ペルシャ民話の園 http://japanese.irib.ir Thu, 22 Feb 2018 15:36:56 +0900 ja-jp ヒーラール王 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/40651-ヒーラール王 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/40651-ヒーラール王 ペルシャ民話の園 Wed, 09 Oct 2013 19:36:36 +0900 アラブの男と犬 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39707-アラブの男と犬 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39707-アラブの男と犬

 

アラブの男は、泣きながら犬を指差し、言いました。「これが見えませんか?この忠実で哀れな犬が死んでしまったのです。私が泣いているのもそのためです。私はこの犬を失ったのが悲しくて、こんなに涙を流しているのです」。旅の男は心の中で笑っていましたが、表情に出さないように気をつけながら言いました。「犬が一匹死んでしまったからといって、こんなに悲しんでいるのですか?犬ならこの世にたくさんいるではないですか。あなたの犬が死んでしまったからといって、何もそれほど泣くことはない。別の犬を探せばいい。世界が終わったわけじゃない。私が思うに、あなたは大切なものを失って泣いているのでしょう」。アラブの男は、なおも泣きながら答えました。「あなたはこの犬のことを何も知らない。もし、この犬がどういう犬か知っていたら、そんな言い方はしなかったでしょう」。そのときです。突然、犬が動きました。旅の男は喜んで言いました。「ほら、あなたの犬はまだ死んでいなかったんですよ。犬は生きています」

アラブの男は残念そうに言いました。「いや、もう無駄だ。彼は着実に死に向かっている。この犬を生かしておく道は残されていない。彼はきっと、死んでしまうだろう」。旅の男は言いました。「しかし、どうして突然、犬がこんな状態に陥ってしまったのでしょう?病気だったのですか?それとも、どこか悪いところがあったのでしょうか?」。アラブの男は言いました。「いや、何も問題はなく、健康だった。今ここで、この犬について話しますから聞いてください」。アラブの男は少しの間、泣き止んでから言いました。「私はこれまで、こんなに忠実な犬を見たことはありませんでした。賢い上に、忍耐強い犬でした。1日、えさをやらなくても、そのために騒ぐことはありません。しかし今日、砂漠から戻る道中でひどい空腹に襲われ、腹をすかせて、死にそうな状態に陥ってしまったのです。可愛そうに、もし少しでもえさがあったら、こんな風に死んでしまうことはなかったのに」

このとき突然、アラブの男の手にある食べ物で膨らんだ袋が、旅の男の目にとまりました。旅の男はアラブの男に向かって言いました。「その袋には何が入っているんですか?」。アラブの男は悲しそうに言いました。「何が入っているって、私の夕食とパンが入っているだけですよ」。旅の男は驚いて言いました。「あなたは何と愚かなのか。あなたがパンの詰まった袋を持っているのに、犬は腹をすかせて死にそうなんですよ」。アラブの男は答えました。「確かに、私はこの犬を心から愛しています。でも、自分の食べ物やパンを与えるほどの愛情じゃない。金がなければパンを買うことなどできない、っていう言葉を聞いたことはないですか?それも砂漠でなんて、到底不可能です。しかし、涙を流すだけならただですからね。犬の死をいくら嘆いても、費用はかかりません」

旅の男は、心底腹を立ててアラブの男を見つめました。彼に対してあまりに腹が立ち、首を絞めてやりたいほどでした。人生において、自分は袋いっぱいにパンを持っているのに、腹をすかせた自分の犬にやらないほどけちな男を見たことはありませんでした。旅の男はまた、犬にパンはやりたくないが、動物の死に際してこんなにも涙を流すという、このアラブの男よりも愚かな人間を見たことはありませんでした。。旅の男は怒りをあらわにし、アラブの男に向かって言いました。「空腹で犬を殺すけちな男よ、それも、あれほど君に忠実だった犬を殺してしまうなんて。君は何て大きな罪を犯してしまったんだ」

今回のことわざです。

「私たちも、キツネと判事の鳥と同じ」

昔々のこと。仲良しのオオカミとキツネがいました。キツネは賢さを利用し、オオカミは鋭い爪と力を利用していました。キツネが獲物を見つけ、オオカミがそれを仕留めていました。その後は二人で座って、手にした獲物を食べていました。こうして日々は穏やかに過ぎていきました。ところが、あるとき、キツネがいくら獲物を探しても、見つからない日が数日続きました。そのため、キツネもオオカミも空腹に悩まされていました。そこで、それぞれが違う方向に行って、食べ物を探しに行くことにしました。キツネはまたしても、何も見つけることができず、手ぶらで帰ってきました。しかしオオカミは、鳥小屋を見つけ、急いでキツネの許に来ると、言いました。「絶好のえさが見つかったんだ」。キツネは喜んで言いました。「そんなに喜ぶなんて、一体何を見つけたんだ?どこにいるんだ?」

オオカミは言いました。「そんなことはどうでもいい。さあ、僕と一緒に来るんだ。今すぐ教えるから」。オオカミが先に立ち、キツネがその後に続きました。彼らが進んでいくと、あるい家にたどり着きました。そこには大きな庭があり、庭の片隅には、鳥小屋がありました。オオカミは立ち止まり、キツネを見て言いました。「さあ、これがさっき話した、おいしいえさだ。さて、君には、太った鳥を捕まえ、ここに持ってきて一緒に食べる資格、能力が、果たしてあるだろうか?」。キツネは非常に腹がすいていたので、急いで庭に行き、鳥小屋へとたどり着きました。庭の片隅に隠れ、鳥にとびかかるための機会を狙っていました。鳥小屋の中では、7羽から8羽の太った鶏たちが、水を飲み、えさを食べていました。キツネはよだれが出てきました。

鳥小屋の扉は開いていました。キツネは、簡単に、鳥を捕まえて逃げることもできました。しかし、突然、いい考えがひらめいたのです。空腹で正しく考える力を失いそうでしたが、それでも賢明に考えました。「開いた扉と太った鳥。なぜオオカミは、この場面を見ても、自分で鳥たちにとびかからなかったのだろう?いつもは僕が獲物を見つけて、彼が獲物を襲うはずなのに。ところが今回は、これほどおいしそうな獲物を見ても、オオカミは何もせずに僕を呼びに来た。きっと何か裏があるに違いない。ここは慎重に行動して、様子を見るんだ」

キツネはこう考えながら、ゆっくりとオオカミの許に帰りました。オオカミはキツネが手ぶらで帰ってきたのを見て、腹を立てて言いました。「君には鳥を仕留めることなんてできやしないと、初めから分かっていたんだ。なぜ手ぶらで帰ってきたんだ?」 キツネは言いました。「何でもない。ただ、この家と鳥小屋が誰のものか、そしてなぜ家の主人が鳥小屋の扉を開けっぱなしにしているのかを知りたかったんだ」

オオカミは言いました。「それが僕たちの空腹や狩りとどんな関係があるというんだ? この家は町の判事の家で、使用人がきっと、鳥小屋の扉を閉めるのを忘れてしまったんだろう」

キツネは町の判事の名を聞くと、一目散に逃げさっていきました。オオカミはこのような事態を全く予想していなかったため、キツネの後を追って走り、追いつくと、前をさえぎって言いました。「なぜ逃げるんだ? 獰猛なライオンでも見たかのように、そんなに怖がるなんて」。キツネは言いました。「判事の家の鳥を食べるくらいなら、おなかがすいたままでいる方がましだ。僕が彼の鳥を盗んだのを知ったら、判事は人々にこう言うだろう、『キツネの肉を食べてもよい』と。人々も、この判断を聞いて、キツネを追いかけるようになる。そうしたらキツネという種はこの世から消えてしまうだろう。全財産を失うくらいなら、腹をすかせたままでいた方がずっと良い」

