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2015/12/14(月曜) 23:12

メナーの惨事の人権的な側面(4)

メナーの惨事の人権的な側面(4)

9月24日に発生したメナーの惨事は、世界の大部分に衝撃を与えた、最近50年間で最も悲惨な人的災害といえるでしょう。この惨事はマスジェドルハラーム付近のクレーン倒壊事故から数日後に発生し、8000人近くの巡礼者が死亡しました。この惨事は、イスラム世界の人々の感情を傷つけています。

 

2ヵ月以上が経過しても、多くの巡礼者が行方不明のままであることから、この問題の側面は拡大しています。確実に、サウジアラビア政府はメナーの惨事に関して、国際的な責任を負っています。人権に関する文書や国際的な文書では、政府はさまざまなアクシデントに対して、外国人の権利を擁護する義務を負っているとされています。いずれにせよ、もし政府が観光や巡礼、商業活動のために入国許可を出せば、彼らの生命の安全を確保する責務を負い、安全確保と人命保護に向けた行動をとる必要が生じます。つまり、サウジ政府は、この惨事で死亡し、負傷した人の損害を賠償し、遺族に対応する義務があります。このため、この惨事の犠牲者も、法的な形で失われた権利を賠償させるために行動する権利があります。犯罪国に対する法的な係争の提起や、法的追及は、今後このような惨事が繰り返されるのを防ぐことができます。

世界人権宣言によりますと、身体的、精神的、あるいは物的な被害をこうむった人は誰でも、失われた権利の賠償を求める権利を持っており、これに関して、本人やその親族は行動することができます。つまり、他国で抑圧を受けた外国人は、その国の裁判所に異議申し立てや法的訴追をおこなうべきなのです。1963年に締結された領事関連のウィーン条約では、国外で被害を受けた外国人は、所属する国の大使館や領事代表部に問い合わせ、彼らの問題を追求するために必要な支援をこれらの機関に求めるべきだとされています。

国際的な法的訴訟の提起のためには、まずはじめに、サウジ国内の裁判所に法的訴訟を行う必要があります。サウジアラビアの法的機関が公正な措置をとることができない場合には、国際裁判所に提訴する方法をとることになります。国際裁判所は、いくつかのケースにおいて、外交機関の支援による法的係争の提起を受諾しています。このため、政府はその国民の代理として、その人物の権利を守るために、犯罪国に異議申し立てを行うことになります。つまり、最初の措置で、メナーの惨事の被害者は、サウジ国内の裁判で法的訴訟を提起すべきであり、またサウジ国内の裁判所も、法的な基準に従い、公正な判決を出すことを義務づけられています。もしサウジの裁判所がこれに関して責務の履行を怠ったり、適切な審理を行わなかった場合、被害者が所属する国は、自国民の権利を擁護するために、外交的支援の下、国際裁判所に法的訴訟を提起することができます。

国際裁判所において訴えを起こすには、まずはじめに巡礼者に対するサウジの国際的な責務の履行の違反に関する証拠や原因を集め、サウジアラビアと提訴する国が批准している国際条約と照合されることが必須です。また、もしサウジアラビアと提訴する国の間に合意が存在する場合、その条項も留意されるべきでしょう。サウジアラビアによる領事関連のウィーン条約への違反は、法的訴訟の提起のために精査することが必要となるケースです。

メナーの惨事で多くのイスラム教徒が死亡した事件により、イスラム世界は喪に服すことになりました。つまり、イスラム世界は8000人のイスラム教徒の人命が失われたことに関して、大きな責任を負っているのです。OIC・イスラム協力機構は、大変真剣にこの問題を追求すべきなのです。また、この機関はイスラム諸国の首脳レベルの会合を開催し、国際的な特別調査委員会を結成によりこの問題を検討し、サウジアラビアに責務の履行を義務づけるべきです。

一方で、イスラム協力機構は、イスラム諸国の政府の間の合意により、巡礼者調停裁判所といった裁判を立ち上げることができます。この裁判所は、メナーの惨事の調査委員会の結成、そのほかの法的訴追とともに、毎年のメッカ巡礼儀式における巡礼者の安全と福祉を確保することを可能とするのです。

