このサイトは更新されていません。新サイトはこちらです。 Parstoday Japanese
2015/11/09(月曜) 17:52

サウジアラビアのシーア派に対する差別と人権侵害

サウジアラビアのシーア派に対する差別と人権侵害

サウジアラビアはおよそ215万平方キロメートルという西アジア最大の面積を持つ国で、アラブ諸国では、アルジェリアについで面積で第2位となっています。この国は2700万人以上の人口を持ち、このうち1600万人がサウジアラビア人で、それ以外は外国人で構成されています。この国では、ワッハーブ派が重要な役割を果たしており、すべての政策は、この宗教に基づいて計画されています。

つまり、ほかの少数派の宗教の人々や、スンニー派やシーア派など、それ以外の宗派のイスラム教徒は発展・成長する余地がなく、特にシーア派はワッハーブ派が特にこの宗派に反対しているため、苦しい状況に置かれており、多くの差別や抑圧に苦しんでいます。
シーア派の人々は、イスラム暦の1世紀に当たる西暦の7世紀には、現在のサウジアラビアに居住していました。サウジアラビアのシーア派は、全人口のおよそ16%を占めています。この割合は、ザイド派やイスマーイーリー派、アラヴィー派の人々を合わせると、およそ22%にまで達します。サウジアラビアのシーア派は、サウジアラビアにおけるシーア派の中心地であるカティーフやアフサーを含む東部の州に居住しています。
報道や証言から、少数派のシーア派は、常に差別や基本的人権の侵害に苦しんでいることが明らかにされています。サウジアラビアのシーア派の人々の要求の1つは常に、シーア派が正式に認められることでしたが、ワッハーブ派は彼らを異端としています。サウジアラビアの高位聖職者評議会のメンバーの一人は、「シーア派がと殺した羊の肉は、合法な食品ではない、なぜなら彼らは皆異教徒だからだ」と語りました。
ワッハーブ派の見解では、シーア派の人々の地位はキリスト教徒、ユダヤ教徒よりも低いとされています。それはキリスト教やユダヤ教が一神教だとされていても、シーア派は異端とされているからです。過激なワッハーブ派はシーア派を敵とみなしています。このため、一部のワッハーブ派はシーア派教徒の生命や財産を損なうことを認められた行為だとしています。
世界人権宣言の18条には、次のようにあります。「すべての人は思想、良心、宗教の自由を享受する権利を持つ。この権利は、信仰や信条の変更の自由と、個人的、あるいは集団的に、公的、そして私的な形で、宗教教育、崇拝行為、宗教的な慣習や儀礼の実行する中で、宗教信仰を表明する自由を含む」
今日、サウジアラビアのシーア派はほかの地域のシーア派の人々に比べて、より多くの制限を受けています。彼らはシーア派であるという罪状により、さまざまな迫害を受けています。これらの制限に加え、ある時期には、彼らの生命や財産も侵害されており、またワッハーブ派の法官はシーア派の人々に対し異端宣告と死刑宣告を出しています。これらの迫害はサウジアラビアのシーア派の人々が自分の宗教信仰を隠す要因となっています。
特にイスラム教の聖地、メッカの町では、シーア派は最悪の状況に置かれています。彼らは自分たちの宗教儀式を自宅で、人目を遠ざけて行うことを余儀なくされています。シーア派の聖職者は個人的にシーア派の教育活動を行う許可さえ与えられていません。このため、多くの(シーア派)聖職者はイランあるいはイラクで教育を受け、サウジアラビアに帰国しています。サウジアラビアはまた、シーア派の聖職者とその支持者を逮捕し、彼らに対する法的な追及を行っています。
現在、サウジアラビアのシーア派の人々は自分たちのモスクを建設する権利を持っていません。これに加えて、シーア派の人々が住む各都市にあるシーア派の多くのモスクや宗教施設ホセイニエが破壊され、シーア派の人々は自宅を秘密裏のモスクやホセイニエにしています。サウジアラビアの有名なシーア派の聖職者で、いくつかの文化・教育協会の会長を務めている人物は、サウジアラビアのシーア派の神学校の活動の自由について、次のように語っています。
「この神学校は、当然、完全な自由がなく、国が出した条件に制限されている。神学校は学生が勉強で利用する図書館のような施設を必要とするが、これに必要な本の輸入や利用は、サウジアラビアでは制限されている。神学校は、学術的な議論ができる環境を必要としているが、私たちはさまざまな制限に直面している」
