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2015/10/26(月曜) 19:50

シリア危機をめぐる西側とロシアの対立

シリア危機をめぐる西側とロシアの対立

ロシアは、この数ヶ月、大量の兵器や軍事物資をシリアに移送し、また、多くの兵士を派遣しました。最終的に、ロシア政府は、9月30日から、テロ対策を目的とした軍事的な作戦と、合法的な政府の支援を開始しました。


ロシア政府は、1974年の国連総会で採択された侵略の定義に関する決議により、シリアのテロ組織に対する空爆は、シリアの合法的な政府の要請に基づいて行われ、テロ組織ISISとの戦いの中でシリア政府を支援する立場は、国連憲章に、そして国際法規に基づいていると表明しました。ロシアの軍や治安部隊は、シリア政府との安全保障と情報における協力を行う中で、戦闘機などを使い、シリア国内の武装組織の拠点を攻撃しました。また、イラク政府の要請がある場合、イラクのISISとも戦う用意があると表明しました。
これら全てにより、ロシア軍のシリアにおける作戦は、最初から西側、特にNATO北大西洋条約機構やアメリカ、サウジアラビアなどの西側の同盟国の否定的な反応を受けてきました。いずれにせよ、この反応はそのほとんどが言葉の上での非難です。西側やこれに同盟するアラブ諸国は、ロシアの行動に対抗し、これを無駄に終わらせるための行動を実行する段階に入っているように思われます。
表面的には影響力があるようなこの攻撃に対する反応の中で、西側とこれに同盟するアラブ諸国は、ロシアがISISではなく、他のシリアの反体制派を攻撃していると非難しました。西側の支援を受けているシリアの反体制派が主張しているように、ロシアはこの攻撃で、ISISの存在しない場所を攻撃しました。これに関して、アメリカのケリー国務長官は、「ロシアはISISに対する作戦以外の軍事作戦は一切行うべきではない」と強調しました。一方、ロシアのラブロフ外務大臣は、シリアの中道派の反体制派の拠点に対する攻撃を否定し、ロシアはアメリカ主導の有志連合と同じように、シリアのテロ組織の拠点を攻撃していると表明しました。
現在、NATOは東ヨーロッパおよびシリアという2つの戦線において、ロシアと対立しています。これ以前に、NATOの東側加盟国、特にバルト三国はウクライナ危機の高まりとともに、ロシアの直接的な脅威にさらされていると主張し、これを口実にNATOはこの1年半、「ロシアの脅威」とされるものへの様々な対抗措置を講じました。現在、NATOはロシアがシリアに兵器と兵士を配備し、様々なテロ組織との戦いをおこなっているという状況に直面しています。
このロシアの行動により、NATOとアメリカは不快感を感じています。彼らは、ロシアの戦闘機が、ISISの拠点のみを攻撃するのを望んでいますが、合法的なシリアのアサド政権を守ろうとしているロシアは、全てのテロ組織と戦おうとし、これに関して空爆だけでなく、ミサイルも使用しています。ロシアのショイグ国防大臣は、10月7日、ロシアのカスピ海艦隊が、1500キロ離れたISISの拠点にむけてミサイルを発射したと表明しました。一方、ロシアは主にISIS以外の標的を攻撃しているとする、シリアの反体制派や西側の主張を否定しています。
シリア危機におけるロシアの軍事的役割の拡大は、10月8日、ベルギー・ブリュッセルで行われたNATO加盟国の国防大臣級会合における主要な議題となりました。この会合は、NATO加盟国のトルコが、ロシアの戦闘機の度重なる領空侵犯に抗議した後に行われました。同時に、この会合では各加盟国の国防大臣がウクライナ危機の発生の後に決定された全体的な措置を検討しました。こうした中、この協議の基本的な目標は、NATOがロシアの軍事行動に関する現在の問題に対応するという、ロシアに対する明確な警告を発することだとされました。
西側、特にNATO加盟国は、できる限り速やかにロシアに対する報復を準備しようとしており、この口実を仕立て上げたのは、ロシアの戦闘機による領空侵犯を繰り返し主張したトルコの問題だと考えられます。NATOのストルテンベルグ事務総長は、NATO国防相級会合の開催前に、NATOは南側の国境に対する脅威から同盟国を守るため、トルコに軍を派遣する用意があると強調しました。
