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2016/01/19(火曜) 19:43

サウジアラビアの対イラン政策

サウジアラビアの対イラン政策

イランとサウジアラビアの外交的危機が勃発してから2週間が経過しました。この非通常の状況が続いていることから、イランは国連事務総長に書簡を提出せざるを得なくなっています。

 

イランのザリーフ外務大臣は、パン事務総長に対する書簡の中で、サウジアラビアにおける一部の政治家は、地域全体を危機に追い込むことを決意しているとしました。ザリーフ大臣はまた、イランは緊張を高めたいとはまったく思っておらず、サウジアラビアが論理的な道を進むことを希望しているとして、「サウジは過激なテロリストへの支援を続け、対立を拡大するか、あるいは近隣諸国との良好な関係を選び、地域の安全に建設的な役割を果たすか、どちらでも可能だ」と述べました。

サウジ政府関係者はイランとの関係を断絶するために、多くの性急な行動をとりました。彼らは地域の内外に対して、ほかの国の支援により、証拠や理由を提示し、自身の挑発的な行動を隠し、自身の行動による責任にもかかわらず、イランにその責任をなすりつけようとしました。彼らはこれにより、数千人の巡礼者が死亡したメナーの惨事、イエメンにおける空爆、シリアのテロ組織への支援に関する、国際的な責任を回避する機会を整えようとしました。

確かに、これ以前にも、イランとサウジアラビアの政治的関係は悪化していました。1987年、イランとサウジアラビアは、イラン人275人を含む巡礼者402人が死亡した惨事を受けて、断交しました。イランの核計画が問題として提起されたときも、サウジアラビアは、シオニスト政権イスラエルや西側諸国に同調し、懸念を表し、イランは地域を危機に陥れたと主張しました。ウィキリークスによって公開された文書は、サウジ首脳陣が、イランの核計画を理由にイランに対して厳しい態度を取り、軍事力を利用するよう、アメリカに対して要請したことを示しています。

2011年にも、サウジアラビアはバーレーン政府の政策に抗議する人々に対抗し、シーア派の人々を弾圧するために軍隊を派遣しました。イランはバーレーンの抑圧された人々の権利を支持していましたが、サウジアラビアはイランをバーレーンで暴力を拡大したと非難しました。

サウジの一連の行動は、イランに対する行動が以前から計算されたものであることを物語っており、その目的は、イラン政府に対する挑発です。サウジ政府関係者は、イランはサウジのシーア派指導者の処刑に反対する、侵略的な立場をとったと主張しています。サウジ政府はこの主張は国際的な体制に反対する重大な脅迫だとしました。サウジアラビアのジュベイル外務大臣は、ロイター通信のインタビューで、イランは通常の国家や政府であるのか、あるいは革命であるのか決定すべきだとしました。サウジアラビアはこれ以前にも、先月にアメリカ・ニューヨークで開催されたシリアに関する協議にイランが出席していることを理由に参加しないことを表明しました。

サウジアラビアのメナーの惨事への対応と、イランのサウジアラビア政府代表部における事件を比較すると、この2つの事件に対する対応において、深く考えるべきダブルスタンダードが明らかになります。数人の頑迷な人物によるサウジアラビア政治代表部への攻撃の映像は、サウジ政府関係者にとっては、初めて行われた、正当化できない挑発行為だったのかもしれません。しかし、これに関する見解や判断は、イランがこれに関して立場をはっきりさせていないときには、一方的なものとなります。

イランの政府関係者は、はじめにこの事件に疑惑が存在し、容疑者が関与していたことを強調し、次に、直ちに、この事件に対して遺憾の意を示し、この事件の容疑者を訴追しました。これに関しては、イランの大統領、内務大臣、司法長官などが行動し、容疑者を逮捕し、この事件に対する取調べを行っています。

しかし、サウジアラビアは、イラン人巡礼者多数を含む6000人以上の巡礼者が死亡したメナーの惨事に対して、完全に逆の行動を取りました。巡礼者が死亡した国は、この惨事の原因の究明を求めるだけで、サウジアラビアは惨事の諸側面を調査するために調査委員会を結成し、その調査結果として、巡礼者が死亡したのは運命によるものだとしました。

サウジアラビアはこの問題に関しても、一方的に行動し、行方不明者の安否の確認を求める人々すべてを、「内政干渉」や「国の独立や主権に対する脅迫」として非難しました。この単純な比較は、多くの現実を示しています。こうした中、サウジアラビアは他者が持たない国際的な権利を自国だけが有していると思っているのか、という疑問が浮上しています。

消極的な挑発行為は、サウジアラビアの地域における戦略的政策となりました。この挑発行為は、ペルシャ湾岸協力会議、アラブ連盟の定例会合や緊急会合の開催など、さまざまな方法や理由で追求されています。このアプローチは、1月9日にサウジアラビアのリヤドで行われたペルシャ湾岸協力会議や、エジプト・カイロで行われたアラブ連盟会議などにおいて繰り返されています。

