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2015/11/23(月曜) 17:29

メナーの惨事の人権的な側面(2)

メナーの惨事の人権的な側面(2)

今回も、前回に引き続き、メナーの惨事を人権の面から分析してみましょう。犠牲祭の日にあたった9月24日、サウジアラビアの聖地メッカ近くのメナーで、サウジアラビア当局の管理不足により、巡礼者が将棋倒しになり、8000人近くが命を落としました。この惨事の後、イスラム諸国の多くの市民や司法関係者が、サウジアラビア政府による国際的な責任の受け入れと彼らへの法的措置を求めました。

 

メッカ巡礼儀式を開催するサウジアラビアは、すべての巡礼者にサービスを提供し、巡礼という宗教義務を行うために聖地を訪れた人々の安全を確保する義務を負っています。国際法に基づき、サウジアラビア政府は、巡礼者の権利を侵害したことになり、国際社会に対して責任を取る必要があります。

巡礼者の安全確保は、巡礼者にとって最低限守られるべき明らかな権利ですが、メナーの惨事ではそれが侵害されました。残念ながら、この惨事では、8000人近い巡礼者が亡くなりました。こうした中、サウジアラビア政府には、国際法に則り、査証を発給した外国人に対し、生存権を含む権利を保障することが義務付けられていました。

保健衛生サービスを受ける権利も、巡礼者が損なわれた権利のひとつです。サウジアラビアは、すぐに負傷者を助け出すべきでしたが、目撃者によれば、彼らはこの人道的、法的責務を怠ったということです。多くの負傷者、助けを必要としていた人たちが、暑さの中、圧迫され、命を落としていきました。サウジアラビアの救援隊が十分な訓練を受けておらず、危機管理ができていなかったこと、サウジアラビアが他国の救援隊の支援を拒否したことから、この惨事は拡大しました。

この他、飲料水に関する権利も、この惨事では損なわれました。世界人権宣言第25条では、誰でも衣食住、医療及び社会的なサービスから、自分と家族の健康と福祉に十分な生活水準を確保することができるとあります。人間は、最低限の生活レベルを享受する必要があり、飲料水を利用する権利も、人間の経済的、社会的な権利のひとつとして定められています。経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第11条は、はっきりと、この権利に触れています。

目撃者によれば、巡礼者の多くは、暑さ、のどの渇き、酸素不足によって命を落としました。助かった人たちは、惨事のあった日は非常に暑く、日差しが強くて、負傷した人々は暑さに苦しんでいたと話しています。彼らはのどの渇きに苦しみ、水を強く欲し、そのうちに気を失っていきました。

サウジアラビアの治安部隊や救援隊は、負傷者に簡単に飲料水を届けたり、彼らに水をかけたりできたはずでした。惨事の現場近くには、消防署があり、水もありました。惨事のあと、現場上空を飛行したヘリコプターからも、放水することが可能でした。しかし、それらはまったく行われなかったのです。

いかなる政府も、人民に対して侮辱的な対応を取ったり、非人道的な処罰、あるいは拷問を行ってはなりません。国際人権規約の第7条では、誰も拷問、侮辱的な扱い、非人道的な処罰を受けないとされています。この他、世界人権宣言やイスラム人権宣言でも、「誰も肉体的、精神的な拷問を受けることはない」とされています。

拷問等禁止条約の第1条によれば、拷問とは、公務員などが、身体的、精神的な思い苦痛を故意に与える行為と定義されています。

では、死の危険が迫っている人々に水を与えず、そのまま放置することは、拷問には相当しないのでしょうか?目撃者によれば、遺体としてコンテナに積み込まれた人々について、生きているかどうかはチェックされていなかったということです。彼らによれば、コンテナに詰め込まれた人々の中には、気を失っていただけで、まだ生きている人もいたということです。その中に遺体と一緒に詰め込まれ、ただ死を待つことは、拷問ではないのでしょうか?

差別的な行動を制限する権利も、各国が守るべき権利のひとつです。しかし、惨事で助かった人や目撃者の証言は、衝撃的なものです。一部の負傷者は、その国籍を理由に意図的に放置され、抗議すると、ぶしつけな対応や侮辱にあったというのです。

巡礼者のこの他の人権は、人間、遺体の尊厳の維持です。1990年に採択されたイスラム人権宣言では、「遺体の尊厳が維持されるべきであり、それを守るのは政府の責務である」とされています。しかし、残念ながら、サウジアラビアは、巡礼者が亡くなった後も、遺体を正しく管理しませんでした。最後の遺体が惨事の現場から集められたのは、惨事が起こってから何時間も経った後のことでした。遺体は暑さの中で何時間も通りに重ねられていたため、腐敗が進んでいました。

また、遺体の数は、メッカ、ジッダ、ターイフの遺体安置所の許容量を超えるものでした。そのため、遺体の一部は、冷凍コンテナの中で保管されましたが、残念ながら、それも遺体の保管に適した状況にはありませんでした。

目撃者の証言は、惨事を防止するための措置だけでなく、被害を抑えるための措置も取られなかったことを示しています。目撃証言は、負傷者への配慮がなかったことを明らかにしています。もし負傷者への対応が十分に行われていたら、おそらく、犠牲者の数はこれほど増えていなかったことでしょう。現場に居合わせた一人は、次のように語っています。

「メッカ巡礼者は、一人ひとり、命を落としていったが、サウジアラビア当局は何の反応も示さなかった。だが彼らは負傷者を治療したり、助けたりするための措置を講じるべきだった。10以上あった出口を開放すべきだったが、それらはすべて閉鎖されていた。これらの緊急通路には、各国の巡礼者のテントが張られていたが、これらの通路が解放されれば、けがをした巡礼者を移送する道ができた。人々は通路の外で、負傷者への支援を待っていたが、サウジアラビア当局は何の措置も講じず、これらの通路は結局最後まで閉ざされたままだった。もしサウジアラビアの関係者が責任感を持ち、警察に連絡し、警察が救援ヘリコプターで放水したり、風を送っていたりしていたら、巡礼者の酸素不足や呼吸困難が軽減していたことだろう。サウジアラビア当局の惨事の後の対応の遅れ、怠慢は、彼らが巡礼者の身の安全に対して責任を感じていないことを示している」

最後に、この惨事に巻き込まれた、と見られるイランの元駐レバノン大使をはじめ、一部のイラン政府高官など、各国の要人の安否が、いまだに分かっていません。概して、法に則って他国を訪問した場合、国際法に基づいて、その人の安否に対して責任が取られるべきです。そのため、サウジアラビアは、これらの巡礼者に何が起こったのかを明らかにする必要があるのです。

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