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2016/01/25(月曜) 16:51

サウジアラビアにおける死刑の状況

サウジアラビアにおける死刑の状況

サウジアラビアの政府関係者は、2016年1月2日、同時に47人の死刑を執行しました。この処刑は1980年以来最大の死刑執行とされています。

 

サウジアラビアは、昨年153人の死刑を執行しました。戦うシーア派聖職者ナムル(ニムル)師は、ほかのシーア派の人物3名とともに、1月2日に処刑されました。このシーア派指導者は2014年、サウジ政府関係者を批判したという罪状で、死刑となりました。しかし、彼の死刑執行は、数回にわたり延期されました。

このシーア派指導者は、およそ2年前に逮捕され、非公開の裁判が行われた後、サウード王家に対する忠誠心のなさなどといった疑わしい容疑により、死刑を求刑されました。彼は、サウジアラビアの少数派である、シーア派の人々を排除していたとして、サウジ政府を批判していた人物の一人でした。この聖職者の処刑は、イスラム教徒の間に怒りと嫌悪の波を引き起こし、イスラム世界のイスラム法学者や、さまざまな国際的な政治関係者、人権活動家が、この処刑を理由に、サウジ政府を非難しました。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナル・アメリカ支部の中東問題専門家のモック氏は、次のように語っています。「サウジアラビアで行われている死刑執行は、そのほとんどが疑わしい裁判と理不尽な容疑により行われている」モック氏は、サウジアラビアの裁判制度に関して、次のようにも語っています。

「サウジアラビアの裁判制度は、国際的な基準が欠如している。公正でない判決、容疑者に対する拷問による供述、理不尽な行動、弁護士の利用制限、これらは、サウジアラビアの裁判制度の特徴であり、国際基準に反している。サウジ政府はすべての反対意見を、テロ活動と解釈している。サウジ政府はシーア派指導者の処刑は国を守るために行われたと主張しているが、この指導者が無実なのははっきりとしている。サウジ政府が行っているのは、イスラム教徒の民間団体の政治的反対者を弾圧するために、死刑をテロ対策として利用しているのに過ぎない」

サウジアラビアは死刑執行数で世界第3位となっています。これらの死刑のほとんどは、麻薬など暴力的でない罪に関係しています。モック氏によれば、サウジアラビアはここ近年において、最大の死刑王国になっているということです。

サウジアラビアの死刑執行のほとんどは、公開処刑、しかも斬首の形式で行われ、容疑者はほとんどの場合、公正に裁かれることなく、当局も、死刑執行を決定する前にも、このことを死刑囚の家族に伝えることはありません。サウジアラビアの死刑宣告は、神聖さが侮辱されたり、麻薬などが使用された際に言い渡されます。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの報告によりますと、サウジアラビアは未成年にも死刑を執行するということです。さらに、サウジアラビアはこれまで、貧しい人々や移民、外国人に対して、不適切な刑罰を押し付けてきました。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東研究員、コーグル氏は、次のように語っています。「昨年と今年にサウジ政府によって死刑となった人物のおよそ半分は移民だ。サウジ人以外の人々への対応に関して、サウジアラビアの刑事裁判制度には、多くの問題が存在し、通訳の問題、サウジ王家と部族的な関係がないという事実などは、審理の結果に影響を及ぼすことになる。またサウジアラビアでは、死刑が執行された後も、死刑囚の遺体は公衆の面前にさらされる」

インターネットサイト「ミドルイースト・アイ」は、報告の中で、サウジアラビアの死刑囚の一部は、逮捕時に未成年だったり、精神疾患を患っていたと強調しました。このウェブサイトの報告の一部では、サウジアラビアは1月2日、テロに関与したという理由で、47人の死刑囚の処刑を発表したと伝えられています。このうちの、シーア派指導者を含む4人はサウジの東部州出身の人物でした。残る43人のうち、彼らの一部は2003年から2006年の間のサウジ国内でのテロ攻撃に関与した、あるいはそれを計画したことで訴追されていました。この43人のうち、4人は窃盗により告訴されていました。