このときから、影響力のある人との関わりを避けようとする人のことを、こんな風に言うようになりました。「私たちも、キツネと判事の鳥と同じ」

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ペルシャ民話の園 Sun, 01 Sep 2013 20:07:41 +0900
為政者と二人の息子 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39393-為政者と二人の息子 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39393-為政者と二人の息子

 

為政者の死により、息子たちの統治が始まりました。彼らは互いに干渉することなく、自分の領土の統治に励みました。彼らはあまりに自分の統治に忙殺されていたため、互いのことをすっかり忘れてしまいました。為政者は、死を迎える前、息子たちに次のような助言を与えていました。それは、もし統治に成功したければ、哀れな国民を忘れてはならない、どんな状況でも、正義と公正を守ることだ、というものでした。息子の一人は、父親の遺言を実行し、国民への奉仕に努めました。しかし、もう一人の息子は、好き勝手に統治を進め、統治において、哀れな国民への配慮を完全に忘れる、という有様でした。

一人は正義と公正を追求し、何を行うにも、まず、その善悪について考えていました。しかしもう一人は、圧制的なやり方を追求し、それによって、自らを暗黒の穴に陥れてしまいました。公正な為政者は、国庫の金銀財宝を、国民の状況を改善するために費やし、恵まれない人や困窮にあえぐ人を救おうと努めました。一方、圧制的な為政者は、国庫の金銀財宝を増やすために、哀れな国民に重い税を課しました。こうして時が経ち、公正な為政者が治めていた領土では、国庫の財産は尽き果ててしまいましたが、国民は安らぎを手に入れました。為政者は、貧しく恵まれない人々のために、家や住む場所を建てました。彼の正義により、全ての人々の生活は改善され、いたるところに、幸福や喜びが満ちていました。人々は若いながらも公正な為政者を見て、彼に共感し、苦境に際しては、彼に寄り添い、支援しました。しかし、圧制的な為政者は、日々、自らの富や財産を増やしていき、自分の領土の幸福は、国庫がいつも、金や宝石で埋め尽くされていることだと語っていました。彼は、兵士たちに支払う賃金を大幅に減らしたため、しだいに兵士たちの心から、若い為政者への敬愛の情が消えうせ、敵意すら芽生えていきました。

近隣諸国の商人たちは、その国で圧制的な統治が行われていると聞き、その国の商人たちとの関係を断ちました。取引は停止され、市場は停滞に陥りました。こうしてその国家は弱まり、この状況を知った敵から攻撃を仕掛けられました。このような状況に陥っても、統治の当初から、圧制的な為政者は人々のことを全く気にかけてこなかったため、人々の助けを期待することはできませんでした。彼はひどい圧制を行ってきたため、国民から死を望まれるほどでした。こうして誰にも助けてもらえず、とうとう敗北を喫してしまいました。一方、公正な為政者は、常に国民のことを考えていたため、困難な状況に陥っても、国民が味方になってくれました。

こうして、この2人の為政者も年を取り、とうとうこの世を去りました。しかし、公正な為政者は、自らの善を全て、よき行いとしてあの世に持って行き、その名を後世に残しました。しかし圧制的な為政者は、抑圧と圧迫を自らの冥土の土産とし、悪名高いままこの世を去っていきました。

それでは、最後にことわざにまつわる物語をご紹介しましょう。今回のことわざです。

「平穏のありがたみは、災難に巻き込まれて初めて分かるもの」

昔々のこと。あるところに、商人がいました。この商人は、海の向こう側に多くの商品を持っていって、それを売ったお金でより多くの利益を得ようと決めていました。商人は荷物を港まで持って行き、それを船に積み上げました。そのときにはいつも、信頼を寄せていた弟子の一人が立会い、作業を見守っていました。商人の荷物が船に乗せられると、彼と弟子も笑顔で船に乗り込みました。商人は、それまでにも幾度か、貨物船や旅客船であちこちの国に行ったことがありましたが、弟子の方は、船に乗るのが初めてでした。船が出発する前から、弟子はうれしそうに、船の上から見送りの人たちに手を振ったり、商人とのこれからの旅に、甘く大きな願いを描いたりしていました。

船が出発し、岸から離れていくと、弟子は周りを見回し、少し恐ろしくなりました。岸は見えなくなり、見渡す限り、水ばかりでした。時に大きな波がうねり、強い風が吹いて、船が大きく揺れたため、乗客は何かに捕まらないと立っていられないような状態になりました。突然、弟子は全身に恐怖を感じ、こう思いました。「なんてことをしてしまったんだ。パンもなければ水もない、船に乗るなんて、どうかしていたんだ」

弟子の行動を観察していた商人は、彼が怖がっていることに気づきました。そこで弟子に手を差し伸べ、言いました。「海の旅は、本当に楽しくて愛すべきものだ。海の旅をしたことがない人は、最初は怖いかもしれない。気持ち悪くなる人もいるが、少しずつ、海の美しさと海洋の旅に慣れて、それを楽しむことができるだろう」。弟子の顔色は悪く、目は海ばかりを見つめ、船の柱にしがみついて、商人の言葉を聞く余裕もありません。商人は、弟子の具合が悪いのを見て、彼を放っておくことにしました。

商人は、弟子の恐怖を見てみないふりをしても、彼が自分で問題を解決するだろうと思いました。しかし、そのようにはなりませんでした。船が動き出してからほどなくして、弟子の叫び声が聞こえました。「助けてくれ! 船に乗るなんて、私が間違っていた。私を岸に戻してくれ」。商人は歩み出て弟子の肩を振り、言いました。「騒ぐんじゃない。気が狂いでもしたのか? 少し待てば、船の揺れに慣れてくる」。しかし、商人の言葉など、弟子の耳には入りません。弟子はまだ叫び続け、船を港に戻してくれと要求しています。乗客たちが彼を囲み、それぞれが、彼を馬鹿にするようなことを言いました。弟子が恥ずべき行動に出ていると感じた商人は、ある計画を思いつきました。

商人は、水の中で溺れた人を助ける船員のひとりにこう言いました。「私の弟子を助けるための準備をしてくれないか」。そして、非常に腹を立てた様子で弟子に近づき、けんか腰で言いました。「こんな臆病な弟子ならいらない。今すぐ、お前を海に投げ込んでやる。自分で泳いで岸まで戻ればいい」。

商人は弟子を叱りながら、彼の背中を押し、船の上から海の中に落としました。こんな運命が待ち受けているとは思いもしなかった弟子は、目の前に死を感じ、助けてくれと泣き喚きました。

少したってから、溺れた人を助ける救助の男性が水に飛び込み、弟子を海から引き上げ、船の甲板まで連れてきました。弟子は、船の甲板が、海の中よりも安全なことを知り、船の片隅に座って黙ってしまいました。一方、商人の賢さを悟った船の乗客たちは、彼の周りに集まり、口々に言いました。「なんてすばらしい計画だ。私たちには考えもよらないことだ」。商人は言いました。「弟子を海に投げ込めば、彼も、船の上の方が、水の中で溺れるよりも安全だということに気づくと信じていた。彼は水の中に落ちて、溺れかけるという恐怖を体験しなければ、船のありがたさを理解できなかっただろう」

このときから、本当に困難な状況に陥らなければ、与えられた恩恵の価値を知ることのない人について、こんな風に言われるようになりました。「平穏のありがたみは、災難に巻き込まれて初めて分かるもの」

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ペルシャ民話の園 Tue, 20 Aug 2013 23:16:27 +0900
「卵泥棒の行く末は、ラクダ泥棒だ」 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39119-「卵泥棒の行く末は、ラクダ泥棒だ」 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/39119-「卵泥棒の行く末は、ラクダ泥棒だ」

 

