このサイトは更新されていません。新サイトはこちらです。 Parstoday Japanese
2015/10/05(月曜) 20:07

メナーの惨事、サウジアラビアの不手際

メナーの惨事、サウジアラビアの不手際

9月24日、サウジアラビアにあるイスラムの聖地メッカ近郊、メナーで行われた巡礼儀式の最中、大変な惨事が発生しました。

 

この惨事では、人通りの多い通路が封鎖されたことで、イラン人をはじめとする各国からの巡礼者が将棋倒しとなり、窒息、あるいは圧迫され、多数の死者が出ました。この惨事は、熟慮するに値する問題です。今回はこの惨事についてお話しすることにしましょう。

イラン最高指導者の見解

この出来事は、9月11日にメッカのマスジェドルハラーム付近でクレーンが倒壊し、これにより、巡礼者120名が死亡、238名が負傷した事件の後に発生しました。

このメナーの惨事を受けて、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、メッセージを発し、この惨事により被害を受けた人々への同情を表すとともに、遺憾の意を示し、「この惨事が発生する要因となった誤った管理と不適切な措置について、考えるべきだ」と述べました。

ハーメネイー師はまた、イスラム法学の研究会の始まりに際しても、メナーの惨事について演説を行い、サウジアラビア政府の責任転嫁と、この惨事に関する彼らの責任回避は効果のない誤った行動であるとして、「イスラム世界はこの惨事に関して多くの疑問を抱いており、サウジアラビア政府は責任転嫁をするのではなく、イスラム共同体や犠牲者の遺族に謝罪し、この重大な事件の責任を受け入れ、それに関する必要な措置を講じるべきだ」と強調しました。

イラン大統領の見解と迅速な行動

イランのローハーニー大統領も、アメリカ・ニューヨークでの国連総会の演説で、メナーの惨事に触れ、「残念ながら、イラン人を初めとする数千人の巡礼者が巡礼儀式の最中、儀式の管理責任者の不手際の犠牲となった」と語りました。

ローハーニー大統領はまた、イランはサウジアラビアで損害をこうむった巡礼者の権利の追求に努力すると強調し、サウジアラビアの責任者に対して、安否不明者の身元の迅速な確認作業と、犠牲者の遺体の引渡しを行うよう要請しました。さらに、「今年のメッカ巡礼における数百万人のイスラム教徒の精神的被害は、物質的な計算では償えないほど大きい」としました。この惨事の発生により、ローハーニー大統領は犠牲者の葬儀に参加するため、アメリカ訪問予定を半ばで切り上げ、テヘランに戻りました。

事故調査に真剣に取り組もうとしないサウジ政府

今年の巡礼儀式が、昨年にくらべて巡礼者の数がはるかに少なかった中で、儀式の途中に巡礼者が死亡する出来事が3回も発生しました。つまり、この惨事に関するサウジアラビアの管理不足は、誰の目にも明らかです。多くのイスラム諸国の関係者が、この惨事を不手際によるものだとしている中で、数ヶ月前からイエメン戦争にかかりきになっているサウジアラビアの政府関係者は、メナーの惨事を平然とやり過ごそうとしています。

サウジアラビア内務省のトルキ報道官は、この惨事の後記者会見で、メナーの惨事の諸側面について説明し、「この事件が発生したのは天命である」としました。トルキ報道官は、この事件の要因は、大変多くの人々が集まっていたこと、巡礼者が順路とは逆に進んでいたこと、厳しい暑さのほか、「天命である」としています。

サウジアラビアのファリハ保健大臣も、メナーの惨事について説明する中で、この事故は巡礼者が秩序を守らなかったことで発生したとしました。ファリハ保健大臣は、「この将棋倒し事件は、一部の巡礼者が、サウジアラビアの治安機関やメッカ巡礼省が提示していた巡礼儀式のプログラムに従わなかったことで発生した」と主張しています。ファリハ保健大臣はまた、責任回避のために、「いずれにせよ、このメナーの事故は神が望んだ運命とすべきだ」と強調しました。

サウジアラビアと癒着しているメディアも、メナーの惨事について扱う中で、厳しい暑さ、一部の巡礼者が通達されている順路とは逆の方向に進んだこと、一部の巡礼者が定められた順路を守らなかったことが、この惨事の発生の原因だと伝えました。