ペルシャ湾岸協力会議の参加者はテヘランのサウジアラビア大使館やイラン北東部マシュハドのサウジアラビア領事館での事件を検討し、イランをこの事件の責任者であるとして、これをテロ事件としました。ペルシャ湾岸協力会議とアラブ連盟は決まりきった声明を出し、このような行動は地域と世界における平和と安全の利益になるものではなく、善隣外交と内政不干渉の原則、主権の尊重に反し、地域における危機を助長し、危険なものにするとしました。

しかし、これらの国はこの協議の中で、毎回、ペルシャ湾の島のイランの主権に対して行われている、アラブ首長国連邦の以前からの中身のない主張により、これらの島の領有権問題を提起しています。これらの国の見解では、サウジの扇動行為と過激派テロ組織に対する支援や訓練、資金援助、彼らの地域の諸国の安定を揺るがすための挑発行為は、正当な行動だとされています。

この立場は外交の点から、通常の行動とすることができるのでしょうか。あるいは、サウジアラビアがイランの面目を失わせるために起こした騒動に関して、深く考えるべきではないのでしょうか。ペルシャ湾岸協力会議は、初めからイランに対する介入を目的に結成され、8年間のイラン・イラク戦争の中で、イラクのサッダーム政権に対する支援をまったく惜しむことはありませんでした。

サウジアラビアは、アメリカの早期警戒管制機をレンタルすることで、石油収入をイランに対する敵対的な立場の強化やスパイ活動に使用しました。イラクのサッダーム政権がクウェートに侵攻した際、彼らはイラン・イラク戦争でサッダーム政権を支持したことについて後悔しているとしました。しかし現在、過去を忘れ、自らが正しい立場をとっているとして、イランの脅威に対抗する中で、集合的な決定を行い、イランと断交すべきだとしています。

シオニスト政権イスラエルと並行する、イラン核協議に関するサウジ政府の行動や、石油価格の暴落のために行ってきた措置は、サウジアラビアの非論理的な行動の一例ですが、イランはこれらに対して、最大限寛大に対応してきました。

イランのザリーフ外務大臣が語ったように、テヘランやマシュハドのサウジアラビア政治代表部で起こった事件は、決して受け入れられるものではありません。イランの政府関係者すべてはこの行動を強く非難しました。ザリーフ外務大臣は、イスラム法、憲法により、全ての国の外交官を守る責務が自国にはあるとして、サウジアラビアの政治代表部に対する侵害行為を行った人物に対して、厳正に対応するとしました。しかし、問題となるのは、サウジアラビアが中東や欧米でよい印象をもたれるために、あらゆる行動を取っているということです。

サウジアラビアの政府関係者は、アメリカの広報企業がサウジアラビアのよいイメージを提示するよう、これらの企業に毎年数百万ドルを支払っています。これらの企業は全力を注ぎ、サウジアラビアの過去を覆い隠し、サウジの政治的な反対者の死刑執行を重要でないと、そしてサウジアラビアが中東地域におけるグループ間の緊張拡大に関与していないと見せかけようとしています。

これに関して、サウジアラビアが最も多くの資金を提供しているのは、アメリカの企業コーヴィス・MSLグループです。報道によりますと、この企業はサウジアラビアの地位とイメージを改善し、テロ対策を行い、中東和平を推進しているイメージを強化するための措置を組織化していることで、毎月24万ドルをサウジアラビアから受領しています。アメリカの新聞ニューヨークタイムズはこれに関して、この企業はサウジ政府高官のツイッターと、サウジのイエメンにおける軍事介入に関するインターネットのページを立ち上げたとしました。

サウジアラビアはこの行動により、地域の情勢不安を悪化させている要因となっているだけで、この行動はサウジのイメージをよくするどころか、サウジ政府関係者の弱点を明らかにしています。この消極的な行動はまた、サウジ当局が自らの過失を隠すために誤った計画を立ててしまったことを示しています。彼らはイランと断交することで、ほかの国に対して、その行動に追従するよう圧力をかけています。

サウジ政府は、こうした行動のすべてを、イランを孤立させ、イランよりも優位に立つために行っていますが、実際にイエメンとシリアで緊張を高め、戦火を起こし、シリアとイラクにおけるテロ組織ISISの活動の拡大を引き起こしています。この状況は、おそらく、しばらくの間その計画者にとってはプロパガンダの機能を持つものかもしれませんが、その一方でサウジアラビアはイスラム世界を分断しているのです。サウジの政策は矛盾に満ち、国際社会の慣例からかけ離れているのです。彼らがこの政治ゲームの敗者となるのは確実でしょう。

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