ある日父親は、怠け者の息子の手を引いて、鍛冶屋の店に行きました。店の主人と挨拶を交わすと、父親は言いました。「親方、私には賢い息子がいます。学校がない夏休みの間、数ヶ月間だけ、この息子の面倒を見て、あなたのような立派な鍛冶屋に育ててやってください!」。鍛冶屋の主人は、怠け者の息子を一瞥し、彼にどの道具で、どのように作業をしたらよいかを説明しました。それから、鍛冶屋の炉を示し、少年の父親に言いました。「安心しなさい。彼を私以上の鍛冶職人に育ててみせましょう。ただし、本人も一生懸命にがんばらなければならない。」

父親は言いました。「親方、息子にどんなことをしても構いません。あなたの子供だと思ってください。好きなように育ててくださればいいです。私はただ、彼を鍛冶職人に育ててほしいのです」。父親はそう言うと、息子を鍛冶屋の親方に委ね、去って行きました。父親が去ると、怠け者の少年は、ここではサボれないことを悟りました。しかしそれでもなお、楽な、疲れない方法を探していました。鍛冶屋の親方は、まず、道具について説明し、それらをどうやって使うか話すと、次に、鍛冶屋の炉を示して言いました。「見てごらん、私たちは、どんな道具でも望むものを作ることができるのだ。まずこのかまどで鉄を熱し、柔らかくしてから、好きな形にする。そのためには、かまどの火を真っ赤に燃やさなければならない。炎に勢いがないかまどでは、鉄は柔らかくならない。それじゃあ、かまどの横に座って、そこにある取っ手をつかみ、動かしてごらん。そうすると風が出てきて、炎は赤く燃え上がる。これが、「ふいごを吹くということだ。さあ、やってごらん。」

怠け者の少年は、仕事ができることを証明したくて、こう言いました。「分かりました、親方」。そして、かまどの横に座りました。それから、親方の言う通り、ふいごを吹きました。少年が取っ手を動かすたびに、皮の袋から空気が送り込まれ、かまどの炎が命を吹き込まれたかのように勢いづきました。こうして小一時間ほど経った頃、怠け者の少年は疲れ果て、親方に向かって言いました。「親方、ちょっと疲れたので、右足を伸ばして、ふいごを吹いてもいいでしょうか?」。鍛冶屋の親方は、額の汗をぬぐい、言いました。「もう疲れたのか?構わない、右足を伸ばしてやりなさい」。するとまもなく、また怠け者の少年が言いました。「親方、左足も伸ばしてもいいでしょうか?」。親方は言いました。「いいだろう」

少年はそれでも、落ち着きませんでした。時間が経つにつれ、作業が困難になっていったのです。そこで、言いました。「親方、ちょっと横になって作業をしてもいいでしょうか?その方が、かまどがより熱くなると思うのです」。親方は首を振って言いました。「そんな話は聞いたことがない。横になったまま、ふいごを吹くなんて、同時に出来るわけがないだろう。でもまあ、いいだろう。君にとってその方が楽なのなら、異存はない」。怠け者の少年は、作業を続けました。しかし、すぐに少年は次のように考えました。「僕は何て馬鹿なんだ。かまどの横で眠ればいいんじゃないか。その方が絶対に楽だ」。こうしてひとつあくびをすると、親方に向かって言いました。「親方、熱くありませんか?人間は少し仕事をすると、疲れるものです。かまどの横で、眠りながらふいごを吹いてもいいでしょうか?」。鍛冶屋の親方は、とうとう怠け者の少年の言動に怒り出し、槌を放り投げると言いました。「何でもいいから、ふいごを吹け!」

このときから、怠けてばかりいて、口実を設けては、仕事から逃げる人間に対して、このことわざが使われるようになりました。

それでは、今回の2つ目のことわざです。「卵泥棒の行く末は、ラクダ泥棒だ」

昔々、あるところに、幼い男の子がいました。男の子は、泥棒とはなにか、どんな行為を泥棒と呼ぶのか、全く知りませんでした。男の子は、目玉焼きなど、卵を使った料理が大好きでした。ある日のこと。男の子は目玉焼きが食べたくて仕方なくなり、母親に言いました。「お母さん、目玉焼きが食べたい」

母親は言いました。「今度ね。今卵を切らしてしまって1つもないの。うちで飼っているにわとりが次の卵を産むまで待ちましょう」。男の子は、たかが目玉焼きのためとはいえ、2日も待っていられないと思い、家を飛び出しました。男の子の隣の家には、鳥小屋があって、そこでは雄鶏と雌鳥が飼われていました。男の子は鳥小屋に入ると、柵の間から手を伸ばし、卵を2,3個つかみとって、家に向かいました。

それはお昼時のことで、蒸し暑く、隣の家の人たちは、部屋で休んでいました。誰も、男の子が来て去っていくのを見ておらず、卵が盗まれたことにも気づきませんでした。男の子は大喜びで家に帰ると、母親に卵を渡して言いました。「お母さん、卵だよ。これで目玉焼きを作ってね」

母親は言いました。「あら、この卵、どこから持ってきたの?」。男の子は笑って言いました。「お隣の鳥小屋から」。

母親は、このとき、息子に次のように言うべきでした。「まあ、何て悪いことをしたの。これは泥棒よ。卵を元の場所に返してきなさい」。ところが、母親は息子をしかる代わりに、少し考えてから、こう言いました。「誰かに見られていないわよね?」。息子は言いました。「大丈夫だと思う」

母親は優しく言いました。「さあ、それじゃ、玉子焼きを作ってあげましょう。でも、これだけは覚えておきなさい。隣の人の鳥小屋から卵を盗むなんて、悪いことをしたのよ」。こうして男の子は、近所の人に、自分のしたことを悟られてはいけないのだと理解しました。

数日後、また家に卵がありませんでした。そこで今回、男の子は、ゆっくりと忍び足で、隣の家の鳥小屋に近づき、その家の人に気づかれないよう細心の注意を払いました。鳥小屋に近づくと、いくつか卵を持ち出し、急いで家に帰りました。卵を母親に渡したとき、母親も何も言いませんでした。ただ、「近所の人に見られなかったか」と尋ねただけでした。そして優しく言いました。「あなたのしたことは、いいことではないのよ」。数分後、目玉焼きができあがり、二人で一緒にそれを食べました。

男の子は少しずつ成長し、時折、あちこちから何かを盗んでいました。彼は盗んだものを、家に持ち帰ったり、あるいは自分と同じような友達と一緒になって浪費したりしていました。こうして数年が経った頃、男の子が背の高い若者に成長したある日、とうとう、事は大事件に発展してしまいました。彼はある家に入り込んで、ラクダを盗み、その家の主人と周囲にいた人々に捕まえられてしまったのです。彼はいつか自分が捕まるなどと、夢にも思っていなかったので、彼らの手から逃れようと必死に抵抗しました。しかし、抵抗すればするほど、ひどく殴られてしまいました。こうして希望を失った傷だらけの泥棒は、判事のもとに連れて行かれました。

判事は、泥棒の罪が立証された後、「法では、泥棒の指を切るきまりになっている」と言いました。執行人が指を切るためにやってきたとき、泥棒は叫び声をあげました。「お願いですからやめてください。少し待ってくれませんか?母親に会いたいのです」。こうして、判事の命により、泥棒の母親が連れてこられました。泥棒は言いました。「もし誰かを処罰すべきなのなら、それは私の母親です。母は、私の小さな盗みを防ごうとしませんでした。母は、数個の卵を盗むにすぎなかった私を、プロの泥棒にしたのです」

判事は黙っていました。母親は自分の犯した罪を認めました。判事の心に、哀れな泥棒への同情が芽生え、判事は泥棒を赦してやりました。しかし、代わりに母親を投獄するよう命じました。このときから、もし誰かの小さな過ちが阻止されず、それによって、大きな過ちを犯すようになった場合に、こんな風に言われるようになりました。「卵泥棒の行く末は、ラクダ泥棒だ」

