりでせっかちで、自分に自信がない。しかもすぐに腹を立てる。誰かに、自分の意見と違うことを言われたら、すぐに口げんかになる。それに、人が何をしているか知りたがる。君は一瞬たりとも黙っていられない性質だ。僕たちと一緒に来たければ、そうした行為に気をつけなければならない」。カメは言いました。「僕の短所を指摘してくれてありがとう。自分の欠点を知らなければ、それを改めることはできないからね。僕がどうやって自分の欠点を改めようとするか、君たちは見ることになるだろう。君たちが望むように行動すると約束するよ」

カモたちは言いました。「でもこれまで、僕たちは何度も君を試してきて、その結果、君には約束を守ることができないと悟ったんだ。それでも、君には僕たちと一緒にいてほしいから、旅の間、無事に目的地に着くまで、一言も話さないと約束してほしい」。カメは言いました。「そんなの簡単なことだ。息をするなと言われれば、その覚悟もできている」。カモたちは言いました。「よく聞いてくれ。ここに木の棒がある。君はそのちょうど真ん中をしっかり口にくわえるんだ。僕たちは棒の両側を加えて空を飛ぶから。そうすれば、早く目的地に着くことができる。でも、よく覚えておいてほしい。人間が僕たちをばかにして笑うかもしれないけど、冷静さを保って。一言たりとも話してはいけない」

カメはそれを受け入れました。カモたちが木の棒を用意し、カメは棒の中心を口にくわえ、カモがその両端をくわえて目的地へと飛び立ちました。彼らは人口の多い農村の上を飛びました。村の人間が、カモとカメを見て他の人に教えました。誰もが驚き、それを口々に伝えていきました。そうしてすぐに、驚きの声はざわめきに変わりました。カメはこの騒ぎに不快になりましたが、約束を思いだして、黙っていることにしました。こうして数分間、何も言わずに黙っていましたが、心の中ではこう思っていました。「なんて意地の悪い人々だ。カメが空を飛んでいることを知ってねたんでいるんだ」。カモが空を飛んでいる間、カメは考え続け、人々は叫び声を上げていました。そのとき、カメは誰かがこういっているのを耳にしました。「見てごらん、何て美しい友情だ。一緒に空を飛ぶなんて」

また別の人間も言いました。「カメは自分が空を飛べると思っているよ」。そのとき、カメはもう我慢がならず、大声を上げました。「そんな妬み深い目は見えなくなればいい!」。しかし・・・。そう言おうと思って口を開けた瞬間、カメはまっ逆さまに地面に転落し、死んでしまいました。上からこの場面を見ていたカモたちは、木の棒を捨て、そのまま飛び続けました。「僕たちは、忠告を与えるという義務を果たした。でも、忠告に耳を傾け、それを実行するには、忍耐と強い意志が必要だ」

それでは今回も、最後にことわざにまつわる物語をご紹介しましょう。今回のことわざです。

「王が与えたのに、大臣が与えなかった」

18世紀のザンド朝を築いたイランの国王、キャリームハーン・ザンドは、イランのこれまでの王たちとは異なり、浪費を好まず、国民のものである国庫の金を、側近たちが施しや褒美のために無駄に費やすのを許しませんでした。キャリームハーン・ザンドには、シェイフ・アリーハーンという大臣がいました。彼もまた、キャリームハーンと同じように、宮廷の無駄な費用を抑えようと勤めていました。キャリームハーンの宮廷には、通常の宮廷にはいた、王たちを楽しませる、演奏家や詩人、奇術師は存在しませんでした。ただ一人、キャリームハーンを心から愛する詩人だけが宮廷への出入りを許されていました。

この詩人は、時に王のもとに赴き、詩を吟じていました。しかし、キャリームハーンはその詩の吟詠に対して金を払わなかったたため、詩人たちは、キャリームハーンの宮廷に行くのを嫌っていました。ある日のこと。詩人がいつものようにキャリームハーンのもとに行き、詩を吟じると、奇妙なことが起こりました。キャリームハーンが、詩人の詩を聞いた後、大臣のシェイフ・アリーハーンにこう言ったのです。「金貨1000枚のほうびをこの詩人に渡すのだ!」

シェイフ・アリーハーンと詩人は、二人ともびっくりしました。キャリームハーンは、その日まで、一度もそんなことをしたことはなかったからです。詩人は1000枚の金貨を送られることに心から喜び、シェイフ・アリーハーンのもとにほうびを受け取りに行きました。なぜ、キャリームハーンがそんなことを命じたのか分からなかったシェイフ・アリーハーンは、口実を作り、詩人に言いました。「今は国庫の整理に忙しい時期だから、今日は帰って、また改めて出直してくることだ」

詩人は去り、翌週、1000枚の金貨を受け取るために、再びシェイフ・アリーハーンのもとを訪れました。シェイフ・アリーハーンは、今度も、何も与えてくれず、詩人は手ぶらで帰されました。こうしてしばらくがたちました。大臣は、このような金を与えることは間違っていると考えていたため、詩人が疲れて、ほうびを諦めるのを期待していました。一方、もうほうびはもらえないのではないかと考え始めた詩人は、キャリームハーンの元へ行き、それまでのいきさつを話しました。キャリームハーンは、シェイフ・アリーハーンを呼び出し、彼に言いました。「詩人はこれほど大変な目にあったんだ。1000枚ではなく、2000枚の金貨を与えてやれ」

このようなことになるとは思ってもみず、1000枚でも多すぎると考えていたシェイフ・アリーハーンは、キャリームハーンの言葉を真剣に受け止めず、何も言いませんでした。しかし詩人にも、何も与えることはありませんでした。詩人はまた、シェイフ・アリーハーンのもとに通い続け、何も与えられないということが続きました。ある日、詩人はシェイフ・アリーハーンに対して非常に腹を立て、声を荒げて言いました。「一体、どうしてこんなことをするのだ。王は与えたのに、大臣が与えないなんて。王が私にくれると言ったほうびを、なぜ与えてくれないのか?それで、生活上が少し楽になるというのに」

詩人の大声は、キャリームハーンのところまで聞こえてきました。キャリームハーンは大臣を呼び出し、言いました。「なぜそれほど彼に意地悪をするのだ?なぜほうびを与えてやらないのか?」 シェイフ・アリーハーンは、今こそチャンスとばかり、キャリームハーンに言いました。「あなたはこれまでの王たちとは違ったはず。施しや褒美は好まなかったはずなのに、一体どうしたというのです? 突然、方針を変えたのですか?」

キャリームハーンは言いました。「今も、決して国庫の金が無駄になくなってほしいとは思っていない。この詩人は家もなく、苦しい生活を送っている。国庫にしまっておく代わりに、一部を詩人に与えて、家を買い、生活を立て直すことができるようにしてやろうと思ったのだ。そうすれば、家を建てたり、必要な家具を買うために、誰かに金が行き渡るだろう。こうして、経済も動くようになる」

そういうと、キャリームハーンは詩人を呼び出し、言いました。「お前のほうびは5倍になった。さあ、大臣から5000枚の金貨を受け取るんだ」。詩人はシェイフ・アリーハーンのところに行きました。彼はいつもとは異なり、何も言わずに5000枚の金貨をくれました。このときから、上の立場の人間が、他者に善や援助を行なおうとしているのに、下の者が自分の判断でそれを許さないとき、こんな風に言うようになりました。「王が与えたのに、大臣が与えなかった」

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