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2015/10/12(月曜) 20:30

メナーの惨事に関するサウジアラビアのメディアへの圧力

メナーの惨事に関するサウジアラビアのメディアへの圧力

9月24日に、多数のメッカ巡礼者がメッカ近郊のメナーで将棋倒しになって死亡したニュースが発表されたとき、その惨事の規模がこれほどまで広がった危険なものだとは誰も信じなかったのではないでしょうか。しかし、毎日、この事件の新たな側面が明らかになっていきました。

 

さまざまなメディアの記者の報道によりますと、メナーの惨事による死亡者の数は、これまででおよそ5000人と発表されています。確かに9月11日にメッカで発生したクレーンの倒壊事故の発生と、この中で多くの人々が亡くなったことは、メッカ巡礼におけるサウード政権の管理の不適切さを示すもうひとつの例となりました。しかし、メナーの惨事は、サウジアラビアの不手際を示す最大のものです。この惨事により、世界のイスラム教徒は悲しみ、怒り、サウード政権に対する不満を抱くことになりました。一方、こうした中で、サウジ政府はこの惨事と中東の政治的問題を絡めようとしたり、メディアを根拠として、メナーの惨事の本当の原因を隠そうとしています。

サウジアラビアははじめの措置として、はぐらかしを開始し、また、イラン人巡礼者をこの事件の要因として非難する中で、ソーシャルネットワークによる活動を始めました。サウジアラビアは過去のように、窮地に陥る中で、イラン人をこの事件の首謀者として非難しました。たとえば、ソーシャルネットワークの多くのハッシュタグは、メナーで秩序を乱したとするイラン人を非難するものであり、イラン、メッカ巡礼、殺人といったハッシュタグを設けることで、イランをこの事件の犯人だとしています。

ロンドン発行のサウジアラビアの新聞アッシャルゴルオウサトは、メナーの惨事はイラン人巡礼者の協調性のなさによるものだと主張しています。サウード政権に近く、イランに敵対することで知られているこの新聞は、イラン人巡礼者の代表者の一人が、イラン人巡礼者の一部がメナーの道のひとつで順路を逆に行ったことで、この惨事が起きたことを認めたとしています。一方、このニュースは、完全な偽りです。

しかし、これらのはぐらかしは、これにとどまらず、サウード政権と癒着しているメディア・アルアラビーヤも、行方不明のイラン人の多くに関して、「これらの人物は決してサウジアラビアに出発していない」と主張しました。また、サウジの別のメディアは、イラン人巡礼者30人近くが、メナーの惨事を理由に逮捕されたと発表しましたが、これはすぐに誤報であることが明らかになり、イラン当局から否定されました。

サウジと結びついているアルアラビーヤ・ネットは、9月26日のメナーの惨事について、サウジアラビアの公式筋がこの発生の当日、この惨事の調査は続けられていると発表したと報じました。また、イラン人巡礼者の代表者の話として、新たな嘘を述べる中で、イラン人巡礼者がほかの巡礼者たちと逆に動いたことが原因となり、169名が死亡したとしており、彼らイラン人巡礼者がメナーの惨事の責任者だとしています。

しかし、アメリカの新聞ウォールストリートジャーナルは、これとは別の立場をとり、報告の中で、サウジアラビアの巡礼省の混乱を、この惨事が発生した要因だとし、数ヶ月前に一部の巡礼省の職員が解雇されたことが、この内部の混乱の原因だと伝えています。この新聞によりますと、解雇されたベテラン職員は、巡礼者の順路の設定に関する責務を負っていました。

また、以前にメッカを訪れたことのあるウォールストリート・ジャーナルの元記者も、このメナーの惨事に反応し、次のように記しています、「現在イスラム教徒が、メッカやメディナの代理人として道徳的な免罪特権を得ているサウジアラビア政府をボイコットするのには、最もよい時期だ」。この元記者はサウジアラビアに対する圧力とボイコットを求める中で、次のように記しています。「私はメナーの惨事の詳細を追求し、また、イスラム教徒の注意力やアフリカ諸国のイスラム教徒のせいにしているサウジ当局の見解表明を聞いた」

メッカ巡礼でサウジの管理の悪さに触れているこの記者は、次のように記しています。「メッカ巡礼で巨額の収入を得ている国は、人権を残念な形で踏みにじり、女性の権利を考慮せず、このような流血をメッカ巡礼の期間に発生させ、テロ組織ISISのような暴力的なイスラムの解釈を世界に広めている。現在、サウジアラビア政府は、メナーの惨事の後、メディアを沈黙させることで、失われた自らの面目がこれ以上失われないよう、大変な努力を行っている」