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ペルシャ民話の園 Wed, 07 Aug 2013 20:09:53 +0900
猟師 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/38520-猟師 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/38520-猟師

 

猟師は静香に弓と矢を取り上げ、あたりに隠れました。そして注意深く耳を傾けました。再び、草むらの向こうから、足音が聞こえました。少し経つと、背の高い草の向こう側から、美しいカモシカが飛び出してきました。カモシカは自分の世界に浸っており、周りのことは一切気にしておらず、優雅に気取った様子で歩いていました。猟師の口元に笑みが浮かびました。「何てすばらしい獲物だ!決して逃がすものか」。猟師はゆっくりと弓にやをつがえました。少しでも音を立てれば、獲物は逃げてしまいます。彼は弓を引き、狙いを定めて力いっぱい矢を放ちました。

矢はカモシカの心臓命中しました。哀れなカモシカは、身動き一つせずに地面に倒れました。猟師はカモシカのところに行き、体から矢を抜き取りました。それからカモシカの死体をかつぎ、鼻歌を歌いながら、家に向かいました。家までは少し距離がありましたが、いい獲物を手に入れることができたため、疲れは感じませんでした。猟師が家に向かっていると、どこからともなくカサカサという音が聞こえました。立ち止まって周囲を見回し、考えました。「もしかしたら、またカモシカがいるのかもしれない。音を立てないようにしよう」

猟師は最初、もう今日は獲物をとる必要はないと考えました。しかしすぐに考えを変えました。「こちらの一頭は、売って、その金で必要なものを買おう」。猟師は獲物をゆっくりと地面におくと、弓と矢を用意しました。もう一度、物音が聞こえました。猟師は矢をカモシカの心臓に向かって放つ用意をしました。するとそのときです。突然、大きないのししが、彼に向かって突進して来るではありませんか。急いで矢をいのししに向けました。矢はいのししの首に刺さりました。しかし、いのししは倒れませんでした。体から血を流しながら、それでも突進してきます。それに、先ほどよりずっと獰猛で危険になっています。猟師はもう一本、矢をつがえました。今度はひょっとしたら、いのししを地面に倒すことができるかもしれないと思ったのです。

しかし、すでにいのししは彼のすぐ近くまでやって来ていました。猟師は突然、いのししの重さを体に感じました。しばらく格闘した後、猟師も人間も傷だらけになって地面に倒れました。大量の血が流れ、二人とも気を失う寸前でした。こうして数時間後には、カモシカの死体の傍らで、どちらも息絶えてしまいました。弓と矢は、まだ猟師の手の中にあり、いつでも放てるようになったままでした。それは非常に悲しい光景でした。数時間前までは生きていて息をしていたのに、今では、3つの死体が並んでいるのです。そのとき、腹をすかせた狼が近くを通りかかりました。肉と血の匂いを感じ、匂いのする方に行って見ると、そこに3つの死体があるのを目にしました。

狼には信じられない光景でした。3つの上等のえさが並んで倒れているのです。狼はこれほどの食べ物を目にして喜びに心を躍らせました。何の苦労もすることなく、これほどの食べ物が手に入ったのです。大きな笑い声を立て、言いました。「腹をすかせた不幸な狼よ、お前が報われる日がついにきたのだ。好きなだけ食べるがよい」。そのとき、ある考えが浮かびました。「そうだ、今日は3つのうちの一つだけを食べることにして、あとの二つは隠しておこう。そうすれば、あと数日は、獲物を探さなくて済む。あとは誰かに食べられないよう、獲物を隠す場所を探さなければならない。まず、今日の昼の分を食べ、それから残りを隠すことにしよう。

狼は、死んでしまった猟師のもとに行き、それを食べようとしました。ところがまだ一口も口にしないうちに、狼の鼻面が、猟師の手にあった弓と矢にあたりました。そして、矢が弓から放たれ、狼に命中したのです。狼には何も見えず、何が起こったのかも全くわかりませんでした。ふらふらと数歩進んでいくと、3つの死体から少しはなれたところで地面に倒れてしまいました。狼は、3つのえさを腹いっぱいに食べるという望みをかなえぬまま、死んでしまいました。

それでは今回のことわざです。

「狼の布団職人だった」

昔々、まだ既製品の敷き布団や掛け布団がなかったころのお話です。人々は布や羊毛を買ってきて、職人に渡し、それで敷き布団や掛け布団を縫ってもらっていました。イランでは、布団職人をハッラージュと呼んでいました。ハッラージュは、皮ひもの付いた棒で羊毛をたたき、やわらかくして毛の塊をほぐし、それを布の袋に入れ、縫いあげていきました。ある日のこと。ハッラージュは、布団を縫うために別の村に行くことになりました。彼は家族に別れを告げ、道具を持って、出発しました。

すでに冬を迎えて寒さが厳しくなっており、地面は雪に覆われていました。ハッラージュはロバも馬も持っていなかったため、歩いて出発しました。彼はすでに、自分の村からは遠く離れたところに来ていました。突然、腹を空かせた狼が、彼に近づいてくるのが見えました。身を守る術を持たなかったハッラージュは、木によじのぼり、それによって狼から逃れようと思いました。回りを探してみましたが、運の悪いことに、見渡す限り、雪ばかりで、はるか彼方まで、枯れ木一本、見つかりません。ハッラージュは、もう終わりだと思いました。「木の棒か何かを持っていたらよかったのに。そうしたらそれで狼と闘っていたんだが」。そう思ったとき、ふと、布団作りの棒を思い出しました。最初はそれで狼と闘おうと思いましたが、それを両手でかわりばんこに握っているうちに、役に立たないことを悟りました。それに、仕事に使う大事な道具を、狼との取っ組み合いで失いたくはありませんでした。

ハッラージュは、布団を縫うときに使う皮ひもの付いた棒を使って狼と闘うという考えを忘れようとしましたが、狼は、あと数歩のところまで近づいています。ふと気が付くと彼は、棒を上に持ち上げ、狼の頭に振り下ろそうとしていました。そのとき手が棒についている皮ひもにひっかかり、大きな音がしました。突然のこの音にびっくりした狼が数歩後ずさりしたのを見て、ハッラージュは、狼が皮ひもの音を怖がっているのに気づきました。そこで、すぐに地面に座ると、その音を何も鳴らしました。狼は恐れおののき、さらに後ずさりしました。そこでハッラージュは音を出すのをやめました。

しかし、腹を空かせていた狼は、音がやむと、再びハッラージュに襲い掛かろうとしました。ハッラージュは再び、棒についている皮ひもを鳴らしました。この戦いは、数時間続きました。ハッラージュが疲れ果て、皮ひもを鳴らすのを止めると、狼が彼に近づき、またハッラージュが皮ひもの音を鳴らすと、狼は恐れて逃げていきました。ハッラージュは、これ以外になす術がなかったので、音を鳴らし続けました。ついに狼は疲れ果て、諦めて去っていきました。

ハッラージュは、命が助かったことを神に感謝し、家に帰りました。夫が手にいっぱい荷物を持って帰ってくると思っていた妻は、ハッラージュに向かって言いました。「おかえりなさい。お仕事はどうでした?誰かのために布団を作ったんですか?」。ハッラージュは言いました。「作ったよ。何時間も、布団縫いに使う棒を使ってね。でも、報酬はもらえなかった。何も持たずに帰ってきたよ」。妻は尋ねました。「どうしてですか?報酬をくれないなんて、誰のために仕事をしたんですか?」