サウジアラビアは、これらの死刑囚の処刑がどのような形で行われたのか表明していませんが、首都リヤドの刑場の警備員は、ミドルイーストアイに対し、死刑の執行に関して次のように語りました。「それは虐殺だった。血や切断された体の一部がいたるところに見られた。リヤドで何人が処刑されたかは確認できなかったが、死刑執行は朝から始まり、夕方まで続いていた」

人権擁護団体は、サウジアラビアにおける未成年の処刑に関する問題を提起しています。死刑に反対するキャンペーンは、サウジ当局に対して、ナムル(ニムル)師のおいを含む、3名の18歳以下の死刑囚の処刑を停止するよう要請していました。サウジアラビアで逮捕された人々、特に子供は、取調べと裁判の過程で、公正に裁判を受ける権利を組織的に侵害されることになります。この明確な侵害は、横暴な逮捕や、逮捕時における非人道的な行動や拷問などのすべてにおいて含まれています。サウジアラビアの裁判官は、被告に対して数百回の鞭打ち刑を宣告します。また、これらの裁判官は、子供などすべての人々に対して一時的な禁固刑や終身刑を言い渡す権限があります。逮捕された子供は年の若さを考慮されることなく、成人と同じように裁判を受け、刑罰を受けるのです。

サウジアラビアでは、明文化されている刑法がまったく存在しません。この国の裁判官は個人的な見解に基づき、完全に非文明的な判決を出しています。このことは刑法が大規模に悪用される可能性を大きくしています。特に、「国王の信頼に背こうとした」といった罪状は、これまで以上に刑法を悪用する道を広げています。

残念ながら、ほとんどの犯罪事件において、容疑が確定されず、逮捕者は裁判の最終段階まで、逮捕された罪状を知らないまま拘束されているという状態です。ほとんどの場合、弁護士を活用することが不可能であることに加えて、審理中に証拠などを提示するのは禁止されています。一方で、サウジアラビアの裁判制度の最も重要な問題とは、訴追を行うために理由なく長期間にわたり拘束することです。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのウィットソン中東・北アフリカ局長は次のように語っています。

「サウジアラビアは一日に47人を処刑することで、恥ずべき2016年の始まりを迎え、昨年も史上最多の死刑囚を出し、いわば刑場と化した。この行動は、単にサウジアラビアの人権に関する歴史上の汚点を作り出すきっかけとなっている」

人権団体にとって、困難なのは、透明な裁判制度が存在しないサウジアラビアの死刑の増加の理由を見つけることです。アムネスティ・インターナショナルは、サウジアラビアの死刑宣告は、そのほとんどが明確な形で抗議を示した人物に対する復讐であり、これらの死刑執行は、もし反対者がサウード政権を脅かすために街頭に殺到すれば、その代償を支払うことになる、という明らかなメッセージを含んでいる、としています。

アムネスティ・インターナショナルによれば、サウジアラビアでは、2015年1月に死亡したアブドラ国王の時代の末期に、死刑や死刑宣告が増え、その悲劇的状況は、サルマン国王の即位後、さらに深刻化しました。物議をかもしているのは、サウジアラビアが2013年、3年間、国連人権理事会の理事国に選ばれ、大きな批判があったにもかかわらず、この理事会の独立専門家会議の議長に選出されたという事実です。アムネスティ・インターナショナルは、この選出を批判し、もしサウジアラビアが人権理事会の理事国であれば、ハイレベルの人権基準と、その支持を守るべきだとしました。

人権機関がサウジアラビアの人権状況に関して常に警告を発しているのにもかかわらず、サウジは人権規約に基づいて国際的な問題に直面することは決してありませんでした。サウジアラビアが内部の構造や人権を無視しているのは、地域情勢が不安定で、アメリカやイギリスなどの西側政府の支援があるとサウジが確信している結果なのです。サウジアラビアにとってもっとも深刻な懸念とは、地域が安定化した場合に、国際社会がこの国の内部構造に注目することです。一方、サウジアラビアは自国の人々を長期的な脅威と感じており、まさにこのために、この国の中東政策はほとんどが国内の潜在的な危機を隠蔽するためのものであるといえるのです。

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