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2013/09/01(日曜) 20:07

アラブの男と犬

アラブの男と犬

昔々のこと。一人の男が、砂漠を歩いていたときのことでした。突然、道端に座り、声を上げて嘆くアラブの男に会いました。男は思いました。「このアラブの男は何者だろう? 何か悪いことがあって、こんなに泣いているのだろうか」。旅の男は、アラブの男に近づき、彼の目の前に立ちました。アラブの男があまりに泣いているので、男の心は痛みました。アラブの男に泣いている理由を聞き、答えを待ちました。アラブの男はそれでも、泣き続けるばかりで、話すことすらできません。そのとき、旅の男はアラブの男の傍らで、死んだように横たわっている犬を見つけました。そこで、アラブの男に尋ねました。「この犬は生きていますか、それとも死んでしまったのかな?どうして何も言ってくれないんですか? もしかしたら私にできることがあるかもしれない。あなたたちを助けられるかもしれないのに」。

 

アラブの男は、泣きながら犬を指差し、言いました。「これが見えませんか?この忠実で哀れな犬が死んでしまったのです。私が泣いているのもそのためです。私はこの犬を失ったのが悲しくて、こんなに涙を流しているのです」。旅の男は心の中で笑っていましたが、表情に出さないように気をつけながら言いました。「犬が一匹死んでしまったからといって、こんなに悲しんでいるのですか?犬ならこの世にたくさんいるではないですか。あなたの犬が死んでしまったからといって、何もそれほど泣くことはない。別の犬を探せばいい。世界が終わったわけじゃない。私が思うに、あなたは大切なものを失って泣いているのでしょう」。アラブの男は、なおも泣きながら答えました。「あなたはこの犬のことを何も知らない。もし、この犬がどういう犬か知っていたら、そんな言い方はしなかったでしょう」。そのときです。突然、犬が動きました。旅の男は喜んで言いました。「ほら、あなたの犬はまだ死んでいなかったんですよ。犬は生きています」

アラブの男は残念そうに言いました。「いや、もう無駄だ。彼は着実に死に向かっている。この犬を生かしておく道は残されていない。彼はきっと、死んでしまうだろう」。旅の男は言いました。「しかし、どうして突然、犬がこんな状態に陥ってしまったのでしょう?病気だったのですか?それとも、どこか悪いところがあったのでしょうか?」。アラブの男は言いました。「いや、何も問題はなく、健康だった。今ここで、この犬について話しますから聞いてください」。アラブの男は少しの間、泣き止んでから言いました。「私はこれまで、こんなに忠実な犬を見たことはありませんでした。賢い上に、忍耐強い犬でした。1日、えさをやらなくても、そのために騒ぐことはありません。しかし今日、砂漠から戻る道中でひどい空腹に襲われ、腹をすかせて、死にそうな状態に陥ってしまったのです。可愛そうに、もし少しでもえさがあったら、こんな風に死んでしまうことはなかったのに」

このとき突然、アラブの男の手にある食べ物で膨らんだ袋が、旅の男の目にとまりました。旅の男はアラブの男に向かって言いました。「その袋には何が入っているんですか?」。アラブの男は悲しそうに言いました。「何が入っているって、私の夕食とパンが入っているだけですよ」。旅の男は驚いて言いました。「あなたは何と愚かなのか。あなたがパンの詰まった袋を持っているのに、犬は腹をすかせて死にそうなんですよ」。アラブの男は答えました。「確かに、私はこの犬を心から愛しています。でも、自分の食べ物やパンを与えるほどの愛情じゃない。金がなければパンを買うことなどできない、っていう言葉を聞いたことはないですか?それも砂漠でなんて、到底不可能です。しかし、涙を流すだけならただですからね。犬の死をいくら嘆いても、費用はかかりません」

旅の男は、心底腹を立ててアラブの男を見つめました。彼に対してあまりに腹が立ち、首を絞めてやりたいほどでした。人生において、自分は袋いっぱいにパンを持っているのに、腹をすかせた自分の犬にやらないほどけちな男を見たことはありませんでした。旅の男はまた、犬にパンはやりたくないが、動物の死に際してこんなにも涙を流すという、このアラブの男よりも愚かな人間を見たことはありませんでした。。旅の男は怒りをあらわにし、アラブの男に向かって言いました。「空腹で犬を殺すけちな男よ、それも、あれほど君に忠実だった犬を殺してしまうなんて。君は何て大きな罪を犯してしまったんだ」