ハッラージュは言いました。「狼のために道具を使ったんだ。敷き布団も掛け布団も作らなかった」

こうして、自分が経験したことを妻に話して聞かせ、命が助かったことを再び神に感謝しました。このときから、辛抱強く努力しながら、何の成果も報酬も得られない人のことを、こういうようになりました。「狼の布団職人だった」

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ペルシャ民話の園 Wed, 10 Jul 2013 20:06:53 +0900
カモたちとカメ http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/38241-カモたちとカメ http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/38241-カモたちとカメ

 

カメはそれを聞いて悲しみに沈み、涙で潤んだ目で答えました。「君たちがここから去って僕を一人にしたら、僕は本当に悲しくなってどうしたらいいか分からなくなるだろう。何とかして、みんなで一緒に暮らせる方法を考えたらどうだろう?」。カモたちは言いました。「僕たちも君と一緒に暮らしたいと思っている。友との別れは本当に辛い。でも、一体何ができるだろう? もうすぐ湖は干上がって、えさを得るのが難しくなるんだ」。カメはなおも諦めません。「僕だって、君たちと全く同じように、水が無かったら生活に困るんだ。僕たちの友情のためにも、どこかに移り住むんだったら、僕も連れて行ってくれないか」

カモたちは答えました。「僕たちが一番望んでいたのも、君をここに一人残していかないことだ。でも、君には僕たちとの旅は無理だ。ここから山の向こうの湖までは、本当に距離があるし、第一、山を越え、険しい岩を登らなければならない。僕たちの足も、君と歩調をあわせて歩けるほど強くはない。それに、君には僕たちのように飛ぶことができない」

カメはそれでも引き下がりませんでした。「どんなことでも、不可能なことはない。君たちは僕よりも賢いんだ。もしかしたら解決策を見つけられるかもしれない。もし僕をここに一人、残して行ったりしたら、それは僕たちの友情を裏切ったことになる」。するともう一匹のカモが言いました。「実は、もしかしたら解決策になるかもしれないと思っていることがある。でも、それには困難も伴うんだ。僕たちが知る限り、君にそれを実行する力があるどうか・・・」。カメは興奮して尋ねました。「なぜ?僕にどんな問題があると言うんだい?」 カモたちは言いました。「君はおしゃべりでせっかちで、自分に自信がない。しかもすぐに腹を立てる。誰かに、自分の意見と違うことを言われたら、すぐに口げんかになる。それに、人が何をしているか知りたがる。君は一瞬たりとも黙っていられない性質だ。僕たちと一緒に来たければ、そうした行為に気をつけなければならない」。カメは言いました。「僕の短所を指摘してくれてありがとう。自分の欠点を知らなければ、それを改めることはできないからね。僕がどうやって自分の欠点を改めようとするか、君たちは見ることになるだろう。君たちが望むように行動すると約束するよ」

カモたちは言いました。「でもこれまで、僕たちは何度も君を試してきて、その結果、君には約束を守ることができないと悟ったんだ。それでも、君には僕たちと一緒にいてほしいから、旅の間、無事に目的地に着くまで、一言も話さないと約束してほしい」。カメは言いました。「そんなの簡単なことだ。息をするなと言われれば、その覚悟もできている」。カモたちは言いました。「よく聞いてくれ。ここに木の棒がある。君はそのちょうど真ん中をしっかり口にくわえるんだ。僕たちは棒の両側を加えて空を飛ぶから。そうすれば、早く目的地に着くことができる。でも、よく覚えておいてほしい。人間が僕たちをばかにして笑うかもしれないけど、冷静さを保って。一言たりとも話してはいけない」

カメはそれを受け入れました。カモたちが木の棒を用意し、カメは棒の中心を口にくわえ、カモがその両端をくわえて目的地へと飛び立ちました。彼らは人口の多い農村の上を飛びました。村の人間が、カモとカメを見て他の人に教えました。誰もが驚き、それを口々に伝えていきました。そうしてすぐに、驚きの声はざわめきに変わりました。カメはこの騒ぎに不快になりましたが、約束を思いだして、黙っていることにしました。こうして数分間、何も言わずに黙っていましたが、心の中ではこう思っていました。「なんて意地の悪い人々だ。カメが空を飛んでいることを知ってねたんでいるんだ」。カモが空を飛んでいる間、カメは考え続け、人々は叫び声を上げていました。そのとき、カメは誰かがこういっているのを耳にしました。「見てごらん、何て美しい友情だ。一緒に空を飛ぶなんて」

また別の人間も言いました。「カメは自分が空を飛べると思っているよ」。そのとき、カメはもう我慢がならず、大声を上げました。「そんな妬み深い目は見えなくなればいい!」。しかし・・・。そう言おうと思って口を開けた瞬間、カメはまっ逆さまに地面に転落し、死んでしまいました。上からこの場面を見ていたカモたちは、木の棒を捨て、そのまま飛び続けました。「僕たちは、忠告を与えるという義務を果たした。でも、忠告に耳を傾け、それを実行するには、忍耐と強い意志が必要だ」

それでは今回も、最後にことわざにまつわる物語をご紹介しましょう。今回のことわざです。

「王が与えたのに、大臣が与えなかった」

18世紀のザンド朝を築いたイランの国王、キャリームハーン・ザンドは、イランのこれまでの王たちとは異なり、浪費を好まず、国民のものである国庫の金を、側近たちが施しや褒美のために無駄に費やすのを許しませんでした。キャリームハーン・ザンドには、シェイフ・アリーハーンという大臣がいました。彼もまた、キャリームハーンと同じように、宮廷の無駄な費用を抑えようと勤めていました。キャリームハーンの宮廷には、通常の宮廷にはいた、王たちを楽しませる、演奏家や詩人、奇術師は存在しませんでした。ただ一人、キャリームハーンを心から愛する詩人だけが宮廷への出入りを許されていました。

この詩人は、時に王のもとに赴き、詩を吟じていました。しかし、キャリームハーンはその詩の吟詠に対して金を払わなかったたため、詩人たちは、キャリームハーンの宮廷に行くのを嫌っていました。ある日のこと。詩人がいつものようにキャリームハーンのもとに行き、詩を吟じると、奇妙なことが起こりました。キャリームハーンが、詩人の詩を聞いた後、大臣のシェイフ・アリーハーンにこう言ったのです。「金貨1000枚のほうびをこの詩人に渡すのだ!」

シェイフ・アリーハーンと詩人は、二人ともびっくりしました。キャリームハーンは、その日まで、一度もそんなことをしたことはなかったからです。詩人は1000枚の金貨を送られることに心から喜び、シェイフ・アリーハーンのもとにほうびを受け取りに行きました。なぜ、キャリームハーンがそんなことを命じたのか分からなかったシェイフ・アリーハーンは、口実を作り、詩人に言いました。「今は国庫の整理に忙しい時期だから、今日は帰って、また改めて出直してくることだ」

詩人は去り、翌週、1000枚の金貨を受け取るために、再びシェイフ・アリーハーンのもとを訪れました。シェイフ・アリーハーンは、今度も、何も与えてくれず、詩人は手ぶらで帰されました。こうしてしばらくがたちました。大臣は、このような金を与えることは間違っていると考えていたため、詩人が疲れて、ほうびを諦めるのを期待していました。一方、もうほうびはもらえないのではないかと考え始めた詩人は、キャリームハーンの元へ行き、それまでのいきさつを話しました。キャリームハーンは、シェイフ・アリーハーンを呼び出し、彼に言いました。「詩人はこれほど大変な目にあったんだ。1000枚ではなく、2000枚の金貨を与えてやれ」