確かに、イスラム協力機構には、公正裁判所という裁判所があります。この裁判所は、国際裁判所のような法的機関であり、イスラム諸国間で発生が予想される法的係争のためのものですが、これまで一度も訴訟が行われていません。

イスラム教徒にとって最大の集会としてのメッカ巡礼儀式の催行の管理は、国際的な体制を有するべき、といえます。また、必要であれば、規約という形で、巡礼者の安全確保の責任を明確にし、整備する可能性が整えられ、今後同じような問題に直面した場合に、どのようなケースを考慮するかを明確にすべきです。同様に、イスラム協力機構はこの問題に介入し、巡礼儀式のプロセスに対する計画の立案とまとまった管理により、合同委員会という形で監視すべきなのです。もっとも、これが実現されるのは、イスラム諸国の外交が活発化したときです。また、イスラム諸国が苦しんでいる問題については、そのニーズに対応し、各国の国民の権利を守ることのできる国際的な組織が結成されるべきでしょう。

メナーの惨事の法的追及を行う中で、国連安保理や国連人権理事会のような国際機関も、調査委員会を結成し、その法的な側面について調査すべきなのです。一部のアナリストは、この惨事は故意に起こされたとしています。明らかに、調査委員会はそれが故意に起きたものなのか、あるいはそうでないのかを明確にすることができます。もし、調査委員会がイスラム諸国やそれ以外の各国から結成されれば、巡礼者の管理が適切だったとするサウジアラビアの主張の真偽を調査することができます。

国連安保理や人権理事会による調査委員会の結成に関しては、前例があります。レバノンのハリリ首相がテロによって暗殺されたとき、調査委員会が結成されました。調査委員会が国連によって結成された際に、国際的な支援があるのは、当然のことです。国連人権理事会もシオニスト政権のガザ攻撃に関して、調査委員会を設置しました。明らかに、サウジアラビアも国連加盟国として国連憲章を受諾しており、この委員会に積極的に協力しなければなりません。

国際司法裁判所におけるメナーの惨事の刑事的な審理に関しては、一部のアナリストが国際刑事裁判所で争うべきだとしています。しかし、これについてはいくつかの問題があります。第1に、国際刑事裁判所では、大量虐殺や人道に反する犯罪、戦争犯罪の裁判を担当します。第2に、この裁判所の裁判は、対立する双方の政府が、その正当性を認めた場合に執行が認められますが、サウジアラビアは国際刑事裁判所の規約を承認していません。国際的な裁判に関しては、提訴された国の政府も承諾する必要があります。このことから、この問題の法的訴追ができる唯一の裁判所は、サウジアラビア国内の裁判所となります。ここから、メナーの事件に関して、サウジアラビアの裁判所に提訴しなくて済むような、国際的な裁判所が存在しないということになります。

被害国は、調査委員会の支援の名目で、国連総会や人権理事会など、国連機関の支援を得ることができます。もしこれらの機関が問題を審理し、その訴追が国際法において有効であると認められ、もし損害賠償の段階に至った場合、国際的な形で実行されることになります。また、国連総会の枠内で、国連事務総長との書簡を交わすのも、実行可能な措置です。

重要なのは、8000人近くが死亡し、巡礼者の権利が侵害されたことです。統計は、この惨事が大量虐殺にほぼ等しいとしています。この問題は国際人権機関にとって、懸念すべき、そして追求に値する問題です。人権問題が議論される場合、イランのような国において麻薬の密輸で4人が死刑となった場合には、人権侵害という主張を行い、圧力を加えます。一方、どのようにして、国連は巡礼儀式の中で8000人近くが死亡した事件を見逃すことができるのでしょうか。

現在、国際機関や国連はこの惨事に関して、消極的な対応をとっています。イスラム諸国やこの惨事の被害国は、真剣に自国の法的な権利を追求すべきであり、また国連は国連憲章にしたがって、人権侵害に対して必要な措置をとる義務があります。

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