学校や大学の教育においても、大きな差別が行われています。シーア派の学生は、彼らを異端とするワッハーブ派の教授からのあからさまな敵意に苦労しています。彼らが大学に入学するのは難しく、実務スタッフや講師として雇われることもありません。また、特に、ムハンマド・ビン・サウード大学や、メディナ・イスラム大学など、宗教学の大学では、学位論文にシーア派に反対する内容を書く学生が奨励され、彼らの学位論文は政府の費用により出版されることになります。
サウジアラビアの学校では、大学よりもさらに状況は悪く、シーア派の教師や生徒は、いずれも差別や圧力を受けています。授業では生徒たちにシーア派の人々を異端者と呼ぶよう求められ、ワッハーブ派の聖職者により、彼らの解釈をもとに作られた教科書には、シーア派に対する嫌悪が満ちており、その中ではシーア派は異端とされています。また、シーア派の教師たちに対しては、シーア派の信仰を個人のものとするよう警告されています。この警告に反した場合、処罰されることになります。彼らが昇進することはなく、管理職の中にシーア派の人を見かけることはありません。
シーア派の人々は、世界最大の石油埋蔵量を抱える地域に住んでいながら、経済的な面でも、もっとも大きな制限を受けているサウジアラビア市民とみなされています。シーア派居住地域は、サウジアラビアの最も貧しい地域のひとつとされ、東部州の運輸、衛生、教育などの計画の実施にかける予算は、ほかの州のそれに比べて、抑えられています。シーア派の居住地域は近代的な衛生施設や医療施設がなく、多くのシーア派は差別に苦しんでいます。
石油関連業務の重要な一部をシーア派の人々が行い、サウジアラビア国王の富を生産しているのにもかかわらず、ほかの地区に比べてサウジアラビア東部に富が公平に分配されることはありません。これはワッハーブ派がシーア派に対して行っている差別のあらわれなのです。
政治的な面でも、少数派の宗教を持つ人々は、政治体制の中で地位を獲得することはありません。サウジの政府関係者は、すべての重要な業務を一族で独占しています。こうした中で、シーア派の人々はほかの宗教グループよりもより多くの制限を受けています。軍や治安部隊、外交機関、防衛機関に入ることが制限されているだけでなく、会社や一部の重要な政府機関に入ったり、パイロットのような職を得ることについても、多くの障害に苦しめられています。
少数派であるシーア派に対するサウジ政府の行動は、シーア派の人々の明白な権利を侵害し、差別していることを示してます。この差別は、国際法規にしたがって、少数派の宗教を持つ人々が、差別撤廃の原則により、国際法上の支援を受けている中で行われています。国連憲章は、差別撤廃を基本に、少数派を支持する体制の土台を築いています。国連憲章の第1条3項、第55条c項などでも、加盟国の政府は、人種や性別、言語や宗教によって差別することなく、すべての人々の人権と、基本的な自由を遵守する責務があるとされています。
また、世界人権宣言の第2条は、次のように記しています。「すべての人は人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治的な信条やそのほかの信仰、国籍、社会的な地位、富、出身地に関係なく、ここで宣言されたすべての権利と自由を享受することができる」
市民的および政治的権利に関する国際規約の第2条でも、この規約の中の権利をさまざまな要因で差別することなく実施することは政府の義務だとされています。また、この規約の20条では、政府に対して、差別や敵意、暴力を拡大する原因となる国民的、人種的、宗教的な嫌悪の表明の禁止を義務付けています。
既に指摘したように、サウジアラビア政府の少数派・シーア派に対する差別的行動は、明らかな人権の侵害であり、人権に関する責務の違反です。こうした中、西側政府は、政治的な利益と、サウジアラビアの体制責任者の富のために、サウジアラビアの人権問題を無視しています。実際には、サウジアラビアの多くの人が、基本的人権に関して制限を受けています。シーア派の人々は困難な状況下にあり、彼らの指導者には抗議する許可が与えられていません。人権活動家や、この国の抑圧的な政策に反対する人々は逮捕され、拷問を受け、最終的には死刑宣告を受けています。サウード王家は、反対派に対する言論統制や弾圧を続けており、日増しに多くの人々がその犠牲となっています。最終的に、自由な人々や人権活動家、国連関係者にとっての責務となるものは、この大きな人権侵害に直面している人々を支持することなのです。

Add comment


Security code
Refresh