このようなことになるとは思ってもみず、1000枚でも多すぎると考えていたシェイフ・アリーハーンは、キャリームハーンの言葉を真剣に受け止めず、何も言いませんでした。しかし詩人にも、何も与えることはありませんでした。詩人はまた、シェイフ・アリーハーンのもとに通い続け、何も与えられないということが続きました。ある日、詩人はシェイフ・アリーハーンに対して非常に腹を立て、声を荒げて言いました。「一体、どうしてこんなことをするのだ。王は与えたのに、大臣が与えないなんて。王が私にくれると言ったほうびを、なぜ与えてくれないのか?それで、生活上が少し楽になるというのに」

詩人の大声は、キャリームハーンのところまで聞こえてきました。キャリームハーンは大臣を呼び出し、言いました。「なぜそれほど彼に意地悪をするのだ?なぜほうびを与えてやらないのか?」 シェイフ・アリーハーンは、今こそチャンスとばかり、キャリームハーンに言いました。「あなたはこれまでの王たちとは違ったはず。施しや褒美は好まなかったはずなのに、一体どうしたというのです? 突然、方針を変えたのですか?」

キャリームハーンは言いました。「今も、決して国庫の金が無駄になくなってほしいとは思っていない。この詩人は家もなく、苦しい生活を送っている。国庫にしまっておく代わりに、一部を詩人に与えて、家を買い、生活を立て直すことができるようにしてやろうと思ったのだ。そうすれば、家を建てたり、必要な家具を買うために、誰かに金が行き渡るだろう。こうして、経済も動くようになる」

そういうと、キャリームハーンは詩人を呼び出し、言いました。「お前のほうびは5倍になった。さあ、大臣から5000枚の金貨を受け取るんだ」。詩人はシェイフ・アリーハーンのところに行きました。彼はいつもとは異なり、何も言わずに5000枚の金貨をくれました。このときから、上の立場の人間が、他者に善や援助を行なおうとしているのに、下の者が自分の判断でそれを許さないとき、こんな風に言うようになりました。「王が与えたのに、大臣が与えなかった」

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ペルシャ民話の園 Wed, 26 Jun 2013 20:47:36 +0900
ラクダと牛とヒツジ http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/37130-ラクダと牛とヒツジ http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/37130-ラクダと牛とヒツジ

 

ヒツジはその珍しい草を見て、手で触ってその草を調べた後、言いました。「これをみんなで分けるとしたら、それぞれの分け前は非常に少なくなる。誰も腹を満たすことはできない」。牛は言いました。「そうだね。でも、じゃあ、どうしたらいいだろう?この草がもう少しあったらよかったんだけど。でもないのだから、みんなで分けるしかないと思うけど」。するとヒツジが言いました。「いや、他にも方法はある。僕はある方法を思いついた」。ラクダと牛は驚いて、それはどんな方法かと尋ねました。ヒツジはまず草を、それから友人たちを見て言いました。「それはね。この草を1人だけが食べるんだ。昔から言うじゃないか。年長の人には敬意を払えって。年少の者は、年長の者に敬意を払って、譲らなければいけないよ」

ラクダは言いました。「そうだね、悪い考えじゃない。でも、僕たちのうち、誰が一番年上かなんて、どうしたら分かるだろう?」。ヒツジは答えました。「この方法に賛成なら、それぞれが年齢を明らかにするんだ。それで、年上だった者が、草を食べることにしよう」。ラクダと牛はこれに賛成し、言いました。「いい考えだ。早速、それぞれ、自分の年齢について話すことにしよう」。こうして、彼らはまず、ヒツジから話すよう求めました。ヒツジは咳払いをして、誇らしげに言いました。「私の誕生は、預言者イブラヒームが息子のイスマイールを生贄に捧げようととしたときに遡る」

ラクダと牛は、驚いて羊を見つめました。牛が言いました。「つまり、君はそんなに昔から生きているのかい?」。ヒツジはまた、得意になって言いました。「そうだよ。他のヒツジにも聞いてみるといい、みんな知っているから。子供の頃によく草を食んでいた場所に、イスマイールの代わりに生贄に捧げられたヒツジがいたんだ。僕はそのヒツジと仲良しだったよ。彼は僕たちの一族だったんだ」

ラクダと牛は、驚きのあまり、つばを飲み込みました。牛は心の中でこう思いました。「それなら、僕の方が長く生きているのを見せてやる」。そのとき、ヒツジは牛に向かって聞きました。「結構だ。それでは、今度は君の番だ。君はいくつだい?どれくらい生きているんだ?」。牛は言いました。「僕はヒツジよりもずっと年を取っている。人間の祖先であるアーダムは、地面を耕すために2頭の牛を飼っていたが、そのうちの1頭は、ほかならぬ、この僕だったのさ」。

ヒツジは騙されたことを悟り、心の中で言いました。「ああ、最初に話すのを引き受けるんじゃなかった。完全に騙された。もう文句を言うこともできないし。もし彼にお前はうそつきだと言えば、僕自身の嘘もばれてしまう」。牛は、ラクダと羊が驚いて彼を見つめるのを見て、咳払いをし、言いました。「そう、僕はとても長いこと生きていて、年齢を数えることなんてできないほどだ」。そのときラクダは心の中でこう思いました。「何て悪賢い牛だ。羊も卑劣なやつだ。自分の寿命をそんな風に自慢するのか。よし、誰が一番年長か、思い知らせてやる」。

ラクダは嘲笑を浮かべると、突然、かがみこみ、草を口にくわえて噛み始めました。その珍しい草をすっかり食べてしまうと、ヒツジと牛に向かって言いました。「僕は君たちに、自分が何歳か、君たちよりどれくらい年上なのか、決して言うつもりはない。僕のこの姿と首の太さを見れば、その歴史について語る必要はないだろう。誰でも僕を見れば、君たちより年上であることがすぐ分かるだろう」。それを聞き、牛とヒツジは驚いてラクダを見つめ、自分たちのついた嘘に深く恥じ入りました。

では、イランのことわざにまつわる物語をご紹介します。今回のことわざです。

「そんな足で、中国まで行くつもり?」

昔々、この広大な世界の、本当に小さな一角に、亀が住んでいました。亀は随分と長く生きながらえ、人生の酸いも甘いもかみ分けていました。また多くの経験を積んでいたため、色々な生き物たちの相談役でもありました。動物たちは、問題があれば、亀の許にやってきて、何時間も座って、彼に悩みを打ち明けていきました。亀もまた、辛抱強く耳を傾け、自分彼の許を訪れた彼らの問題を解決してやるために、思いつくことを語っていました。誰もが亀の賢さを認め、亀を敬愛していました。でも、カニだけは、亀のことを好きになれませんでした。カニは、亀の寿命の長さや豊かな経験を無視し、いつもこういっていました。「私も亀とおなじだ。彼のように泳ぐし、水の中でも土の中でも生活する。それ以外にも、私ははさみのように鋭い歯を持っている。それは亀にはないものだ。また亀よりもずっと早く歩くことができる。それなのになぜ、動物たちはこれほど彼を慕い、問題を解決したいときに、彼を頼っていくんだろう?だが誰も、私には挨拶すらしないし、私の許を訪れる者もいない」

カニはその鋭い歯やはさみで、亀に襲い掛かり、殺してしまえたら、どんなにいいだろうと思っていました。何回か、実際に亀を攻撃したこともありましたが、亀には固い甲羅があり、危険を察知したときにはその中に隠れてしまい、そうなるともはや、カニの歯もはさみも役に立ちませんでした。この亀の特徴は、カニをさらに苛立たせていました。カニは亀と顔を合わせるたびに、皮肉を言って、彼を苦しめようとしました。しかし亀は、カニの言葉に耳を傾けることなく、彼の横を通り過ぎていきました。