他のイスラム諸国や国際機関の厳しい視線

一方で、レバノンの新聞アルディヤールは、メナーの惨事の原因に関して、違った捉え方により、次のように記しています。

「サウジ当局は、同国高官の車がメナーを通過したことが多数の巡礼者が死亡した原因となった、というニュースを否定したが、実際には、同国の国防大臣を務めるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子の車が、200人の治安部隊と150人の警官とともに、巡礼者の列に割り込み、メナーの中心部に入った」 

この新聞は、サルマン副皇太子の車が入ってきたことが、巡礼者の順路を変えたとして、次のように記しています。

「サルマン副皇太子を乗せた車は、順路とは逆方向に、スピードを出してメナーを通過した。この行動が巡礼者の間に恐怖感を生み出し、メナーの惨事が発生するきっかけとなった」

アルディヤールはまた、「メナーの惨事が発生し始めた後、サルマン副皇太子の車は事件現場から離れ、視察を中止した」と記しており、別の記事では、「サルマン副皇太子は、これまで、メディアの取材を受けたことがなく、この惨事に関する調査委員会を結成するよう指示したのは、ナイフ内務大臣だ」と述べています。レバノンのこの新聞はまた、「メッカ州知事も、この惨事から手を引いた」と記しています。さらに、記事の終わりでは、「果たしてサウジアラビアは、サルマン副皇太子が要因であるメナーの惨事の原因を敢えて表明するだろうか」とされています。

 

マスジェドルハラーム付近でのクレーン倒壊と、メナーの将棋倒しの2つの出来事は、巡礼者数千人が死傷した今年のメッカ巡礼の中で、サウジアラビア当局に対する国際レベルの強い批判を引き起こしています。この批判は、メッカ巡礼儀式の管理において深刻な問題が存在し、メッカ巡礼の催行方法に関して、国際的な協議の開催が必要であるということを示しています。

インドネシアのジョコ大統領など、多くのイスラム諸国の要人も、メッカ巡礼儀式の管理の見直しや改善を求めています。インドネシア下院の社会・宗教問題委員会も、「サウジアラビア政府は巡礼者の安全向上のために他のイスラム諸国との協定を締結すべきだ」と表明しました。

スイス・ジュネーブのある国際人権擁護組織も、メナーの惨事の犠牲者の遺族への共感を表明すると共に、国際社会に対して、緊急に国際的な調査委員会を設置し、今回の事件と過去数年間のメッカ巡礼で発生した惨事の諸側面と原因を調査するよう要請しました。また、この声明の別の箇所では、国際社会と人類は、即時に正式なに立場をとり、多くの人々の命を守り、メッカ巡礼の儀式の際におけるこのような恐ろしい出来事の再発を防ぐことが必要だとされています。国連のパン事務総長も、この出来事に対する追悼メッセージの一部で、サウジアラビアの政府関係者に、死傷者に対する責務を速やかに実行するよう求めました。

イラン政府関係者の見解

いずれにせよ、このような痛ましい出来事がメッカ巡礼儀式の最中に起こったのは、これが初めてではありません。メナーで起きた惨事に関して、運命や定めでしかないと語ることが出来るか、という疑問が呈示されています。最も肯定的な解釈においても、このような出来事の繰り返しはもし意図的でなかったならば、少なくともメッカ巡礼の儀式の管理者の管理不足と無責任を語るものだとされています。イランのプールモハンマディ法務大臣はこれに関して、次のように表明しました。「我々はこの問題の中で責務を負っており、イスラム共同体の集団的権利、犠牲者や負傷者の個人的な権利の問題、またそれに関連する政治的問題を真剣に追求する」

また、イラン外務省のアミールアブドッラーヒヤーン・アラブアフリカ担当次官も、「サウジアラビアの関係者に対し、安否不明者一人ひとりの身元が確認され、イランに遺体が返還されるまでは、イランは徹底的に安否不明者の状況を追跡し、このための外交的措置もとっていくとメッセージを発した」と強調しました。また、イランのガーズィーザーデ・ハーシェミー保健医療教育大臣も、先月29日、イラン政府の代表として、イラン赤新月社の代表などからなる使節団を率い、サウジアラビア政府関係者が大失態を演じた数日後、状況調査のためにメッカ入りしました。

 

明らかなのは、メナーの惨事が小さな出来事ではなく、イランの体制責任者は、この問題を追求する必要性を強調していることです。イラン政府は、サウジアラビア政府を巡礼者の命の安全を守る責任者だとして、サウジアラビア政府はいずれ、これに関する不注意や怠慢の結果を思い知らされることになると強調しています。

 

Add comment


Security code
Refresh