今回のことわざです。

「私たちも、キツネと判事の鳥と同じ」

昔々のこと。仲良しのオオカミとキツネがいました。キツネは賢さを利用し、オオカミは鋭い爪と力を利用していました。キツネが獲物を見つけ、オオカミがそれを仕留めていました。その後は二人で座って、手にした獲物を食べていました。こうして日々は穏やかに過ぎていきました。ところが、あるとき、キツネがいくら獲物を探しても、見つからない日が数日続きました。そのため、キツネもオオカミも空腹に悩まされていました。そこで、それぞれが違う方向に行って、食べ物を探しに行くことにしました。キツネはまたしても、何も見つけることができず、手ぶらで帰ってきました。しかしオオカミは、鳥小屋を見つけ、急いでキツネの許に来ると、言いました。「絶好のえさが見つかったんだ」。キツネは喜んで言いました。「そんなに喜ぶなんて、一体何を見つけたんだ?どこにいるんだ?」

オオカミは言いました。「そんなことはどうでもいい。さあ、僕と一緒に来るんだ。今すぐ教えるから」。オオカミが先に立ち、キツネがその後に続きました。彼らが進んでいくと、あるい家にたどり着きました。そこには大きな庭があり、庭の片隅には、鳥小屋がありました。オオカミは立ち止まり、キツネを見て言いました。「さあ、これがさっき話した、おいしいえさだ。さて、君には、太った鳥を捕まえ、ここに持ってきて一緒に食べる資格、能力が、果たしてあるだろうか?」。キツネは非常に腹がすいていたので、急いで庭に行き、鳥小屋へとたどり着きました。庭の片隅に隠れ、鳥にとびかかるための機会を狙っていました。鳥小屋の中では、7羽から8羽の太った鶏たちが、水を飲み、えさを食べていました。キツネはよだれが出てきました。

鳥小屋の扉は開いていました。キツネは、簡単に、鳥を捕まえて逃げることもできました。しかし、突然、いい考えがひらめいたのです。空腹で正しく考える力を失いそうでしたが、それでも賢明に考えました。「開いた扉と太った鳥。なぜオオカミは、この場面を見ても、自分で鳥たちにとびかからなかったのだろう?いつもは僕が獲物を見つけて、彼が獲物を襲うはずなのに。ところが今回は、これほどおいしそうな獲物を見ても、オオカミは何もせずに僕を呼びに来た。きっと何か裏があるに違いない。ここは慎重に行動して、様子を見るんだ」

キツネはこう考えながら、ゆっくりとオオカミの許に帰りました。オオカミはキツネが手ぶらで帰ってきたのを見て、腹を立てて言いました。「君には鳥を仕留めることなんてできやしないと、初めから分かっていたんだ。なぜ手ぶらで帰ってきたんだ?」 キツネは言いました。「何でもない。ただ、この家と鳥小屋が誰のものか、そしてなぜ家の主人が鳥小屋の扉を開けっぱなしにしているのかを知りたかったんだ」

オオカミは言いました。「それが僕たちの空腹や狩りとどんな関係があるというんだ? この家は町の判事の家で、使用人がきっと、鳥小屋の扉を閉めるのを忘れてしまったんだろう」

キツネは町の判事の名を聞くと、一目散に逃げさっていきました。オオカミはこのような事態を全く予想していなかったため、キツネの後を追って走り、追いつくと、前をさえぎって言いました。「なぜ逃げるんだ? 獰猛なライオンでも見たかのように、そんなに怖がるなんて」。キツネは言いました。「判事の家の鳥を食べるくらいなら、おなかがすいたままでいる方がましだ。僕が彼の鳥を盗んだのを知ったら、判事は人々にこう言うだろう、『キツネの肉を食べてもよい』と。人々も、この判断を聞いて、キツネを追いかけるようになる。そうしたらキツネという種はこの世から消えてしまうだろう。全財産を失うくらいなら、腹をすかせたままでいた方がずっと良い」

このときから、影響力のある人との関わりを避けようとする人のことを、こんな風に言うようになりました。「私たちも、キツネと判事の鳥と同じ」

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