そんなある日のこと。ウサギが大慌てで亀の許へかけつけ、森が火事だと知らせました。森が火事だという知らせは、全ての動物たちに届きました。皆が亀の周りに集まってきて、この知らせについて彼の意見を尋ねました。亀は少し考えてから、生き物たちに言いました。「全員、ここから離れるんだ。風にあおられて火がここまで燃え移るかもしれない」。生き物たちは早速出発し、そこから離れていきました。非常に早く走る者もいれば、飛び跳ねたり、また急いではっていく者もいました。しかし亀は、ゆっくりのんびりと歩んでいきました。

唯一、亀の言うことを聞かなかったのは、カニでした。カニは生き物たちが進んでいく途中で叫びました。「全く、君たちはどうしてそんなに頭が悪いんだ。亀の言うことを聞いて、自分たちの生活の場所を手放すなんて。風なんてないじゃないか。ここまで火が燃え移るだって?」。しかし、カニの言葉に耳を傾ける者は誰もいませんでした。最後にカニの横を通り過ぎたのは、亀でした。カニは亀を見ると笑い声をあげ、言いました。「年老いた亀さんよ、君までどこに行こうというのだね?」

亀は言いました。「中国のあたりまで」。カニは亀にからかわれていることに気づきませんでした。ただ、中国がずっと遠くにあることだけは知っていたので、亀の歩みがあまりに遅いので、その足どりでは10年かかっても中国には到達しないと思いました。そこで、こう言いました。「そんな足で中国まで行くのかい?」それから再び笑い声をあげ、言いました。「この哀れな生き物たちを見てごらん、なんて愚かな生き物に、自分たちの運命を授けたんだ!」

亀の言うことを聞いて去っていった生き物たちは、遠く離れた別の土地で、再び共に穏やかに暮らしはじめました。しかし、カニがその後どうなったのか、誰も知るものはありませんでした。このときから、怠け者で自分では努力もせずに、大きなことを成し遂げようとする人について、こんな風に言うようになりました。「そんな足で、中国まで行くつもり?」

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ペルシャ民話の園 Mon, 13 May 2013 21:41:40 +0900
怠け者の男ととげだらけの低木 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/36972-怠け者の男ととげだらけの低木 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/36972-怠け者の男ととげだらけの低木

 

ところで、この男の家の傍らには、とげだらけの低木が生えていました。この低木は匂いもなければ、実もつけず、特徴といえば、たくさんのとげがあって近づく人を傷つけることだけでした。この低木は、人々が往来する場所に生えていたため、毎日、横を通る多くの人が、この低木に悩まされていました。着ている服をひっかけて破いてしまうこともありました。通行人は毎日、怠け者の男に、この役に立たない低木を抜き捨ててしまうよう忠告していましたが、男はそのたびに、こう答えていました。「わかりました。明日には必ず、根元から引っこ抜いて、捨てるようにします」。しかし次の日がやってきても、低木はそこに生えたままでした。人々も絶えず、男への忠告を繰り返し、男もまた、いつも、「明日には引っこ抜きます」と約束していました。

こうして何日、何週間、何ヶ月と過ぎていき、この低木は枝や葉を増やし、しっかりと根付き、より固いとげが増えていきました。怠け者の男も、ますます怠け者になっていました。低木は、もはや切り倒すにも、根元から引き抜くにも、相当の力がいるほどに大きくなり、この男の力の及ばぬところとなりました。とうとう人々は彼に言いました。「とげのある木を早く始末しなければ、君を訴えるぞ」。

そして実際、人々は町の為政者に彼のことを訴えました。為政者は男を呼び出し、言いました。「お前の怠けぶりは町中に知れ渡っている。なぜ人々に迷惑をかけるようなことをするのか?毎日、服が破けたり、手足に傷を作ったりする人々が後を絶たないのをお前も見ただろう?なぜ、人々の抗議に耳を傾けずに、これまであの木を放っておいたのか?」 怠け者の男は答えました。「私は抗議をしてきた人々みんなに言いました。出来るだけ早く、木をどかすことにしますと」。為政者は言いました。「しかし人々は、ずいぶん前からお前に頼んでいるのに、お前はいつも、今日、明日と先送りにしていたと主張している。そんな状態があまりに長いこと続いたために、弱々しく小さな低木が、力強く背の高い木に変わってしまったと言っている」。怠け者の男は言いました。「わかりました。もう同じことは繰り返しません。明日には、あの木を切ってしまいましょう」

それを聞いた為政者は笑って言いました。「もういい加減に、怠け癖を直したらどうだ? なぜ明日なのか?今日のうちに、それを実行し、人々を安心させたらどうだ。お前にひとつ、忠告するが、生活の全てにおいて、今日の仕事を明日に先送りにするのはもう止めたほうがいい。いいか?どんなに些細なことでも、またどんなに大きな問題でも、決して、やるべきことを後回しにしてはいけない。さあ、今すぐ行って、とげのある木を切り倒してこい」

怠け者の男を訴えるために為政者の許にやってきていた数名は、後回しにするこの男の怠け癖に笑いをこらえられず、彼を馬鹿にしていました。そのうちのひとりが言いました。「私の知る限り、この男の怠け癖は絶対に直らない。彼が一人で、あの木を切り倒せるわけがない。みんなで協力したらどうだろう。そしてあの木の根元を燃やしてしまえば、もう安心だ」。怠け者の男はこの言葉を聞いて不快になり、こう言いました。「私のことをそんな風に考えるんだったら、今すぐ行って、自分ひとりで木を切り倒してやる」

怠け者の男はそういうと、家に帰りました。斧を持ち出し、とげのある木に向かって振りおろしました。何度か木に斧を振りおろしてみたとき、ようやく、その木を切り倒すことが、どれほど難しいことかを悟りました。木の幹は鉄のように固く、歯が立ちません。怠け者の男の額からは汗が吹き出てきましたが、男はさらに木の幹に何度か斧を打ちつけてみました。こうしてようやく、その木を切り倒すことができました。しかし、それよりさらに難しい、根元を引き抜く作業が残っています。怠け者の男が必死になっていると、近所の人々がシャベルや鍬を手に、手伝いにやって来てくれました。彼らは言いました。「あなたは木を切って、相当疲れているだろう。根の方は私たちに任せてくれ」。こうして近所の人々が助け合い、木の根元を引き抜き、燃やすことができました。その後、この地区の人々は、安心してこの場所を通り過ぎることができたということです。

それでは、ことわざにまつわる物語をご紹介しましょう。今回のことわざです。

「師匠、飾り!」

昔々、あるところに仕立て屋がいました。この仕立て屋は、腕前は確かでしたが、1つだけ非常に悪い癖がありました。人々が持ってきた布の一部を盗んでいたのです。この師匠である仕立て屋は、盗んだ布を縫い合わせて、自分のためにシーツを縫ったり、子供たちのために色とりどりの洋服を縫ったりしていました。時には、この布を市場に持っていって売ってしまうこともありました。過去には一回、布はしで宗教の追悼儀式のための飾りを作り、人々に感謝され、神を信じる人物だと賞賛されたこともありました。

ある夜のこと。仕立て屋は、疲れ果ててその日の仕事から帰宅すると、夕食を食べて寝床につきました。そして、夢を見ました。最後の審判の日がやってきて、天使たちが、人々の良い行いと悪い行いについて調べているのです。彼の番がきたとき、ある天使が言いました。「客の布を盗む仕立て屋など、調べる必要はない。彼は地獄行きだ!」。仕立て屋の師匠は、小さな盗みが重なり、やがて取り返しのつかないことになっていることに気づきました。そこで必死に懇願しましたが、それも無駄なことでした。二人の天使が仕立て屋の手をつかみ、彼を地獄へと連れて行きました。