こうした中、現在、西側諸国はロシアとの直接対決を控えています。アメリカ国防総省の関係者は、アメリカの戦闘機が最近、少なくとも、シリアでロシアの戦闘機と衝突するのを避けるため、飛行間隔を取らせるマニュアルを実行せざるを得ないことを明らかにしました。こうした中、この状況はそれほど配慮されることはなく、西側やアラブ諸国の西側同盟国は少なくとも、シリアのテロリストに最低でも対空防衛システムを提供し、ロシアのテロリスト空爆への対抗手段とすることが予想できます。ロシアはこれに関して、はっきりとサウジアラビアやカタールなどのペルシャ湾岸諸国に警告を発しています。
ロシアと、トルコとアラブ連盟を伴った西側の間の、シリアにおける対立は、微妙な時期を迎えています。実際、西側はロシアがシリアの体制を守る中で、シリアの反体制派武装組織すべてを攻撃対象としているのを目の当たりにしています。一方で、アメリカは、ロシアがシリアでISISのみを攻撃するという想定により、ロシア軍のシリア参入に暗黙の了解を示しました。
現在、ロシアの戦闘機による激しい攻撃により、シリアのテロ組織は危機に瀕しています。このため、西側はNATOという形で、ロシアに対抗し、シリアにおけるロシアの行動範囲を狭める口実を求めています。ロシアによる領空侵犯に対する、トルコやNATOの異常な激しい反発は、シリア上空でロシアと対決するための準備を示すものである可能性があります。なぜなら、ロシアによる空爆の継続は、西側が支援しているテロリストを弱体化させることになり、パワーバランスがシリアの合法的な政府の側に傾くことになりうるからです。
おそらく、このため、アメリカのオバマ大統領は、シリアの反体制派の方にパワーバランスを傾かせるため、シリアの反体制派に武器を提供する指示を改めて出したと思われます。これに関して、CNNはアメリカ軍関係者の話として、シリア反体制派に大量の武器を供与することを明らかにしました。
最近のシリア情勢により、シリアにおける以前の均衡状態が崩れただけでなく、新たな変化により、現在パワーバランスはシリア政府の有利に変化しています。このことから、いわゆる中道派の反体制派が力を取り戻すため、西側、特にアメリカは性急な行動をとったと考えられます。アメリカはこの措置を正当化するため、これらの武装勢力はISISに対抗するため武器を取ることになると主張しています。
西側は、あらゆる機会において、ロシアの「中道派」テロ組織の拠点の空爆を批判しています。これに関して10月12日、EU諸国の外務大臣は、EU外相会合の終わりに終了声明を出し、ロシアに対して、過激派でない反体制派勢力に対する空爆を停止するよう求めました。また、EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表は、この会合で、「ロシアはシリアにおける軍事作戦で、ゲームのルールを変えてしまった」と強調しました。
この4年間、シリアの合法的な政権を転覆させるため、シリアの様々な武装勢力の結成を支援し、その後これらの組織を強化したのは、西側やこれに同盟するアラブ諸国だったと述べておくべきでしょう。後の段階でも、このような組織の一つであるISISがイラクの一部を占領し、また、エジプト、リビア、アフガニスタンなどのように、他の国に活動範囲を拡大し、事実上西側のレッドラインの一部を越えました。アメリカは同盟国と共にISISに対する有志連合を結成しましたが、これは効果的な結果を出していません。
現在、ロシアはシリアの合法的な政府を支援し、テロを根絶するため、シリアで軍事作戦を行っており、西側はロシアがゲームのルールを混乱させたと主張しています。一方、シリアでルールを全く守っていないのは、実際には西側です。また、証言によると、アメリカはシリアでいわゆる中道派武装勢力を支援することで、再びゲームの主導権を掌握しようと努めています。しかし、シリアで西側の戦略が成功する見込みは全くないのです。

 

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