アメリカのCNNは、サウジメディアに追従し、石投げ儀式から戻ってきた巡礼者グループと、この儀式に向かっていたグループの間の衝突が、この惨事の発生の要因だとしました。また、巡礼者がその日の早い時間から石投げの儀式を急いでいたこと、多くの人が集まっていたこと、大変暑かったことも、その要因だとしました。CNNは、サウジの関係者や監督者の不注意や、彼らが大勢の人々の死を傍観していたことに関する多くの映像に反応を示すことはありませんでした

もっとも、一部のメディアがサウジアラビア政府と協力した背信行為は、これだけにとどまらず、これ以前にも暴露された証拠から、どのようにサウジ政府が資金を使ってメディアを沈黙させたか、あるいは味方につけたかということが明らかになっています。7月に機密漏えいサイト・ウィキリークスによって公開された文書は、金銭を与えることでサウジ政府が多くのアラブ諸国の要人やメディアを味方につけようとしていたことを示しています。この文書はまた、サウジ政府がこれらのメディアや要人が従わなかった場合、支援金を打ち切っていたことに触れています。

これは、2012年、レバノンの衛星チャンネルELBCに関する事件の中で見られます。レバノンのサウジ大使は書簡の中で、サウジ政府の意向に従わなかったという理由で、レバノンの番組の放送停止の検討を要請しました。また、この文書では、レバノンの新聞アッサフィールの方針や政策に生じうる変化について知らせることを条件に、この新聞社の編集長との接触やサウジアラビアへの招待を提案しています。

モロッコの新聞記者は、これに関する解説の中で、次のように記しています。「アラブのメディアは2つのグループに分けられる。人々の問題を扱い、抑圧されている人々を助けるメディアと、欧米諸国が望む内容を報道し、パレスチナ、レバノン、イラク、ソマリアの自由を求める運動による抵抗を減退させようとしているメディアだ。この2つのカテゴリーに分類されるもっとも明らかな例は、IRIBのアラビア語放送アルアーラムテレビと、アルアラビーヤの2つのメディアだ。恥ずべきなのは、アルアラビーヤが、アラビーヤという名称を有していながら、この問題に関して沈黙していることは卑劣である。このメディアは、恥ずべき使命に留意し、段階的に世論を迷わせ、イスラム世界の要人の地位を貶める目的で行動している」

サウジアラビアのある作家は、2009年、サウジアラビアのニュースサイト、アルフラマインの記事の中で、イランに対するサウジアラビアの敵対は、メディアの立場が理由だとして、次のように記しています。「イランとの関係に関して、サウジアラビアは消極的で、相互理解ではなく、イランと対決する傾向がある。つまり、緊張を緩和するのではなく、緊張を作り出すという状況が、この10年のイランとの関係において見られる。サウジアラビアは西側諸国がイランに対する対決姿勢を強めるのにあわせて、自国のその立場を強めている。あたかもそれは、サウジのメディアがイランに対するプロパガンダとメディア攻撃の中で、優位性を獲得したかのようだ」 この作家は、サウジアラビアがイランに対して不快感を抱いている理由を解析する中で、「サウジアラビアの地域における影響は著しく低下しており、サウジ人は、健全なライバルに対し無力である。このため、メディア戦争でそれを補おうとしている」と語りました。

残念ながらこの40年間、7000人以上の巡礼者が、防ぐことのできたさまざまな事件により、メッカで命を落としています。サウジアラビアの政府関係者は、常にこれらの事件のあと、メディアによるプロパガンダにより、これまで、そして今も、こうした事件が繰り返される中での能力のなさを否定し、これらの事件の原因は巡礼者が決まりや教えを守ろうとしなかったことにあると表明しようとしています。たとえば、今年のクレーン倒壊事故では、この事件の責任を契約会社に押し付け、この事件の原因に関する驚くべき解釈を提示しました。

しかし、この痛ましい事件の繰り返しは、メッカとメディナを管理する上でのサウジアラビア政府の無能さを証明するものです。おそらくこの危機の唯一の解決策は、聖地の管理を目的としたイスラム諸国による評議会の結成でしょう。なぜなら、聖地はすべてのイスラム教徒のものであり、聖地の運営に関して見解を提示するのは、彼らの権利だからです。

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