地獄の門に着いたとき、仕立て屋の師匠は、奇妙なものを目にしました。業火の真ん中で、色とりどりの追悼儀式の飾りが燃えているのです。その飾りは、色とりどりの布を縫い合わせて作られていました。仕立て屋は、地獄の真ん中にある飾りは、自分がその飾りを作るためにとっておいた布でできていることに気づきました。そして、この飾りは、自分の誤った行いの結果であることを悟ったのです。仕立て屋は、天使たちに地獄につれられていくところで、突然、目を覚ましました。全身が汗でびしょぬれになっていましたが、燃えていた飾りの熱の感触がまだ残っていました。寝床に座り、気分を直そうと水をいっぱい飲みました。そして、それまでの誤った行いについて考えてみました。仕立て屋は、もう客の布を盗むことをやめようと決意しました。しかし、「習慣を止めると病気になる」という言葉にあるとおり、長年、慣れてしまっていた悪い行いを止めるのは、非常に難しいことでした。

仕立て屋は、過去の誤った習慣に走らないためにはどうすればいいのか、考えました。翌日の朝、店に行くと、弟子を呼び、言いました。「昨夜、あることが起こって、自分の行いがどれほど醜いかに気づいた。罪を悔い改めようと思っている。今後、私が客の布を盗もうとしたら、私に、『師匠、飾り!』といってくれないか」。弟子は言いました。「分かりました。しかし飾りが、あなたの罪を悔いる気持ちとどんな関係があるのですか?」。仕立て屋は言いました。「余計なことは詮索しなくていい。お前はただ、飾りを私に思い出させてくれるだけでいい。他のことは気にするな」

それからというもの、仕立て屋がはさみを取り上げ、客の布の一部を切って盗もうとするたびに、弟子はこう言いました。「師匠、飾り!」。そして仕立て屋も、すぐに神に罪の許しを求め、醜い行いから手を引きました。そんな状態が続いたある日のこと。客の一人が、非常に美しい貴重な布を持ってやってきました。仕立て屋は、客が去ってしまうと、その錦織の布を幾度も触りながら、その美しさに感動していました。彼ははさみを取り上げ、布を切り、その一部を自分のためにとっておこうとしました。仕立て屋がはさみを取り上げた瞬間、弟子が言いました。「師匠、飾り!、師匠、飾り!」。しかし仕立て屋は、罪を悔い改める気持ちを捨て、一生懸命に布を切りながら、怒鳴り声を上げました。「やかましい。私の言った飾りに錦は入っていなかった」

弟子は、もはや何を言っても無駄であることを悟り、黙ってしまいました。このときから、かつての醜い行為を改めようとしている人に、行いに気をつけなければならないと注意を促すときに、このように言うようになりました。「師匠、飾り!」

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ペルシャ民話の園 Tue, 07 May 2013 17:50:31 +0900
庭師と鳥 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/36761-庭師と鳥 http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/36761-庭師と鳥

 

庭師は自分の庭で、様々な種類の花を育てていましたが、中でも彼のお気に入りは、赤いバラの花でした。バラは他の花よりも美しく、よい香りを放っていました。庭師は毎日、それを眺めては、ひとつひとつの花の香りをかぎ、こうつぶやいていました。「さよなきどりが、バラの花に魅せられるのも当然だ。バラは人生の楽しみであり、心に活力を与えてくれる」

そんなある日の朝、庭師がいつものように、日の出前の庭の散歩を楽しみ、気に入っているバラのところに行って見ると、枝にさよなきどりがとまり、その花びらをひとつひとつ、ついばむのを目にしました。さよなきどりは花びらの間に顔を寄せてさえずっていました。それはまるで、花の傍らにいるのを喜んでいるようでした。さよなきどりは、さえずりながら、花びらを一枚一枚ちぎっていきました。

年老いた庭師は、しばらくそこにたたずみ、さよなき鳥のさえずりに耳を傾けていました。彼は花の傍らで喜ぶ鳥を見て嬉しくなっていましたが、さよなきどりの周りに散らばった花びらにはがっかりしました。しばらくすると、鳥も庭師に見られていることに気づき、飛び去ってしまいました。その翌日、庭師は再び、同じ光景を目にしました。さよなきどりが、花びらをちぎりながら、さえずっているのです。しかし、庭師を見ると、飛び去ってしまいました。

庭師は散らかった花びらを見て、悲しくなりました。「さよなきどりもバラの花に魅せられる権利はあるが、花は目で見たり、香りを楽しんだりするためのものであって、花びらをちぎってしまったらおしまいだ。これは間違っている。これまで丹精込めて私が育てた花をこんな風にしてしまうなんて。それにしても、どうしてさよなきどりは、花びらをちぎってしまうんだろう?」

3日目、庭師は、鳥がさえずりながら、地面に落ちた花びらと話をしているのを見ました。庭師はそれを見ると、腹を立てて言いました。「自由を悪用する鳥の罰は、鳥かごだ」。そしてバラの木の下に罠を張り、鳥を捕まえると、かごに閉じ込めてしまいました。そして言いました。「自由を正しく享受しなかった罰だ。花びらをちぎったらどうなるか、思い知らせてやる」。鳥は自分がかごに閉じ込められたことに抗議して言いました。「僕もあなたも花を愛する気持ちは変わらない。あなたは花を育て、僕を喜ばせてくれる。その代わりに、僕もさえずってあなたを喜ばせている。僕もあなたのように自由に庭を飛び回りたい。それなのに、どうしてかごに入れられなきゃいけないんだ。もし僕のさえずりを聞きたかったら、僕の巣はあなたの庭にあるから、一日中そこでさえずることにしよう。もし僕をかごに入れた理由が他にあるのなら、どうか説明してほしい」

庭師は答えました。「さえずりは問題ない。しかし、お前は私の愛する花に傷をつけ、私の喜びを壊したんだ。お前は自由にさえずっていると、どうやら自分を制する力を失って、私のバラの花びらをちぎってしまうようだ。この罰も、お前が悪いことをしたからで、他の者が同じ過ちを繰り返さないよう、お前を見せしめとするためのものだ」。鳥は言いました。「なんて意地の悪い人だ。僕はあなたに閉じ込められたことで、心を傷つけられ、苦しめられた。それなのに、さらに罰の話をするなんて。あなたの罪の方が重いとは思いませんか?あなたは私の心を傷つけたんですよ。でも僕は単に花びらをちぎっただけだ」

鳥の言葉に、庭師は深い感銘を受けました。彼は鳥の答えをひどく気に入り、鳥を解放してやりました。鳥は飛び立ち、バラの枝にとまると、老人に向かって言いました。「あなたが私によくしてくれたので、私もそれにお返しをしましょう。金貨のいっぱい入った入れ物が、ちょうどあなたが立っているところの土の中に埋めてあります。それをあなたにあげましょう。どうぞ好きなように使ってください」

庭師は地面を掘りました。すると金貨の入った入れ物が見つかりました。庭師は鳥に言いました。「それにしても、可笑しな話だ。地下にある入れ物が見えるというのに、私が張ってあった罠は見えなかったなんて」。すると鳥は言いました。「それには2つ、理由がある。まず一つは、どんなに賢かったとしても、運命という予測できない状況のために、それに巻き込まれてしまう可能性があるということ。二つ目は、僕にとって金(きん)はどうでもよいもの。だから金を見ても、なんとも思わない。でもバラの花は大好きだから、花に気をとられて罠が張られていることに気づかなかったんだ。何でも限度を超えてしまうと、苦難の原因になる。限度以上に何かを好きになると、こんな結果をもたらすことがあるということだ」

鳥はそういうと、美しい花を愛でるために飛び去っていきました。

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ペルシャ民話の園 Mon, 29 Apr 2013 17:43:09 +0900
亀とさそり http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/35847-亀とさそり http://japanese.irib.ir/programs/ペルシャ民話の園/item/35847-亀とさそり ペルシャ民話の園 Thu, 14 Mar 2013 00:30:49 +0900